夏のレジャーシーズンを迎えつつある中、水着や浴衣売り場が賑わいを見せている。コロナ禍の規制緩和により、3年ぶりとなるプール・海水浴場の再開や旅行需要増、夏祭り復活などの動きも背景にあり、百貨店や専門店では関連商品の動きが好調だという。
水着は「着る予定がなくても購入」パターンも
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「サンアイリゾート(San-ai Resort)」「三愛水着楽園」などを展開し、ファッション水着では国内ナンバー1のシェアを有するアイ(Ai)では、今年4〜5月のリゾート関連の売上が前年同期比160%増と大幅に伸長。6月度も同様の伸び率を記録した。コロナ前の2019年同月比では30%減で水準は下回ったが、都心ではコロナ前の実績を上回る店舗も出てきている。7月に入ってからも前年比140%増、計画比でも30%増のペースで推移しており好調だ。今年は2年間のブランクを経て、リベンジ消費として「予定がなくても購入」というパターンも増加しているという。
同社が今年力を入れている機能性水着は売上ランキング上位10位を独占するなど今年の売れ筋となっており、特にフリルがついているフェミニンテイストが人気だ。ナチュラルにボリューム感を演出できる「ナチュラルアップブラ(Natural Up Bra)」や、下着として展開している「楽盛りフィット」の機能を水着に展開した軽い着け心地の「楽盛り水着」といった商品が好評だという。購買層は25〜30代が中心。海外旅行が本格的に再開されていないことから40代の購入は減っているが、Ai広報担当者は「ハワイなど海外旅行も再開されつつあるので徐々に増加傾向にある」と話した。
「ナチュラルアップブラ」(税込1万7600円)
Image by: Ai
水着ブランド「ピーク&パイン(PEAK&PINE)」を運営するミューラーンでは、5月度の売上が前年比10倍、6月度も同226%増と飛躍的に伸長した。「沖縄やハワイなどのリゾート地へ行かれるお客様が半数と、お客様のお買い物意欲もコロナ前の雰囲気を感じ、今年の夏用にと早めに水着探しをしている方も昨年に比べると圧倒的に目立ってきている」(ミューラーン広報担当者)。今年は袖付きやビスチェなど洋服感覚で着られるデザインがトレンドで、パフスリーブブラやボリュームのあるオフショルダートップスブラとハイウエストショーツの組み合わせなどのスタイルを提案している。コロナ前の売上水準まではまだ回復していないが、同担当者は「水着の売上が一番盛り上がる7月は更なる売上アップを見込んでいる」と話している。
「ピーク&パイン」新作水着
「ロングスリーブワンピ見えビキニ」(税込2万2000円)
二次流通でも水着の需要が高まっている。フリマアプリ「メルカリ」における水着カテゴリーの取引量(2021年7月1日〜2022年7月1日)は、コロナ前の2019年(2019年7月1日〜2020年7月1日)と比較して約1.3倍に伸長。30代を中心に取引が行われているが、最も伸び率が高いのは10代で、約2.2倍の取引量の増加が見られたという。
「日常で楽しめる浴衣」に支持集まる
今年は神宮外苑花火大会をはじめ2、3年ぶりに花火大会や夏祭りの開催が決まるなど夏の行事が本格的に始まるのを前に、浴衣関連商材が動きを見せている。3月30日から浴衣の取り扱いを拡大している日本橋三越本店では、現在まで前年同期比15%増で推移。コロナ前の売上規模にはまだ及ばないが、三越伊勢丹第3MDグループ呉服営業部販売担当長の霜村正延氏はこの結果について想定内だとしている。客層は40代を中心に、30代〜60代の幅広い世代が来店しているという。
一部の夏の大型イベントが今年も開催中止となったことから既製品が伸び悩む一方で、自分の好みのコーディネートを組める反物の売れ行きが好調。今年はクラシカルな古典柄のデザインが日本橋本店では売れているという。7月7日には従業員が浴衣姿で来店客を出迎えるイベントを実施。浴衣商戦のピークに向けて盛り上げていく考えだ。
6月25日から浴衣のポップアップを展開しているラフォーレ原宿では、日常のファッションとしても楽しめる浴衣を提案。来店客の傾向として「普段のファッションとしての浴衣を探している方も多い。昨年に比べると街で浴衣を着ている方も多くなったと感じる」(ラフォーレ原宿担当者)と話す。浴衣以外にも、アクセサリーやバッグなどの和風小物を通常のファッションアイテムとして購入するケースも増えているという。浴衣の売れ筋としては、速乾性が高く、しわになりくいなどの機能性に加え、発色性の良さからポリエステル素材が人気。日本橋三越本店と同様に比較的シックなデザインに注目が集まっている。
ラフォーレ原宿 ポップアップの参加ブランド
「homsue」ミセル裾除け(税込1万9250円)
浴衣・水着商戦が本格化する中、全国で新型コロナウイルス感染者が再び増加し始め、本格的な“第7波”到来も懸念されている。三越日本橋本店の霜村氏は「お客様は浴衣をプライベートで楽しまれる傾向にある」とし、現段階では消費への大きな影響はないと見ている。
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