毎年開催されている大型ファッションイベント「東京ガールズコレクション(以下、TGC)」。コロナ禍だった2020年、2021年には無観客のオンライン配信だったが、今年は2年振りに有観客で開催された。
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そんなTGCが2021年から取り組みの1つとして行っているのがメタバースだ。エンターテインメント・テクノロジー事業を行っている株式会社IMAGICA EEXと、TGCの企画・運営を行っている株式会社W TOKYOはTGCの世界観を完全再現した公式メタバース「バーチャルTGC」を共同でプロデュース。昨年公開したβ版から大幅に機能を拡大し、今年3月に本格的にローンチした。どのようなバーチャル空間で、開催当日の反響はどんなものだったのだろうか。今回は「バーチャルTGC」について、株式会社IMAGICA EEXの取締役 COO 早川正祐さんに話を聞いていく。
クリエイティブ×テクノロジー
IMAGICA EEXが設立したのは2年前。当時は新型コロナウイルスの感染拡大により、ライブ・エンターテインメント業界は大きな打撃を受けていた。そんな時だからこそ、IMAGICA GROUPが持つ「クリエイティブ×テクノロジー」で生み出す新しい映像体験が必要とされるのではないかと思い会社を設立したという。
「当社では設立当初から、様々なXR技術を活用したオンラインライブ配信の企画制作を実施しておりました。そのなかでアーティストから、観客との一体感や臨場感をもっと醸成できないかといった要望が強くあり、試行錯誤をしながら様々な企画に取り組んでおりました。具体的にはリモート観客の画面参加による合唱演出や、無観客の会場にXR技術を活用し、ペンライトを持った観客がまるでそこにいるかのような演出をしたり、ライブ中にアーティストからファンへメッセージや写真が届く演出などを実現してまいりました。」
コロナ禍でTGCが無観客で開催された際には、オンラインライブ配信のXR映像演出も手がけていた。その後、TGCのメタバースの協業に話が発展し、TGC公式メタバース「バーチャルTGC」のプロジェクトが発足したそうだ。
「バーチャルTGC」は、これまで実際の会場で行われていたファッションショーやアーティストライブをはじめ、話題のアイテムがタッチアンドトライできるブースなど、TGCの世界観を3Dバーチャル空間に完全再現しただけでなく、バーチャル空間ならではのアトラクションやスペシャルイベントなど、様々なコンテンツが追加されたメタバースアプリだ。
「開催時にはリアルイベントとの融合により、メタバースからでも新しい体験ができます。さらに、アバターによって髪型やファッション、アクセサリーなどで自分がなりたい自分になれるのです。自分自身で選択できるバリアフリーなアバターで、嗜好が合うたくさんのお友達とコミュニケーションできるメタバースをこのアプリでは目指しています。LGBTQの方や障がいの有無、年齢など関係なく、自由にTGCの世界観を楽しめるメタバース空間にしていきたいですね。」
3月21日のTGC開催当日には、実際の会場の映像をアプリ空間上のバーチャルTGCに臨場感のある映像で配信。開催後には、アプリ内でしか見られない特別なトークコンテンツの配信なども行った。
「メタバースには様々な考え方や手法があります。TGCのユーザー層は10〜20代を中心としたファッションが好きな方々です。そのためテレビやVRデバイス、オンラインゲームをするようなPCではなく、普段慣れ親しんだスマホで楽しめることが重要であると考えました。結果、バーチャルTGCも盛況で、想定以上のインストールが進んだのです。」
メタバース上では普段とは違った様々なコミュニケーションが生まれる。リアルよりも話しかけやすいと感じる人も多いだろう。実際にバーチャルTGC空間でも参加者同士がショーの感想を言い合ったり、一緒に遊ぶといった一体感が生まれていたそうだ。
メタバースが当たり前の世界に
早川さんは、メタバースが今後より現実世界に浸透していくと話す。
「メタバースというバズワードはいずれなくなり、リアルとバーチャルが融合していくことが当たり前の世界になっていくと思います。流行りというよりも世の中の進化となり、元に戻ることはないでしょう。」
今後もファッション、イベント、ライブ、エンタメ等のDXを映像クリエイティブ&テクノロジーで実現を目指しているIMAGICA EEX。米国の大手IT企業GAFAMなどが示すように、今は業界の垣根がなくなりつつある。IMAGICA EEXでも業界の垣根を越え、新しい体験価値を提供していくことで、世の中をより豊かにすることに貢献していきたいと最後に語ってくれた。先進的なIMAGICA EEXの試みに今後も注目していきたい。
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