日本製のカスタムオーダー腕時計ブランド「Knot」。「MADE IN JAPAN」「カスタムオーダー」「適正価格」の3つをコアコンセプトに掲げ、2014年に東京・吉祥寺で誕生した腕時計D2Cブランドだ。そんなKnotがサステナブルな素材を使った新商品の販売を開始した。
ADVERTISING
それが新素材「NUNOUS」を使用した新ストラップだ。この新商品は岡山の染色加工会社「セイショク株式会社」が生み出したまったく新しいアップサイクル素材で、廃棄される布を使用したものである。この商品について、株式会社Knotの製品開発担当プロダクトデザイナー松村 昂紀さんに話を聞いた。
プロダクトでもサステナブルな物を
日本の繊維製品の品質基準は非常に高いが、その反面、基準に満たない「規格外品」が存在する。布の規格外品はリサイクルが難しく、多くは粉砕や焼却などの処理が行われてきた。しかし、NUNOUSは従来の方法とは異なり、布の色や質感を損なわないアップサイクル方法を可能にすることで、「見えない大量の廃棄」を「美しく見える化」している。
「NUNOUSストラップの強みはなんと言っても、見た目の美しさやユニークさです。今までのリサイクル素材は、ゴミを固めたような状態が外観からわかる物が多いように思います。しかし、NUNOUSは生地を固めてスライスした新しい外観、木目のような美しさが強みです。1点1点、柄の出方、表情が変わるオリジナリティも特徴の1つです。また、価格面でのメリットもあります。アップサイクル素材はまだまだコストのバランスが悪いものが多いですが、こちらは他のストラップと同価格で販売しています。」
NUNOUSの持つ魅力を最大限感じてもらえるようにミニマルに仕立てたストラップ。伝統的なストラップの仕立てでは、外周にステッチを施すそうだが、そのステッチを省き、NUNOUSの木目のような美しさを邪魔しないように設計されている。カラーは時計のストラップでスタンダードなブラック、ネイビー、ブラウンの3色に加えて、NUNOUSならではの色味が映えるグリーン、ライラック、ライトグレーの3色をセレクト。それぞれトーンオントーンのアクセントステッチを配し、NUNOUSの色味が絶妙に重なる色合いに合わせているとのことだ。
Knotは創業時より、ユーザー自身が自由にストラップを簡単に着脱したり、着替えることで時計を楽しみながら長く大切に使ってもらえるようなライフスタイルを提案してきた。そんななかでカジュアル時計はストラップの劣化や、破損した際は修理をしてまで使い続けられるのではなく、買い替えや古いものは捨てられるという消費文化に疑問を感じたことが、NUNOUSストラップ誕生の背景にあるという。
「サステナビリティへの意識が重要になった今、プロダクトでもサステナブルな物をお客様へご提供することで、エフォートレスな貢献をしていただけるプロダクトを展開しようと考えました。お客様にメリットのあるサステナブルな時計づくりが大切だと考えており、価格も重要だと考えています。『サステナブルだけど高い』では、お客様のメリットにはなりません。着用・愛用していただくだけで、サステナビリティへエフォートレスな貢献をしていただける。そんな時計づくりを目指したいと考えています。」
そんなKnotが考えている今後のビジョンは、サステナブルの視点でD2Cメーカーの長所である「お客様と生産者を結ぶ物づくり」をさらに強化していくことだ。
「D2Cメーカーである弊社はお客様の声を直接お聞きする機会に恵まれています。お客様が求める製品を求められる量だけ生産し、提供する。生産者が抱えてしまっている素材や部品があれば、腕時計に限らず魅力的な製品として開発し、お客様にご提案する。創業以来の企業理念である『お客様と生産者を結ぶ物づくり』つまりKnot(結ぶ)することで、世の中に求められ続けられる企業となる。そして、このサイクルを世界へ広げていく事が企業の成長へも繋がっていくと考えています。」
サステナビリティは現在、ヨーロッパが先進しており日本では根づいていないのが現状だと渡邊さんは話していた。サステナブルな取り組みは日本国内でも目に触れる機会が増えてきているが、MADE IN JAPANのサステナブル素材はまだまだ多くはないだろう。そんな状況を踏まえ、Knotでは将来的にMADE IN JAPANのサステナブル製品をさらに増やしていきたいという。今回紹介したNUNOUSストラップはその取り組みを象徴するプロダクトの1つだ。これからも様々な取り組みを実行していくKnotに、今後も注目していきたい。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【Fashion Tech News】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境