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職人のモノづくりと顧客を繋げるCRAHUGの挑戦

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職人のモノづくりと顧客を繋げるCRAHUGの挑戦

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コロナ禍によって、様々な企業がインターネットを使用した新たなサービスを展開するようになってきた。とりわけECサイトでは、取り扱う商品の魅力やSDGsへの配慮がアピールされるようになり、生産者と使用者が共に手を取りあって、より良い社会を目指そうとする動きが出てきた。

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そのような状況のなかで、新たに職人のモノづくりを支えるサービスが展開された。それが株式会社オンワードホールディングスの「CRAHUG(クラハグ)」である。今回、株式会社オンワードデジタルラボのプロジェクトリーダー酒見ひばりさんに「CRAHUG」の取り組みと、日本の職人を取り巻く環境についてお話を伺った。

日本の職人を支えるCRAHUG

昨今のコロナ禍の影響で、EC市場の拡大やデジタルコミュニケーションの急速な進化がもたらされた。その結果、モノづくりを担う生産者と利用者がシームレスに繋がっていく時代が実現してきている。この流れを受けて、株式会社オンワードホールディングスもさらなる成長に向けて、従来取り扱ってこなかった商品や新たな販売方法に取り組み始めた。

2021年8月、公式通販サイト「オンワード・クローゼット」のプラットフォームを活用しながら、日本のモノづくりにフォーカスした新しいプロジェクトが立ち上がった。それが「CRAHUG」である。日本の様々な地域で手間暇かけて創り出されたモノにスポットを当てることで、新たな商品やユーザーとの出会いがもたらされることが期待されている。

クリエイティブディレクターは、株式会社KAJIHARA DESIGN STUDIO代表の梶原加奈子さんが務めている。きっかけは、株式会社オンワードホールディングスの保元道宣社長との出会いにあった。梶原さんが長年取り組まれてきた日本の産地をサポートする活動に共感し、それをさらに大きなものになるよう社内で体制を作り、事業化に至ったとのこと。

「CRAHUG」とは「CRAFTMAN(職人)」と「HUG(ふれあう)」を組み合わせた言葉である。生産者と利用者が繋がり、コミュニティができていくことをイメージしているとのこと。利用者にとっては、生産者の想いや制作背景が見えるようになり、より一層商品に愛着が持てるようになる。また生産者からすると、利用者の感想を直接受け取ることで、さらなる商品開発の着想を得ることができるようになる。こうしてお互いが少しずつ豊かになり、思いやりのある心地よい暮らしができていく。「CRAHUG」にはそんな未来への架け橋になりたいという想いが込められている。

CRAHUG 

では、CRAHUGはどのような活動を行っているのだろうか。提供しているサービスは、大きく分けて販売支援とブランディング支援の2つある。販売支援では、日本全国にあるファクトリーブランドの中から商品を厳選し、公式通販サイト「オンワード・クローゼット」にて販売を行っている。そしてブランディング支援では、1から自社ブランドを立ち上げたいという工場の企画サポートを行う。そのほかにも、CRAHUGジャーナルサイトでは日本の産地や工場、商品についての魅力的な記事を公開している。

上記のようなサービスを展開している理由は、コロナ禍の影響による受注の減少だけでなく、従来の工場が持つイメージから脱却していく必要があるからだ。これまで工場といえば、どちらかというと裏方の立場にあり、OEMなどの受注を受け持つことが多かった。そのため、原材料や人件費は値上がりしても、工賃は値下がりしていく一方であった。

そうした状況下だからこそ、自らが表に立って発信し、受注を取っていく自社ブランド開発の流れが生まれてきた。だが、ブランディングは一朝一夕には成就しないものであり、継続していくことで少しずつ変化していくものである。だからこそ、「CRAHUG」にはそうした日本のファクトリーブランドを応援すべく、工場と共に二人三脚でサポートしていきたいという想いが込められている。

「CRAHUG つくるにふれる。くらすはつづく。展」の試み

「CRAHUG」は、その活動を周知するための展示会「CRAHUG つくるにふれる。くらすはつづく。展」を開催してきた。2021年9月、ITOCHU SDGs STUDIOにて開催され、2022年3月には京都で同名の展示会が行われた。京都では「CRAHUG」の想いに賛同した京都市産業観光局クリエイティブ産業振興室の協賛で開催する運びとなった。

「CRAHUG つくるにふれる。くらすはつづく。展」

展示会では、ディレクターの梶原さんの想いが語られるムービーや各工場が進めているSDGsへの取り組みが紹介されている。地元の農家と組んで作られた地産地消の無添加コスメを始め、残糸や廃棄するはずの生地を新しい製品へアップサイクルした商品開発、また汚染水を出さない環境に配慮した生産背景など、まだまだ知られていない作り手の取り組みを取材し、発信している。

今回の京都での展示会では、製品展示のほかに、京都・丹後にある2社の織工場と企画した「&CRAHUG」のOBORO collectionクッション展示も行われた。「&CRAHUG」は、工場とともに作る「CRAHUG」オリジナル企画である。「CRAHUG」と工場だけでなく、異業種の工場同士のコラボレーションやお客様からのアイデアを元に工場が新しい開発を行うなど、様々な出会いがクロスすることで新しい商品を生み出していく。

展覧会の評判は良く、「実際に手に取って商品を見られる機会ができ、喜ばれる方も多くいらっしゃいました。また、今回の展示会では工場の方々が主催する草木染めやヘアオイル作りなどのワークショップも行い、楽しく体験いただけたこともよかった」と酒見さんは語っていた。

「CRAHUG つくるにふれる。くらすはつづく。展」

今後も、各地方自治体との連携を強化しながら定期的に展示会を開催し、CRAHUGの活動の認知拡大とそれぞれの地域にある工場との新商品の開発を進めていくとのこと。

日本のモノづくり産業の未来に向けて

CRAHUGの活動から明らかなように、昨今のデジタル技術の発展によって、モノづくりを担う生産者とその利用者の関係は近いものとなった。利用者はより一層商品の背景に関心を持ち、それを生産者が発信し続けていく。そうした関係は、国内だけでなく海外からも注目されている。株式会社オンワードデジタルラボも、日本の小さな工場で作られた商品が遠い海外の地で使用される機会を創造していきたいという思いを持っている。

その第一歩として、アジア圏の越境ECにも参入していく予定があるようだ。海外に向けては日本の工場をアピールしながら、日本国内での認知度も高めていくという。WEBジャーナルやFACTORY LISTの拡張に加え、SNSの活用を通じて新しい情報が発信されていくというのだから、「CRAHUG」の今後の活動から目が離せない。

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