TENTIAL 中西裕太郎代表取締役CEO
Image by: FASHIONSNAP
ウェルネスD2Cブランド「テンシャル(TENTIAL)」を展開するTENTIALが、ウェルネスに特化したECプラットフォーム「ケンココ(KENCOCO)」を開発し、4月15日にベータ版を公開した。当面は自社製品の扱いはなく、セレクト商品のみを取り揃えていくという。D2C事業が軌道に乗り始めた同社がECモールに挑戦する狙いとは?
TENTIALはプロサッカー選手を目指していた元アスリートの中西裕太郎代表取締役CEOが2018年2月に設立。D2C事業では浮き指の改善にアプローチするインソールやリカバリーウェアを中心に、健康課題解消につながる商品を提案している。2022年2月期の年商は2倍に伸長。オフィスも約3倍に拡張し移転した。5期目となる今期(2023年2月期)はさらに2倍以上の成長を見込む。中西代表によるとプロモーションなしで売上が伸び、欠品による販売機会のロスも生じるなど需要の高まりを感じたことから「既存ビジネスだけで業績予想達成は確信的」と強気の姿勢を示す。ECプラットフォーム事業はもう一つの収益の柱と位置付け、かねてより立ち上げの準備を進めてきた。
ADVERTISING
ECプラットフォーム事業では、オンラインメディア事業やD2C事業で培ったデジタルマーケティングのノウハウと、100人以上のアスリートや有識者とのリレーションを活かし、健康課題にアプローチする商品をセレクト。同社によると、ウェルネス業界では店頭やテレビ通販といった小売販売がメインとなっており、ウェブ販売に弱みを持つ。他社からも相談を受けていたという同社は、ケンココで業界全体の課題解決を目指す。
参加企業は約100社で、数百規模の商品数をラインナップする予定。現時点では「アディダス(adidas)」のヨガグッズやMTGの姿勢を補強する「スタイルビーエックス(Style BX)」といった健康用品を取り揃える。自社製品については一部販売するが、D2Cブランドとは別軸の事業として成長を目指し、9割以上を他社製品で構成。アイテムはカテゴリーやブランド別だけではなく、「肩こり」「腰回り」「睡眠」「目もと」といった悩み別で探すこともできる。ブランドは初期費用無料で出店が可能。販売手数料は非公表としている。
ECモールは当初、前期中にローンチを予定していた。中西代表は健康用品の「クオリティの高い商品でも認知されにくい」という課題から、「並べて売るだけではなく、顧客を第一に考えた時に各ブランドの販促ページづくりをする必要があった」と説明。「ヘルスケア版ゾゾタウン」をイメージして企画が進められていたが、取り扱いブランド数や商品数を急拡大させるのではなく、今後も“長期戦覚悟”で1ブランドごとにプレゼンスの向上に力を入れていく考えだ。工数はかかるが「オペレーションはすでに確立できている」とし、将来的には同社が培ったマーケティングデータと掛け合わせてツール化することも視野に入れる。黒字化は3〜5年後を見込み、D2Cブランドの自社ECとの統合も検討する。
同社はリアル戦略にも力をいれていく。同日からはるやま商事が運営する「DRUG WEAR 八重洲地下街店」に初のリアル店舗となるショップインショップを出店。テンシャルでは現在、約300店舗で商品が取り扱われおり、DRUG WEARでは販売開始後「想像の10倍を超える」売上があったという。インショップのほかにブランド単独出店も検討する。中西代表は今期のテーマとしてD2C事業は「花を咲かせる」フェーズ、新規となるECプラットフォームとリアルは「根を張り幹を作る」フェーズと表現し、倍成長を目指す。
■KENCOCO:トップページ
ADVERTISING
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境