決算会見を開いた三陽商会 大江伸治社長
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三陽商会が、2022年2月期通期の連結決算を発表した。純損益は6億6000万円の黒字。社長の大江伸治氏は前期の実績について「退職給付制度一部終了に伴う利益や、新型コロナウイルスの影響による店舗休業の助成金など、まとまった特別利益があったことが黒字化の要因」と振り返った。なお、営業赤字は10億5000万円を計上。当初は1億円の黒字を見込んでいたが、オミクロン株の感染拡大により客数が減少したことで見通しの下方修正を余儀なくされた。2015年に「バーバリー(BURBERRY)」との契約を終了してから6期連続の赤字となったが、前年の89億1000万円から大幅に縮小しており、2023年2月期には黒字転換する見通しだ。
今期の通期予想は売上高560億円(前年比13.0%増)、営業利益12億円(前年は10億5000万円の赤字)で、プロパー販売を強化し粗利率の改善に注力するほか、基幹ブランドのディフュージョン展開により都市型ファッションビルなどに新規出店を進めることで、6期連続の営業赤字からの脱却を目指す。
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EC売上高は80億3000万円(前年比11.0%減)で、プロパー販売に移行したことで売上は減少したが、粗利率はセール販売を行っていた前年に比べ同8ポイント改善。2023年2月期は、リアル店舗との相互送客を強化することで同3ポイント増の82億8000万円の売上を見込む。また、2022年2月期までの2年間で40億円の削減を掲げていた販管費は、 FA配置の適正化や希望退職による社員の人員適正化など、人件費を大幅に削減することにより、目標を上回る108億円の削減を達成。今期も、引き続きコストの削減に注力するという。
2025年2月期に向けた中期経営計画では、3年後には売上高625億円(2022年2月期比26.0%増)、売上総利益393億8000万円(同33.0%増)、販管費350億円(同14.0%増)、営業利益43億8000万円(2022年2月期は10億5000万円の赤字)、当期純利益35億円(同430.0%増)を目指す。目標の一つに店舗ごとの役割の明確化を掲げ、プロパー販売の店舗では商品の値引きを行わないなど、アウトレット店舗と差別化を明確にする。あわせて現在順調に推移しているアウトレット店舗の出店を増やす計画だ。
EC分野では、プラットフォームの刷新に着手する。現在は直営オンラインストア「サンヨー・アイストア」とブランドそれぞれのオンラインストアが混在している状況だが、全ての取り扱いブランドを1つに集約した総合サイトを開設。客がサイト内でそれぞれのブランドを回遊できるようなプラットフォームを目指す。総合サイトは2023年下期のリリースを予定している。
原料の高騰による値上げの有無に関しては、モノの価値と価格のバランスを大事にする観点から、値上げの予定はないことを明らかにした。また大江氏は昨今の若者のファストファッション離れについても言及し、「グレードを追求した商品への需要も確実にある」とコメント。価格を上げることなく、商品の品質を高めることで他社に対抗する姿勢を示した。
■三陽商会 2022年2月期連結業績
売上高:386億4000万円(前期は379億3000万円)
営業損益:10億5000万円の赤字(同89億1000万円の赤字)
経常損益:7億3000万円の赤字(同90億3000万円の赤字)
当期純損益:6億6000万円の黒字(同49億8000万円の赤字)
決算会見を開いた三陽商会 大江伸治社長
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