「シーイン」ECサイトより
中国発のファストファッションブランド「シーイン(SHEIN)」が、資金調達ラウンドにおいて1000億ドル(約12兆3000億円)と評価され、10~20億ドルを調達したとBloombergなどの海外メディアが報じた。ZARAやH&Mなどの競合以上の市場価値となった。
シーインは、2008年に許仰天が創業した南京希音電子商務からスタートし、2012年に現在のアパレルEC事業の本格展開を開始。店舗を持たないシーインはウェブサイトおよびアプリを通じて、 約150以上の国と地域(2022年3月時点)でサービスを展開。安価でトレンドアイテムが手に入ることから若年層を中心に支持を集めている。女性向けアパレル製品を中心に、アクセサリーやランジェリー、シューズ、バッグ、美容グッズ、生活雑貨類など幅広いジャンルを取り扱っており、毎日6000点以上もの新商品を投入。計60万点以上の商品を展開している。2020年には約100億ドル(日本円で約1兆2300億円)、2021年には約157億ドル(日本円で約1兆9400億円)近い売上を計上したとも言われている。
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なお、「ザラ(ZARA)」などを展開するインディテックスは、今年3月に発表した2022年1月期通期の決算によると売上高は277億2000万ユーロ(日本円で3兆7300億円)。H&M ヘネス・アンド・マウリッツグループ(以下、H&Mグループ)の2021年11月期の決算では、売上高が1989億6700万スウェーデンクローナ(日本円で2兆6080億円)だった。ファーストリテイリングは2021年8月期の連結業績(2020年9月1日~2021年8月31日)で、売上収益が2兆1329億円となっていた。
また、アパレルSPA大手の時価総額(4月7日時点)はファーストリテイリングが6兆3800億円、インディテックスが631億6200万ユーロ(日本円で約8兆5380億円)、H&Mグループは1910億2700万スウェーデンクローナ(日本円で2兆5038億円)。約12兆円の価値評価を得たシーインは、アパレル業界の勢力図を崩す快進撃を見せている。
シーインはECサイトおよび公式アプリに加えて、Twitter、Instagram、LINE、YouTube、Snapchat、TikTokなどの各プラットフォームを通じて積極的に情報を発信。インスタグラムのフォロワー(2022年4月7日時点)は公式アカウントが2392万人、日本版公式アカウントが38.1万人にのぼり、日々さまざまなスタイリングが写真や動画で紹介されている。「apptopia」が公開した2021年のショッピングアプリのダウンロードランキングによると、グローバルで「シーイン」は2位にランクインし、アマゾンは4位、アリババは10位だった。エリア別ランキングにおいては、米国では1位がアマゾン、2位にシーインが続いた。
日本市場では、2020年12月から日本語サービスの提供を開始。昨年8月に開催された山本寛斎事務所が手掛ける「日本元気プロジェクト2021 世界遺産ランウェイin富士山」に協賛として参加した。今年1月にはLINE公式アカウントを開設し、3月には関西コレクションや東京ガールズコレクションに参加するなど、日本国内での認知度拡大を図りながら着実に勢いを広げている。
新興勢力として一気に躍り出たシーインだが、デザインの模倣トラブルや商品のクオリティを疑問視する声も挙がっているなど課題も残っており、同社の今後の対応に注目が集まる。
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