編集部のリアルランチを紹介
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編集部がリアルに食べてるランチを、気ままにサクッと紹介する「オモハランチタイムス」。この日は2022年3月31日を持って20年の歴史に幕を下ろした表参道の象徴的カフェ、モントークへと赴いた。最終営業日の1日前、3月30日のモントークの様子を、いつもより写真と文章を多めに記しておきたい。
コロナ禍のここ2年くらい。ずっと変わらないものなんてない、ということを改めて実感させられる時間だったと思う。別れはいつだって突然だ。モントーク閉店の知らせを聞いたときもそうだった。ずっとあると思っていた場所がなくなるというのは寂しい。普段はお茶で利用することが多かっただけに、久しぶりにゆっくりランチを味わおうと思った。
お店の前は例に漏れず、モントークに別れを告げに来た人、もしくはこの機会にモントークを体験したいという人が列をなしていた。入店まで時間はかかったが、その間、スタッフの方が列に並ぶ人にコーヒーを配ってくれた。せめてランチでも食べて、自分なりにお礼を言いに来たつもりが、最後までモントークの粋な計らいに頭が下がる思いである。
看板のない黒いガラスの箱。モントークの外観に抱くイメージはブラックスーツに身を包んだ紳士。一歩足を踏み入れれば、温かみのあるヴィンテージのインテリアが並ぶユーモアに溢れた空間が出迎えてくれる。見た目と中身のイイ意味でのギャップに、人としてこうありたいと思わせてくれる空間だ。
モントークを最初に訪れたのは20代前半の頃、デートだった。当時の自分を思い返してみるとずいぶんと背伸びしたもんだなと思う。オシャレなカルチャー人が集まる場所、というイメージが強かったからだ(それは今でもそうだが)。そんな場所での食事に内心はビビりながらも、お相手の前で精一杯、場の空気に溶け込もうと毅然と振る舞っていたことを、うっすらと覚えている。
最後となるランチはテラスに通してもらった。表参道を眼下に、さまざまな人たちが思い思いに過ごすのを眺めているだけで、胸がいっぱいである。
イイカフェにはDJブースがあるもの。文化の交わるカフェという場所に、イイ音楽は欠かせない要素だ。この日は松任谷由実「真夏の夜の夢」を始めとした90年代初頭のJ-POPが中心のミックスが、寂しい気持ちを賑やかに盛り上げてくれた。この日流れていた楽曲の歌手たちの中にも、モントークを訪れた人がたくさんいるに違いない。
系列店であるロータスもそうだが、個人的にウニを使った料理が美味しいと思っていて、ロータスならウニのチャーハン、モントークならウニのリゾットをいつも食べていた。なので最後くらい別のものを食べようと思い、ゴルゴンゾーラソースがかかったグリルチキンをオーダー。
大きな一枚肉の柔らかチキンに、濃厚なゴルゴンゾーラソースがたっぷり。ご飯との相性も良いが、味わい深いソースまで余すことなく食すなら、パンにするべきだったと反省した。添えられたナチュラルカットのポテトも絶妙。付け合わせのスープは出汁を効かせて和風に仕上げているという、ミクスチャー感のある味わいも魅力だ。
カップのコーヒーを飲み干し、名残り惜しい気持ちを振り切ってお会計。レジ前も行列していた。というのも、馴染みの店員さんと写真を撮ったり別れを惜しむ。そんなやりとりを見つめているのも嬉しかった。待つのも苦じゃない。
OMOHARAREALではモントークやロータスを手がけた空間プロデューサー・山本宇一さんのインタビューを掲載しているのでぜひ読んでみてほしい。
レジに置いてあったポストカードにはモントークのイラストが載っていたので、記念に何枚かいただいた。しばらく建物は残るとのことだが、いつしかこの洗練された建物もなくなってしまうのかもしれないと思うと寂しい。しばらくデスクの上に飾っておこう。
ちょっと背筋が伸びる場所、というのは経験とともにだんだんと少なくなっている気がする。モントークで食事するのは“表参道の人”になれた気がして、思えば最初に表参道エリアのローカルの空気に触れた場所と言えるかもしれない。若き日に少しだけ、大人になる背を押してくれたモントークに、感謝を込めて。
■モントーク(montoak)
住所:東京都渋谷区神宮前6-1-9
電話:03-5468-5928
営業時間:11:00-26:00/月-木・日
11:00-27:00/金・土
定休日 なし
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