オーガニックコットン ボタン付き衣装カバー
Image by: ファクトリエ
2020年のレジ袋有料化や、4月1日から施行されるプラスチック廃棄物の削減、排出抑制に取り組む「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(以下、プラスチック資源循環促進法)」によって加速するサステナブルな取り組み。これを受け、エコバッグやガラス製のストローに続くアイテムとして、クリエイターのアイデアで生まれた布地製の衣類カバーが注目を集めている。
衣類カバーの役割と布地製衣類カバーのメリット
ビニール製の衣類カバーといえば、クリーニングを出した服に掛けられるものが一般的だろう。しかし、クリーニング業界は、プラスチック資源循環促進法によってプラスチック資源の使用抑制に向けた取り組みが求められており、店頭での回収や利用者への使用可否の意思確認、リユース・リサイクル、プラスチック使用量を抑えた衣類カバーへの順次切り替えなどが検討されている。全国クリーニング生活衛生同業組合連合会が公開したガイドブックでも「衣類用カバーは品質保持・衛生保持等の観点から必要なものであるため、現状では利用者に使用可否を促す対応は現実的に困難である」と明記されているように、衣類用カバーは埃や臭い、日焼けによる変色、防虫、衣類同士が擦れ合うことで生じる劣化などを防ぐことができる。特に、スーツや礼服などのフォーマルウェアや、コートやジャケットなどのシーズンアイテムを翌年より良い状態で着るためには、衣類カバーは欠かすことができない。そこで提案されているのが布地製の衣類カバーだ。
布地製の衣類カバーは、プラスチック資源の使用が抑えられるほか、衣類カバーをつけたまま保管することができるなどのメリットがある。クリーニング店で掛けられるビニール製の衣類カバーは通気性が確保されていないものが多いため、湿気が溜まりやすく衣類にカビが生えてしまう可能性があり、そのためビニール製の衣類カバーをつけたまま保管することは推奨されていない。一方、布地製のカバー、特にリネン製の衣類カバーは麻の防菌防臭の特徴から湿気が溜まりづらく洋服用のカバーに適した素材とされている。
ハンドメイドマーケットプレイスからじわじわと注目
23万人のクリエイターが登録している日本最大級のハンドメイドマーケットプレイス「クリーマ(Creema)」によると、今年に入ってからクリエイターが独自に開発した布地製の衣類カバーや、クリーニングの持ち帰りに便利なガーメントバッグが登場。これまでに、服の為のかばんやカバーは販売されたことがなかったという。クリーマの担当者は「クリエイター自身が欲しいと思ったものが製作・出品されることが特徴であるハンドメイドマーケットプレイスでは、大量生産商品よりも早く新しいアイデアアイテムが登場しやすい土壌がある」とし、今回人気クリエイターが衣類カバーを出品したことから「環境に対する意識や需要が広がってきているのでは」と分析している。
一方、日本の工場直結型のファッションブランド「ファクトリエ(Factelier)」は、プラスチック資源循環促進法が話題になる前の2021年3月に、片付けコンサルタントの近藤麻理恵こと"こんまり"とのコラボレーションアイテム「オーガニックコットン ボタンつき衣装カバー」を発売。現在に至るまで一定数売れ続けているという。プラスチック資源循環促進法の施行が決定した今年に入ってからも売上に大きな変化はないが、ファクトリエの担当者は「プラスチック資源循環促進法が生活に浸透し始める4月に入ってから売上が伸びるのではないか」と期待感を募らせた。
クリーマなど、ハンドメイドマーケットプレイスでコアな注目を集めている布地製衣類カバーだが、クリーマでの出品数は3件に留まっており、「minne byGMOペパボ(minne)」でも該当する作品数は5点のみだという。大手企業でも不織布製の衣類カバーの提案はあるが、リネン製やキャンバス生地製のものはまだ一般的には普及していない印象を受ける。サステナブル需要の高まりを背景に、布地製の衣類カバーは身近な存在になるのか、今後の展開が期待される。
RELATED ARTICLE
関連記事
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境