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コロナ禍で迎える3度目の春、紳士服メーカー各社がフレッシャーズ商戦を展開している。一昨年、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により入学式・入社式等の式典の中止が相次ぎ、大手紳士服各社は大きな打撃を受けた。依然、収束の目処は立っていないものの、式典等を感染防止策を講じながら開催する動きがあることから、徐々に回復の兆しが見えているという。
AOKI、青山商事、はるやまホールディングス、コナカの大手4社は今年のフレッシャーズ商戦において、若年層に人気のタレントを起用したCM放送をはじめ、SNSを中心としたデジタル上での訴求強化、若年層に人気のアパレルブランドとのコラボスーツの開発などの施策を展開。AOKIは昨年好評だったSNSのショート動画での情報発信や「オンライン卒業式」を今年も実施し、はるやまは人気Youtuber まあたそによる動画配信や、高校生にフォーカスした広告動画のTiktok配信を行っている。
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フレッシャーズ世代のスーツの購買時期は、コロナ前よりも後ろ倒しになっている傾向があるという。青山商事の広報担当者によると「これまでは私立大学の合格後にスーツ購入が増える傾向があったが、大学の入学式が実施されるかが未確定で3月に後ろ倒しになる傾向がある。その影響もあり客数は苦戦しているが、客単価に関してはオーダー需要もあり好調に推移している」と話す。コナカは「昨年、一昨年の同時期と比べて客足は微増傾向」とし、3月中旬から下旬にかけて商品が動くと見通している。
また、フレッシャーズ世代が求めるスーツのスタイル、デザインにも変化の兆しが見られるという。AOKIでは、メンズはスリーピーススタイル、ウィメンズはパンツスタイルが例年に比べて好調に推移しているという。はるやまでも、ベスト付きのスリーピーススーツの人気が高まっている。「例年では、就職活動向けの黒無地の需要が高かった。入学式をはじめ、成人式や結婚式などのシーンに着用することを想定しておられると共に、就活などへの利便性だけでなく『気に入ったデザインを着用したい』というご本人の意思をくみ取っているのではないか」(はるやま広報担当者)。
このほか、青山商事やコナカではフレッシャーズ商戦下において、オーダースーツのニーズが高まっているという。青山商事が手掛けるオーダースーツブランド「クオリティオーダー・SHITATE」の導入店舗は現在、「洋服の青山」で250店、「ザ・スーツカンパニー」で45店。洋服の青山ではこの1年間で対応店舗を約100店増やした。「導入店の拡大と共に認知度も向上しており、フレッシャーズのお祝い需要が増えている状況。価格の手頃感も要因の一つでは」(青山商事)。コナカでは2月以降のフレッシャーズ商戦におけるパターンオーダースーツの販売数が前年比で150%を超える売れ行きだったという。服装の自由化やテレワークの普及、コロナ禍による着用機会の減少により、スーツの需要が年々減っていく中、より自分のこだわりを反映した"特別な1着"を求める動きは若年層にも広がっているようだ。
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