知らないブランドを知ること、ファッションの再構成 vol.2 BED j.w. FORD
BED j.w. FORD 2022-23年秋冬コレクション
Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)
BED j.w. FORD 2022-23年秋冬コレクション
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知らないブランドを知ること、ファッションの再構成 vol.2 BED j.w. FORD
BED j.w. FORD 2022-23年秋冬コレクション
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「ベッドフォード(BED j.w. FORD)」というブランドも今回、しっかり知った。きっかけは、展示会を見に行った「レシス(LES SIX)」でも、「シンヤコヅカ(SHINYA KOZUKA)」でもデザイナーからベッドフォードを見ましたか?と聞かれたからという、非主体的な理由から。知らないブランドを知るのも楽じゃない。ファッションウィークの2日目には、知らないブランドはたくさんあったが、画面を通してのショー映像を見る限り、積極的に取り上げたいと思えるポイントは見つからず、残念ながらパス。そして3日目も、「知らないブランドには知られない理由がある」と自分のこれまでの怠慢を棚に上げて、キャリアの少ないデザイナーが、どうして絵に描いたような驚きのない無難なコレクションで済ませるのか!と逆ギレしていたのが、ふと思い出してベッドフォードのムービーとルックブックをチェックした。ついでに、ウェブメディアで得られるだけのベッドフォードやデザイナーの山岸慎平さんの情報を得て、輪郭から固めて行った。ブランド創立が2010年というから、12年も接点がなかったということに愕然とした。メンズだし、と口実を用意しながら少しずつ、12年間の堆積を剥がしていった、、、。
そして今シーズンの東京でのショー映像を視聴してみて、コレクションの要素にとても惹かれるものを感じた。まず色使いのセンス。それからモデル選びのセンス。余計な演出をしないことも好感を持った。
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山口達也さんの丁寧なインタビュー(Them)の中で、石川県出身の山岸さんはファッション雑誌を通してファッションに目覚めたという話をしている。中で、目が止まったのは、「タワーレコードにあった海外のファッション誌で、服じゃなくてモデルの顔だけのページがあったんですが、僕が知る限り当時の日本の雑誌にはないページだった」というくだり。これに気づく感性を持っているんだ!と勝手に私はうれしくなったのだけど、そう思って今シーズンのモデルの顔面を見て、かつてラフ・シモンズと写真家のデヴィッド・シムズが作ったモデルの顔だけで構成された“ファッション”写真集のようなものができるとおもしろいな、ベッドフォードのモデル集はもっとラフで、温度が高いだろう、などと妄想したものだった。女性モデルの選び方、混ぜ方も絶妙で、新しい女性を感じさせるものだ。
VOL.1で取り上げたシンヤコヅカも、このベッドフォードも、奇しくもメンズブランドだ。メンズブランドは、急変化を遂げている。色使いもデザインもスタイリングも、モデルも日進月歩で拡張している。ウィメンズでは、今やなかなか見られなくなった生(ナマ)の要素が、一部のメンズに見られるのも、とても興味深いことだ。ウィメンズコレクションでは現実を離れると、とかくファンタジーの方向に行きがちだけど、メンズはあくまでも着られる服として構想しているところが好ましい。リアルがクリエイションを引っ張っている。
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