「ソフトハイフン」ISSUE01 ビジュアル
Image by: SOFTHYPHEN
「ミスター・ジェントルマン(MISTERGENTLEMAN)」は4月中旬、ブランド名を「ソフトハイフン(SOFTHYPHEN)」に変更し、新コンセプトで再始動する。ブランド名の変更は設立10周年を機に行われるもので、2021年1月に死去したデザイナーのオオスミタケシ氏とともに、吉井雄一氏が以前から計画していたという。
3月10、11日にはソフトハイフンとして初のコレクションとなる「ISSUE 01」がプレス関係者向けて公開された。2022年春夏コレクションの発表を休止し、1年ぶりの新作披露となった今回、ブランド名変更のほか、ジェンダーレスの提案、シーズン表記やセールの廃止などを含む新たな方向性が明らかになった。ソフトハイフンの今後について、吉井氏に話を聞いた。
ソフトハイフンに込めた思い
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ブランド名の変更のきっかけとして吉井氏は「10年前はしっくりきていたが、(多様性やジェンダー平等が言われて久しい時代の背景から)"ミスター"も"ジェントルマン"も時代にフィットしないのではと感じるようになった」と説明する。「オオスミさんが亡くなった時に、多くの方から『ブランドをやめないでください』という声をいただいたが、実は元々『ミスター・ジェントルマン』としての発表はオオスミさんと一緒にデザインした2021-22年秋冬コレクションを最後にしようと計画していた。当初は別の名前で進行が決まっていたが、一から考え直すことにした」と明かす。
ソフトハイフンとは、綴りの長い一つの英単語が⾏に収まらないときに、その単語を途中で改⾏させるために使用されるハイフン記号のこと。「オオスミさんの姿形はなくても、今も一緒に手掛けているという気持ち。これからもその思いを持って、ブランドを続けていくことが大事だと考えた時に、たまたま出合ったのがこの言葉だった。 "続けていくために必要な記号"という意味が胸にストンと落ちた」と話す。
より、ジェンダーを問わない服へ
デザインはこれまでも「ミスター・ジェントルマン」がコンセプトの一つとして掲げてきた、ミニマルでベーシックな「ポストモダンクロージング」を提案する。吉井氏は10年分の過去のアーカイヴを見返し、今新鮮に感じたというトラッドスタイルやベーシックカジュアルの要素をファーストコレクションのISSUE 01に踏襲した。
「『ミスター・ジェントルマン』のデビュー当時に出していたボタンダウンのシャツにジャケットを合わせたトラディショナルなルックが、今見るとフレッシュに感じられた。10年経って一巡りして、ルーツに戻った感覚」と吉井氏。
サイズは性別関係なく着用できる00〜04までに広げたほか、SML表記を廃止。よりジェンダーの垣根のない、シンプルでありながらブランドらしいギミックの効いたウェアが揃う。「その人に合うサイズを選んでいただくという提案だが、それぞれのサイズごとにパターンも微妙に変えている。サンプルを何度も作り、最も時間をかけたコレクションになった」。
シーズンの概念を排除し、セールも廃止
ソフトハイフンでは従来の「春夏」「秋冬」の表記を外し、ISSUE 01としてシーズン名を入れない発表に切り替えた。吉井氏は「春夏と記すことで、秋に入った瞬間に過去の商品として扱われ、セールにかけられることに疑問を感じていた。特に実売期にセールが行われるのは負のサイクル。シーズンという概念に捉われず、自分たちでコントロールしていきたいと考えた」と説明する。
ソフトハイフンとしてのISSUE01コレクションは4月〜12月に発売を予定しているが、その後も継続して販売していく考え。これを機にセールも廃止する。
環境に配慮した責任ある服作り
ISSUE01では、オーガニックコットンをはじめ、リサイクル素材など、これまでよりも環境に配慮した素材を採用。付属する商品タグにも、モノ作りの責任を明記している。「ただデザインやクリエイションでブランドをやっている時代ではなくなった。今後のファッションは、原料や生産方法、販売方法も含めて、配慮をしていかなければ通用しなくなると思う。飲食は飲食免許や衛生検査も必要だが、ファッションは少し緩い部分がある」と吉井氏。責任ある服作りの難しさに直面しながらも、「ファッションならではのドキドキする瞬間もあり、やっぱり服作りは楽しいと思えた」と振り返った。
ソフトハイフンとしてのスタートは4月中旬を予定し、青山路面店やオフィシャルSNSもリニューアルが計画されている。
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