Image by: yutori
ZOZOの傘下企業で「ナインティナインティ(9090)」などを展開するyutoriが、「フラグスタフ(F-LAGSTUF-F)」を2月25日付で事業譲受した。yutoriはこれまで自社ブランドのみ展開してきたが、目標に掲げる「2023年のIPO達成」を実現するためにブランドポートフォリオの拡充を進めていく方針だ。
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フラグスタフはデザイナーの村山靖行が2014年に立ち上げ、東京を拠点に活動。「何にもとらわれないボーダレスな物づくり(Impartial to Everything)」をコンセプトに、ミリタリーやアウトドアの要素を含んだストリートウェアを提案している。
yutoriは代表の片石貴展氏が2018年4月に創業。国内最大級の古着コミュニティ「古着女子」で広く認知され、現在はナインティナインティをはじめとするD2Cブランド事業を中心に運営している。2021年度(2022年3月期)の年商は20億円を見込む。
◇フラグスタフのクリエイション×yutoriのマーケティング力でシナジー創出へ
yutoriにとって外部ブランドの買収はフラグスタフが初めてとなる。yutoriは昨年、片石代表自身が責任者となりデザイナーズ事業部を発足。同事業部を通じて立ち上げたアーティストの永戸鉄也との協業ブランド「genzai」は、最も人気のあったアイテムの抽選販売で2億円以上オーダーが入るなど奏功しているという。片石代表はこの経験から「業界の先輩とコラボレーションしながらムーブメントを大きくしていく形が、今のアパレル業界における僕らならではのスタイル」と捉え、今回のフラグスタフ買収もその一つと位置付ける。
フラグスタフとは以前から交流があり、「お互いの強みを強化し弱みを補うことができる」という観点が一致したことで、事業譲受の話はスムーズに進んだという。「フラグスタフのものづくりに対するストイックな姿勢と、yutoriが持っているマーケティングの知見やプロモーション力、キャッチーに魅せていく戦術が上手くハマれば、さらに大きなブランドになれるのではないかと思っている」(片石代表)。ブランドの世界観やクリエイションの方針に変更はなく、yutoriの傘下でインスタグラムやTikTokなどのSNSマーケティングや商品開発などの面で連携するほか、直販も強化していく。買収額は非公表。フラグスタフの村山代表も「お互いがこれまで積み上げてきた国内での認知や実績を軸に、今後は更なるグローバルでの展開を共に盛り上げていきたい」とコメントを寄せた。
◇yutoriでは新たに5つの自社ブランドを立ち上げ
フラグスタフに続くブランドの買収も計画中で、同様にストリートブランドを予定。時期は未定としている。この他にもグループ入りを検討できるブランドを模索し、対話を重ねていきたいという。対象ブランドの基準として「売上は数億円規模、最大で約5億円規模」「専門性や独自性が高いこと」などを挙げる。「職人気質な方との方が自分たちとの役割分担がはっきりすると思う。特に、業界の流れがオフラインからオンラインに大きく潮流が変わったコロナ禍の現状において、今後どうしていくか悩んでいるようなブランドに対しては、僕らとしても力になれる部分が大きいと考えている」(片石代表)。
yutoriは外部からのブランド買収を進めるだけではなく、自社オリジナルブランドを年内に5つ立ち上げる予定。自社ブランドは現時点で11ブランドを展開しているが、年末までに15ブランドになる見通しだ。
買収によるブランド獲得を含め、IPO達成時には20ブランド、将来的には売上10億円以内のブランドを100ブランド展開する規模に拡大したいという。「小さい国(各ブランド)がたくさん生まれ、その集合体がyutoriである。あれも、これも、実はyutoriでやっていた、そうなれたら面白いなと考えている」。
現在はストリートファッションを主軸にしたブランドを多く手掛けるが、そのマインドは引き継ぎながら、「反骨精神を持ったデザイナーズブランド」との取り組みの拡張を視野に入れる。海外マーケットの開拓にも意欲的で、海外のブランドを日本に上陸させるなどの戦略を実現させていきたい考えだ。
また、yutoriはコーポレートデザインを一新。「ファッションブランドを纏うことで、未知の才能をもつ世界中のハグレモノが、そのズレを強さに反転させられるように」という願いを込め、新たなミッションには「TURN STRANGER TO STRONGER」を掲げた。
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