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マスクを着用することが当たり前になり、メイクやアイウェアを楽しみづらくなったからか、近年ヘアスタイルによる個性化が加速している。代官山のサロン「SAL」の代表 松尾芳晴は「体感としても、女性も男性も少し個性を求める人が増えたような気がする」と話す。町中では金髪はもちろん、テレビアニメ「鬼滅の刃」の人気キャラクターのイメージに合わせた髪色に染める通称「鬼滅ヘアー」など、デザインカラーを楽しむ人が増えているようだ。そんな中、漫画「ヒカルの碁」の主人公を彷彿とさせる前髪とサイドの髪をカラーリングしたヘアスタイルがスナップを中心に急増中。「フェイスフレーミングカラー」と呼ばれるこのヘアスタイルについて、「コード プラス リム(CODE+LIM)」のクリエイティブディレクターであるワタローは「2年ほど前から徐々に人気となり、最近はもう流行というより当たり前にあるメニュー」としながらも「カラー剤がここ2、3年でブラッシュアップされ『ブリーチは痛むもの』という認識が少し改善されてきたのも大きい」と分析する。
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ジェニーの約2年前の投稿
フェイスフレイミングカラー流行のきっかけは、ガールズグループ「ブラックピンク(BLACKPINK)」のジェニー(Jenie)をはじめとした韓国のアイドルとされている。北京2022冬季オリンピック フリースタイルスキーで計3個のメダルに輝き、中国では絶大な人気を誇る谷愛凌選手もフェイスフレイミングカラーを楽しむ1人だ。
数年前に全頭を染めず、髪の一部分だけをカラーリングする「インナーカラー」や「イヤリングカラー」が台頭した。派手なヘアスタイルにトライしたくても校則や職業柄難しかった人など、デザインカラー初心者が手軽に挑戦できることが流行の要因の1つとして考えられるが、その後前髪とサイドの髪を全て染め上げるフェイスフレイミングカラーが流行したことは興味深い。
ワタローはフェイスフレイミングカラーの流行の影には薬剤の進化があると話す。
「今までは高アルカリ性の薬剤で髪の毛を膨潤させ、負荷をかけることでパーマやカラーリングを施すのがベーシックだった。しかし近年、薬剤の研究が進みプレックス剤と呼ばれるものが一般的に使用されるようになったため酸性域でのアプローチや、内部補修の精度が高まった。よって気軽にイメージチェンジをしやすくなったのではないだろうか」(ワタロー)。
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薬剤の進化と共に、フェイスフレイミーングカラーと合わせて近年街中で見かけるようになってきたのは、1990年代後半の窪塚洋介の様なツイストパーマやパフィー(PAFFY)を彷彿とさせるワッフルパーマなど、無造作なハードパーマスタイル。ボブや切りっぱなしスタイル流行の反動から注目を集めているウルフヘアスタイルをベースに、強めのパーマが掛けられているスタイリングは、ロックバンド「クイーン(QUEEN)」のギタリストブライアン・メイ(Brian May)をも想起させる。
ハードパーマの流行に関して松尾は「扱いやすさからボブや切りっぱなしなど、永らく重いヘアスタイルがトレンドを席巻していたが、3〜4年前からレイヤースタイルがトレンドになった。ただ、スタイリングがどうしても難しく、自宅での再現性を引き上げる為にパーマの需要が増したのではないか」と考察。また、ワタローは「アナログが1番オシャレだと考えているファッションオタクがじわじわとやり出した。一部のコアでオシャレな人たちがハードパーマを楽しんでいたことをきっかけに、より広い層にリーチしたのでは」と説明。「1990年代後半〜2000年代半ばに流行したスタイルを指す『Y2K』の人気と共に、ピンタレスト(Pinterest)などで気軽に当時の様子を知れることができることも大きい」とし、続けて「トレンドヘアとは、個より数。SNSでよく見る髪型にしたくなるのではないだろうか。よって、有名な誰かが独自のヘアスタイルをしたことで爆発的に流行することは稀で、少しずつ色んな人がやっていくのを見て真似していく傾向がある」と分析した。
■ワタロー
原宿の人気サロン「CODE+LIM」のクリエイティブディレクターでスタイリスト。ヘアメイクのみならず、セミナーや美容学校の講師としても活動している。
公式インスタグラム
■松尾芳晴
2022年1月に約7年間在籍した株式会社SOCOを退社。3月に代官山のサロン「SAL」をオープンした。
公式インスタグラム
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