INFINITE CHALLENGE. PHOTO: COURTESY OF MBC
ADVERTISING
『イカゲーム』の元ネタになったゲーム番組から、韓国にHIPHOPブームを巻き起こしたオーディション番組まで、あなたが観るべき番組をシチュエーション別にご紹介。
By David D. Lee PAJU-SI, KR Translated By Nozomi Otaki
胸に番号を振られたジャージ姿の人びとが、ひとつの部屋に閉じ込められている。そこで深く、ミステリアスな声が、就寝、食事、ゲームの始まりを告げる……。これは『イカゲーム』の話ではない。昔ながらの子供の遊びに暴力的なひねりを加え、このNetflixドラマは空前の大ヒットを記録したが、本作がベースにしているゲーム番組のフォーマットは、決して目新しいものではない。そのフォーマットには名前がある。バラエティ番組だ。
韓国人やK-POPカルチャーのファンならば、『無限に挑戦』でキャストたちが高層ビルを模したセットで綱引きをしたことを覚えているだろう。これこそ、この大人気サバイバルドラマの元ネタだ。
しかし、血みどろの『イカゲーム』とは異なり、バラエティ番組は純粋なエンターテインメントに他ならない。子ども、ティーンエイジャー、両親、祖父母みんなが安心して楽しめる数少ない娯楽のひとつであり、ウィットに富んだ内容が1時間の家族団らんを生み出す。バラエティ番組にはさまざまな種類があるが、一度観れば違いがわかるはずだ。
韓国のバラエティ番組とは?
韓国のバラエティ番組を一度も観たことのないひとに説明するのは難しい。ゲーム番組、音楽オーディション、リアリティ番組すべてが〈バラエティ〉に該当する。しかし、主な共通点は、そのほとんどが気負わずに視聴できる、台本なしの愉快で滑稽な番組ということだ。韓国のポップカルチャーの知名度が高まるにつれ、バラエティ番組も、K-POPグループや韓国ドラマと同様、着実にファンを増やしつつある。ここで紹介するのは、一般的なバラエティ番組のほんの一部だ。
韓国のゲーム番組が観たいあなたへ
『無限に挑戦』のように、韓国のゲーム番組では、出場者がシンプルだが愉快なミッションに挑むことが多い。プレーヤーは番組メンバーや有名人のゲストで、普段はなかなか見られない、アイドルではなく人としての新しい一面を垣間見ることができる。
『Xマン』は、2000年代はじめに放送されていた超人気ゲーム番組。有名人のゲストが2チームに分かれ、ミニゲームで戦いながら、グループの誰が〈Xマン〉、つまりスパイなのかを探る。番組は2007年に終了したが、韓国のゲーム番組人気は今も衰えていない。
次世代のゲーム番組のひとつが、有名人のゲストと番組メンバーが今や伝説となった〈名札はがし〉ゲームなどのミッションに挑む『ランニングマン』だ。MCのひとりであるユ・ジェソクは、この番組をきっかけに一躍国民的スターとなった。
格闘技シルムのチャンピオンからコメディアンへと転身したカン・ホドンがホストを務める、中毒性のある番組『新西遊記』では、メンバーたちは願いを叶えるためのキーアイテム〈ドラゴンボール〉を手に入れるため、コスチュームを着てミッションをこなしていく。番組内のゲームは、ヘッドフォンを装着しながらプレイする究極の伝言ゲーム、通称〈イヤホンガンガンゲーム(고요속의 외침:静寂の中の叫び)〉や、写真のセレブやキャラクターの名前を当てる〈人物クイズ〉など。いっぽう『1泊2日』は、メンバーたちが一泊の宿と食事を与えられ、さまざまな試練に立ち向かう番組だ。
このようなゲーム番組のミッションは、大学の合宿やアイドルグループのバラエティ番組などにも取り入れられている。身体的・精神的なミッションに加え、韓国のゲーム番組の出演者はダンス、歌、モノマネなども披露する。
こんなときに:気楽に思い切り笑いたい
こんな作品が好きなひとにおすすめ:『SASUKE』『アメージング・レース』『ファミリー・フュード』
ウォッチリスト:『無限に挑戦』『Xマン』『ランニングマン』『新西遊記』『1泊2日』『大脱出』『知ってるお兄さん』『週刊アイドル』
韓国のリアリティ番組が観たいあなたへ
大半のリアリティ番組と同様、韓国のリアリティ番組も、極限状態もしくは何気ない日常の一幕を見せるものだ。『リアル・ハウスワイフ』と比べればドラマ性に欠けるかもしれないが、それと同じくらい、またはそれ以上に視聴者の心を掴んで離さない。
『ジャングルの法則』は、コメディアンのキム・ビョンマンと有名人のゲストが世界中の遠隔地でサバイバルに挑む番組。出演者はカメラの前でテントを張り、屋外で料理を作り、ヤスで魚をとり、野生のイノシシを狩る。いっぽう自然から遠く離れ、『私は1人で暮らす~シングルのハッピーライフ~』は有名人の私生活に密着し、彼ら彼女らの1日の過ごし方を追う番組だ。韓国の他のバラエティ同様、この番組もスタジオのキャストと一緒に視聴する形式だ。面白おかしいエピソードが多いが、孤独感など、スターとしての生活の影の部分にも焦点を当てている。
こんなときに:家にひとりぼっちで仲間が欲しいとき
こんな作品が好きなひとにおすすめ:『サバイバー』『テラスハウス』『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』
ウォッチリスト:『ジャングルの法則』『私は1人で暮らす~シングルのハッピーライフ~』『イ・スンギのチプサブイルチェ~師匠に弟子入り』『醜い私たちの子』『ヒョリの民宿』
韓国の旅番組が観たいあなたへ
長期休暇中の旅行が恋しいあなたにぴったりのジャンルだ。旅番組は世界共通だが、韓国の旅番組の特徴は、歌手や俳優など、普段はほぼTV番組に出演しない有名人が出るということだ。
『ユン食堂』では、アカデミー女優のユン・ヨジョンが、インドネシアとスペインで期間限定のレストランを開く。スタッフとして働く他の有名人の手を借りながら、彼女はレストランのコンセプトを考え、レシピを考案し、お客さんと交流する。舞台は韓国ではないが、番組にはビビンバやプルコギなど、有名な韓国料理が登場する。
いっぽう『어서와 한국은 처음이지?(直訳:ようこそ、韓国は初めてだよね?)』は、国内旅行にフォーカスした番組だ。各エピソードで、韓国在住の外国人が祖国から家族や友人を招き、韓国のあちこちを案内する。韓国の文化財、飲食店、絶景、そしてさまざまな試練が訪れるひとを待ち受けている。
こんなときに:冒険したいとき
こんな作品が好きなひとにおすすめ:『アンソニー世界を駆ける』『Long Way Up:大陸縦断バイクの旅』
ウォッチリスト:『ユン食堂』『어서와 한국은 처음이지?(ようこそ、韓国は初めてだよね?)』『花よりおじいさん』『三食ごはん』
韓国のモッパン番組が観たいあなたへ
モッパン(韓国語の〈食べる〉と〈放送〉を組み合わせた言葉)は、全世界のインターネットで大人気だ。しかし韓国では、モッパンはTVでも放送されている。名前からもわかるように、要は食べて食べて食べまくる番組だ。
『美味しい奴ら』は、お笑いタレントたちが美味しい飲食店を求めて国じゅうを旅する番組だ。番組ホストはまるで無限の胃袋を持っているかのように、四六時中何かを口に運んでいる。番組で紹介された飲食店は超人気店となり、ホルモン、餃子、冷麺などを求める人びとで長蛇の列ができる。
韓国の飲酒文化に興味があるなら、料理界の重鎮ペク・ジョンウォンと有名人のゲストがサムギョプサルやチョゲグイ(貝焼き)、ジョン(フリッター)、そしてもちろん韓国の伝統的な酒ソジュやマッコリに舌鼓を打つ、『ペク・ジョンウォンの呑んで、食べて、語って』がおすすめだ。韓国の居酒屋で毎晩のように繰り広げられる会話や、そこで偶然生まれる絆を体感することができる。
こんなときに:家でのひとりランチ、深夜にラーメンが食べたいとき
こんな作品が好きなひとにおすすめ:『腹ぺこフィルのグルメ旅』『ストリート・グルメを求めて』
ウォッチリスト:『美味しい奴ら』『ペク・ジョンウォンの呑んで、食べて、語って』『新商品発売~コンビニレストラン』『路地裏食堂』
韓国の音楽オーディション番組が観たいあなたへ
今やK-POPは全世界に広まった。しかし、韓国の音楽オーディション番組に馴染みのないひとは、まだまだ多いかもしれない。番組出演者には次のスターを目指すひともいれば、趣味として純粋に歌を楽しんでいるだけのひともいる。
『SHOW ME THE MONEY』は、数千人のラッパーが優勝と有名になるチャンスを賭けて戦う番組。形式はシーズンごとに異なるが、たいていのあらすじはこうだ。ファーストラウンドでは、出場者たちは倉庫風のスタジオを埋め尽くし、審査員の前でラップを披露する番を待つ。次のラウンドでは、ディスバトルと、番組審査員のヒットメイカーが提供するビートに合わせてリリックを制作。予選ラウンドを勝ち抜いたほんのひと握りの参加者が、観客の前でライブパフォーマンスを行い、のちにヒットチャートを独占するオリジナル楽曲を披露する。
もっと気軽に楽しめる番組を探しているあなたには、有名人のパネリストたちがカーテンの向こうで歌っている人物が有名な歌手かどうかを当てる『本物は誰だ!~HIDDEN SINGER』がおすすめだ。この番組は大好評を博し、取り上げられた懐かしの楽曲が次々に人気チャートに返り咲いている。
こんなときに:カラオケに行きたいとき
こんな作品が好きなひとにおすすめ:『リズム+フロー』『アメリカン・アイドル』『ブリテンズ・ゴット・タレント』
ウォッチリスト:『SHOW ME THE MONEY』『本物は誰だ!~HIDDEN SINGER』『君の声が見える』『覆面歌王』『高等ラッパー』
デヴィッド・D・リーのTwitterをフォロー。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【VICE Japan】の過去記事
RELATED ARTICLE
関連記事
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境