ファッション業界で働く・目指す人にとってファッションデザイナーは憧れの存在。有名ブランドのデザイナーともなれば雲の上の人のように感じるかもしれません。しかし、全てのデザイナーが、泉が湧き出るようにデザイン画を思いつくわけではなく、我々と同じように頭を抱えて悩んだり、評価されて両手を挙げて喜んだりと、人間らしい一面を持っていることでしょう。そこで今回はデザイナーの素顔が見られるおすすめのファッション映画を紹介します。
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Tiffany & Co
Brand features
世界5大ジュエラーのひとつとして知られるジュエリーブランド・Tiffany & Co。アーティストやセレブをはじめ、ロイヤルファミリーも愛用していた由緒正しいブランドです。創業者のチャールズ・ルイス・ティファニーは287.42カラットという世界最大級のイエローダイヤモンドを購入し、それまで価値が低いとされていたイエローダイヤモンドの魅力を世に知らしめ、「キングオブダイヤモンド」と呼ばれるようになりました。このイエローダイヤモンドは「ティファニーダイヤモンド」と名付けられ、選ばれた者のみ身に着けることができます。2019年にはアカデミー賞を受賞したレディー・ガガが、『ティファニーで朝食を』のプロモーションでオードリー・ヘプバーンが着用して以来、実に58年ぶりに着用し大きな話題を呼びました。Tiffany & Coはブランドカラーである「ティファニーブルー」を商標登録し「スタイルと品格の世界的なシンボル」とするなど、確固たるスタイルを確立する格式高いブランドなのです。
Movie
『ティファニー ニューヨーク五番街の秘密』
Tiffany & Co初となるドキュメンタリー映画。映画を観るとTiffany & Coがこれほど世界を虜にしてきたのには大きく分けて2つの要素があることがわかります。
ひとつは「ダイヤモンド」。ブランドの代名詞でもあるダイヤモンドは質・大きさ共に最良の選別が行われ、ダイヤモンドを美しく見せるために最善を尽くしています。6本の立て爪で石を浮かすように固定することであらゆる角度から光を取り込み、ダイヤモンドの輝きを一層際立たせる「ティファニー®セッティング」は、世界で最もアイコニックなエンゲージメントリングとして愛されています。
もうひとつは「ブランディング」。消費者に休んでほしいという理由から日曜日を定休日にしたり、それまで商品を並べるだけだった単調なウィンドウディスプレイをアートのように遊び心を持たせたりとブランドとしてのスタイルを確立することに長けていました。中でも映画業界とのコラボレーションは功を奏し、オードリー・ヘプバーン主演の『ティファニーで朝食を』でブランディングに大成功しました。
作品中では多くの著名人がTiffany & Coへの愛を語ります。なぜこれまで多くの人々に愛され、180年以上の歴史を持つブランドとなったかがわかる作品です。
MANOLO BLAHNIK
Brand features
MANOLO BLAHNIKはイギリスのシューズブランド。先の尖ったトゥと高いヒールでエレガントな雰囲気を持ちながら、リボンやビーズなどセクシーでカラフルな装飾が特徴です。ジョン・ガリアーノやマイケル・コースなどさまざまなデザイナーとのコラボレーションはいずれも大成功。ダイアナ妃をはじめとする多くの著名人が着用し、ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』や映画『マリー・アントワネット』にも登場し話題となりました。『セックス・アンド・ザ・シティ』放送中にはとある百貨店で1年間に約3万足を売り上げたそうです。ソフィア・コッポラ監督は映画『マリー・アントワネット』を撮るにあたり、「マリー・アントワネットなら誰に靴を依頼するだろうか?」とう自問に「マノロ・ブラニクだ」と自答したというエピソードもあるほど、ファンはもちろん各業界人から厚い信頼を寄せられているブランドです。
Movie
『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』
MANOLO BLAHNIKは世界中のファッショニスタから愛される大人気ブランドですが、デザイナーであるマノロ・ブラニクは地位や名声には興味がありませんでした。ファッションデザイナーを目指していたマノロは知人の紹介で出会ったアメリカ版「VOGUE」の編集長ダイアナ・ヴリーランドに靴のデザインを見せたところ、靴づくりに集中するよう助言され、靴デザイナーとしての人生を歩み始めました。MANOLO BLAHNIKの靴は「世界で唯一走れるピンヒール」と呼ばれるほど履きやすいことで知られています。世界的な成功を収めた今でも職人技術にこだわり最高の靴づくりを追い求める彼は、イタリア・ミラノの工房で職人たちと共にハンドメイドの靴づくりを続けています。映画では「私の人生の喜びは、工場で時間を過ごすことなんだ。とても悲しいが、それが唯一愛することなんだよ」という言葉通り、結婚を考えず、靴づくりに没頭するマノロ・ブラニクの生き様を見ることができます。
Pierre Cardin
Brand features
Christian Diorのアトリエ主任をしていたピエール・カルダンによるフランスのブランド「Pierre Cardin」。ビニールやアルミ、プラスチックなど一見服に用いることのなさそうな無機質な素材を使った幾何学的なシルエットの「コスモコール・ルック(宇宙服ルック)」はブランドを代表するルックとして知られています。1966年当時、この未来的なデザインはファッション業界に衝撃を与えました。未来やテクノロジーから沢山のインスピレーションを受けていた彼は、1968年には型崩れせずに立体加工ができる新素材「カルディーヌ」を発表。1971年にはNASAで民間人で唯一アポロ11号の乗組員が来た宇宙服を身に着けたことで話題になりました。時代の何歩も先を行っていたのは、アバンギャルドなデザインだけではありません。モードの民主化を実現させ、デザイナーで初めてライセンスビジネスを興すなど経営者としても先見の明に長けていました。
Movie
『ライフ・イズ・カラフル 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』
伝説のファッションブランド「Pierre Cardin」、そしてモードの革命児と呼ばれたピエール・カルダンに密着した映画。1959年までモードファッションと言えばブルジョワ向けのオートクチュール(高級仕立て服)が主流でした。しかしピエール・カルダンは百貨店プランタン向けにプレタポルテ(既製服)のコレクションを発表。1962年には自店のオートクチュール作品のコピーを自ら作成し、安価なプレタポルテを売り出したのです。
ライセンスビジネスや、芝居のプロデュース、事業者としてパリの老舗レストラン「マキシム」を経営するなどこれまでデザイナーの誰もやってこなかったことに次々とチャレンジしました。もちろん全てが順調に進んだわけではなく、「マキシム」には一度門前払いをされています。しかしどんな苦難を前にしても、ピエール・カルダンはそのチャーミングなキャラクターと持ち前のエネルギッシュさで立ち向かい、最終的にはリベンジ買収を成功させるに至りました。
映画では秘蔵映像や豪華ゲストたちの証言をもとに、世界中に「おしゃれの楽しさ」を伝え続けたピエール・カルダンの素顔に迫ります。
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