グンゼの佐口社長。 2022年度は新規事業や イノベーション等に取り組む
グンゼの佐口敏康 代表取締役社長は2022年の経営方針について、「新しい価値を創造し『ここちよさ』を提供することで、持続可能な社会の実現に貢献します」という標語を掲げ、新規事業の創出や既存ビジネスの拡大に取り組む。資本を効率的に投資すると共に、サステナブル経営にも力を入れる。
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新規事業、既存事業の拡大を目指す
2021年度(2022年3月期)の通期業績は、増収増益で着地する見通しだ。「アパレル」ビジネスでは、ECやレディスインナーの差異化商品が健闘したほか、「機能ソリューション」ではプラスチック、エンプラ、メディカルの3部門が好調だったためだ。
懸念材料だった、コロナ禍の影響によるベトナム工場のロックダウンも昨年11月には正常化した。インドネシアでも全拠点で通常のオペレーション体制に戻っている。「アパレル」ビジネスでは、昨年10月下旬から人手が戻り始め、店頭も賑わってきたが、「まだ購買にはつながっていない」(佐口 社長)と分析している。
来期の2022年度は、新しい中期経営計画「VISION 2030 stage1」(V30-1)の最初の3カ年の初年度に当たる。2030年度までを見据えた長期計画の土台を作る重要な期間に位置付ける。V30-1では4つの指針を掲げる。①新たな価値の創出、②資本コスト重視の経営、③企業体質の進化、④環境に配慮した経営、だ。
新たな価値の創出では、M&Aも視野に入れた新規事業の創出、既存事業の成長を目指す。「M&Aの予算枠も充分に確保している」(佐口 社長)と言い、具体的な金額については今年中に公表予定だ。また、サステナビリティを追求した新しい商品やサービスの開発にも力を入れる方針である。2つ目の資本コスト重視の経営では、2つの指標──税引後利益から投下資本使用に伴う資本コストを控除した「GVA」、税引後営業利益を投下資本で除した「ROIC」を基に事業の収益性を評価する。
アパレルの梁瀬工場で“ネットゼロ ファクトリー”の試み
企業体質の進化では、多様な人材が活躍できる企業の風土作りを進める。デジタル技術を応用して、新しい働き方や生産性の向上などにも取り組む。4つ目の環境に配慮した経営では、2024年に完成予定の「守山工場」で“サーキュラーファクトリー”に取り組む。プラスチック製品を扱う工場で、屋上に太陽光パネルを設置するなどし、資源循環の仕組み確立に力を入れる。
また、アパレルの梁瀬工場では“ネットゼロ ファクトリー”(生産工程の二酸化炭素をゼロにする、IoT活用により自動化を図る工場)を試みる。工場周辺の休閑地に太陽光パネルを設置するほか、工場の生産ラインにおいては、一部のラインで「自動化」を目指す。強みにするレディスの差異化商品を生産するラインで、無縫製の接着工程を自動化する試み。「詳細は企業秘密で言えない」(佐口 社長)が、2024年度をめどに1ラインを実験的に稼働させる計画だ。「ロックダウンなどの非常時は人員の少ない方が有利」(同)だと考えている。
(樋口尚平)
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