FASHIONSNAP社長 光山玲央奈
Image by: FASHIONSNAP
Maison Margiela コースター
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F:こんなのあったんですね!
光山:ものすごい直球のデザインですよね(笑)。フォーステッチとカレンダータグ、ブランドロゴという。
F:まさに王道という感じですね。コースターはよく使うんですか?
光山:時と場合によりけりですかね。家で使っているダイニングテーブルが無垢なので、ハイボールとか飲む時にコップの水シミができるんですよね。最初は「それもアジ」って思ってたんですけど、どうしても我慢できなくてコースターを使い始めました。
F:水シミは一度つくと面倒くさいですからね。他にもコースターは持ってるんですか?
光山:うーん、ハンカチとかを代用してたので持ってないですね。でもお店のオープンや記念でプレゼントすることはありますよ。「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」とかはイントレチャートで作っていて素敵ですし。
F:よく見るとコバもしっかり処理してあってさすがという感じです。
光山:このフォーステッチも裏側は見えないようにスエードで処理してあって、遊び心があってもさすがのクオリティですよね。
F:でもフォーステッチのコースターは1つだけなんですね(笑)。
光山:正直、全部フォーステッチにして欲しかったです(笑)。カレンダーロゴのほうが作りやすいんでしょうけど、インパクトだとフォーステッチですからね。OTB傘下になってマルジェラはすごくマーケティングが上手くなったなって思うんですが、こういうところにもそれが出てますね(笑)。
F:やっぱりマルジェラ=フォーステッチですし、易々とは使わないぞということなんですね。これは収納ケースもブラックレザーにホワイトのステッチでまとめられていてインテリアとしてもいいですね。こういうアイテムは他にも買ったりするんですか?
光山:気に入ればという感じですけど、メゾンやブランドが出す小物って面白いものが多いんですよね。「シュプリーム(Supreme)」とかもウェア類は全く興味ないんですけどアクセサリーやグッズは必ずチェックします。
F:シュプは脚立を何個か買ってましたよね。
光山:3つ買って、家に1つ、会社に2つ置いてます。カメラマン達が脚立をよく使うので「喜ぶかな」ってスタジオに置いてるんですけど、放置されていて。聞いたら「これ重いんですよね」って不評なんだと最近知りました(笑)。
F:今年もコロナで在宅が続く中、こういうアイテムも増えた気がします。
光山:マーケティングを考えるととても正しいと思いますね。TPOでも日本は特にオケージョンが少ないと言われていましたけど、家でご飯食べようという機会が増えて、そこで特別感を出せるのってやっぱりブランドなんですよね。今後もこういうのが増えて欲しいなって思っています。
TEATORA Souvenir Hunter-EVA
F:軽いですね。何グラムですか?
光山:サイズ2なので720グラムです。持ったときにハッとする軽さですよね。素材もとても軽やかで着ていてストレスゼロです。
F:どこらへんが気に入ったんですか?
光山:軽さや内ポケットとかの豊富さもそうですけど、やっぱり細部が考えられてるところですね。ポケットが高めの位置に配置されてるところやジップが屈まないでも閉められる位置にあるところとか「そうそう、ここのディテールがネックだったんだよね」というところをしっかり考えて改善されてるのは流石です。あとはフードの立ちが良いところもポイントですね。
F:テアトラのエヴァポッドシリーズは超軽量のためデリケートな素材として扱いに注意書きがされていますけど、旅先での観光のために開発されたスーヴェニアハンターモデルにエヴァポッドを採用することに疑問とかはなかったですか?
光山:これで冬山に行けと言われたらあれですけど、都市向けですからね。最近のダウンアウターはオーバースペック過ぎて利用シーンを突き詰められてないと思うことが多いんですよね。手触りと軽さに全振りしたこのアイテムは正解だと思います。山に行くんだったらそれに対応したアイテムを選ぶべきですし、なんでもかんでも1着に集約するのも無理があるんじゃないんですかね。
F:確かに。ちなみにテアトラのアウターは他に買いました?
光山:デバイスコートのデュアルポイントも去年買ったんですが、ハッキリ言って都市部はそちらで十分ですね。このダウンはシルエットが気に入ったから購入したんですが、ビジネスシーンは同じ形のデュアルポイントのほうがしっくりくるかもです。
F:ちなみに内蔵されているダウンは、1956年から南極観測隊に採用される老舗日本ダウンメーカーZANTER社製とのことです。
光山:僕の父親がもともと南極観測隊員だったんです。民間企業からの出向で、南極観測船ふじの時かな。越冬隊だったので南極の冬の過酷さはよく聞いていました。なので観測隊にダウンを納入しているZANTER社製と聞いたときになんか感慨深いものはありましたね。父も着てたんだなぁって。
F:父から子へという感じですね。
光山:いや、そんな感じではないんですけどね。ただ背格好が同じなので、着れそうな服は時々譲ったりしてるんですが、これは食いつきそうだなぁってすでに思ってます(笑)。
The Durand ワインコルク リムーバー
The Durand ワインコルク リムーバー
F:これはコルクを抜くやつですか?
光山:はい、コルク栓抜きですね。コロナになって会食が減った分お家ご飯に誘われることが増えて、その時にワインを持っていくんですが、ヴィンテージワインだとコルクがボロボロになることが多くて。そんな時に知ったのがこれでした。
F:ヴィンテージワインの抜栓はドキドキしますよね。
光山:そうなんですよね。ワインを持っていって上手く抜けないとガッカリですから。これにしてからほぼ100%綺麗に抜栓できるようになりました。
F:ホームパーティーとか行くんですね(笑)。
光山:コロナになって在宅メインになった人たちが引っ越しブームになって(笑)。みんな引っ越しちゃうので、そのお祝いとかも含めてめちゃくちゃ増えました。
F:これはヴィンテージワイン用とのことですが、ソムリエナイフは何を使ってるんですか?
光山:このシャトーラギオールを使ってます。頂いたんですが、今でも使ってます。
F:最近は、抜栓しないでもワインが飲めるものとかありますよね?
光山:コラヴァンですね。何日かに分けて飲むなら良いと思いますけど、基本的に開けたら飲みきっちゃうので。でもこういう器具もすごく進化してきてるなって思います。ちょっと前ならバキュバンくらいしか思い浮かばなかったんですけどね。
F:最近は、ワインブームで飲む人増えましたよね。嗜好品としても投資対象としても嗜む人が増えた気がします。
光山:値上がりが凄まじいですよね。10年前に「ちょっと高いけどまぁいっか」って飲んでいたワインが今はとんでもない値段になってたりしてなかなか飲めなくなりました。特にブルゴーニュは、投資目線で買われる人が多いので良い銘柄は実物を拝めなくなってきましたね。
F:皆さん自宅に保管してるんでしょうか?
光山:飲む用の人は家じゃないですかね。でも投資のためだとBBR(ベリーブラザーズ&ラッド)で買ってそのまま保管してもらっていたり、なんのために買うのかで保管場所が変わるのが面白いです。
F:光山さんは投資対象で買わないんですか?
光山:いやー、気持ちは分かるんですけどワレモノを長期で持つ勇気ないです。飲み専門としてワインには関わってます(笑)。
今年を振り返って
F:今年はだいぶ買ったモノが変化しましたね。ラグジュアリーが一つもありません。
光山:マルジェラはラグジュアリーじゃないんですかね?(笑)。まぁ、確かに今年はラグジュアリーをほとんど買わなかったです。
F:理由は?
光山:店舗に入りにくくなったからですね。今までは時間が空いたら現地にあるラグジュアリーの店舗にフラッと入っていろいろ触ったりしたんですが、コロナで入場規制や予約が必要になったりとそういう機会が減ってしまいました。
F:ラグジュアリーのECもだいぶ拡充した気もしますが、ECでは買わないんですか?
光山:ラグジュアリーをラグジュアリーたらしめてるものってやっぱり体験なんですよね。ECは便利で効率が良いですけど、ラグジュアリーを体験するものとしてのベストは店舗なんでしょう。特に製品カテゴリを豊富に持ってるブランドほど、何があるんだろうって店舗で見つける楽しみがあるというか。隅っこにひっそり置いてあったりするものとか「これって売り物なのかな?」みたいな、曖昧な提案を見せる仕組みがまだECにないんですよね。
F:そうですね。なるべく早く欲しい商品に辿り着けるように組まれてますから。
光山:欲しいものや日用品を買うときは断然ECですけど、漠然としたなかで探すならやっぱり店舗なんだなって思いました。
F:ちなみにボトムスやシューズもないですね。
光山:買わなかったですね。ボトムスとかは一着も買わなかったんじゃないかな。あ、マルジェラのセットアップを買った時くらいですね。それ以外は買わなかったです。シューズもほとんど記憶にないですね。
F:コロナ禍になって約2年経ちますが変わったことはありますか?
光山:うーん、今回買ったモノを振り返ると自分自身のことだけ考えて買った感はありますね。とても満足度は高いですが、反面、これじゃいけないなって反省したりもします。
F:と言いますと?
光山:文化って狭く深くなるものと浅く広がるものがありますけど、この2年は狭く深くなんですよね。行動形態が狭まって、閉じたコミュニティでの生活が余儀なくされた結果、自分自身の満足度を重要視しちゃった気がします。誰かに見せたいとか「なんて言われるのかな」っていうドキドキがなくなっちゃいましたね。
F:パッと見てブランドが分かるロゴものが人気なのと似てますね。コミュニケーションが無くてもどんな服がすぐ分かりますし。
光山:そうですね。それまでだったら面倒くさいなって思っていた「他人にどう見られているか、どう思われているか」という意識が自分の感度を上げていたんだなって痛感しました。
F:ロゴものをほとんど着ない光山さんならなおさらですね。最後ですが、来年はどういう年にしたいですか?
光山:なんだか今年は一瞬で終わった感じでした。ワクチン登場でコロナ収束と思いきやまた増えたり、新型出たりで環境と状態が常に一定じゃなかったのでそれに対応しているとショートスパン思考になってしまったなって。振り返ってみると服を買う時くらいしかロング思考にならなかったんじゃないかと。なので来年は、ロング思考で仕事してショート思考で服を買ってみようかなって思います(笑)。
F:ショートスパン思考で買ったモノ楽しみにしてます(笑)。ありがとうございました!
■光山玲央奈
FASHIONSNAP創業者。2009年に株式会社レコオーランドを設立し、代表取締役に就任。ぬるい温泉が大好き。
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