Image by: コーセー
コーセーがアフターコロナを見据えた構造改革と成長戦略を、2021年12月期第2四半期決算報告会見で発表した。重点取り組みとして、①中国・トラベルリテール市場の攻略、②ブランド価値向上(パーソナルな顧客体験/独自の価値追求)、③事業ポートフォリオの強化、④サステナビリティ戦略の推進--を掲げた。
中国市場攻略やブランド価値向上では、上海を皮切りにアマン・スパで50周年を迎えた「デコルテ(DECORTÉ)」オリジナルのトリートメントを展開し存在感を高めており、11月以降にロンドン、フランス、東京でも開始しグローバルで顧客育成を行う。また9月からは「デコルテ」でオンラインカウンセリングをスタートし、公式ECサイトも開設。オンライン・オフライン両軸でシナジーを発揮しブランド価値を高めていく。事業ポートフォリオの強化では、強い経営基盤の構築に向け主軸の一つである化粧品専門店との連携を深め、コーセーブランドやアルビオンブランドで新業態ショップを拡大、新たな美容提案を行う。
ADVERTISING
サステナビリティ戦略では、4R(Reduce , Reuse , Recycle , Renewable)に適合した容器デザインの採用や、ボトルのプラスチック削減、レフィル対応、段ボールの採用、ボトルの回収&リサイクルなどを積極的に推進する。また、1社で行うことの限界を見据え、競合他社である花王とサステナビリティ領域で包括的に協働していくことに合意。アップサイクル施策の共同推進や環境負荷の少ない原料調達などのほか、スキンケアやUVケアで啓発活動を行うなどで取り組む方針だ。さらに、世界的な芸術・文化および環境保全活動の支援も行っていく。
コーセーの小林一俊・代表取締役社長は、ECの拡大と専門店との関係性について、「オンラインの強化により、専門店さまとはじっくり話し合っており、両立できるプラットフォームを構築している」と語る。花王とのサステナビリティ協働では「花王はサステナビリティに関するトップランナーであり、花王の長谷部佳宏社長からは、われわれの『雪肌精 SAVE the BLUE』など地道に進めてきた活動に高い評価をいただいている。直接競合になる部分は少なくシナジーが大きい。サプライヤーも共通しているところもあり、コスト削減、リユース、リサイクルも進むだろう」と期待を示し、具体的には今後進めるとした。
12月期第2四半期連結は増収増益も通期は下方修正
なお、同社の2021年12月期第2四半期(4~9月)連結決算の売上高は日本の回復が遅れる一方で中国、米国が堅調に推移し前年同期比0.4%増の1229億円だった。営業利益は原価低減及び、コストコントロールにより同121%増の87億円、経常利益は還付消費税等の発生により同142.3%増の97億円、純利益は同78.1%増の54億円となり増収増益だった。当期から決算月を3月から12月に変更し9ヶ月(4~12月)の変則決算になったことで、前年同一期間と比較して増減率を計算した。
セグメント別では、化粧品事業がハイプレステージブランドの「デコルテ」、「アルビオン(ALBION)」などが好調で日本国内ビジネスが売上を伸ばし増収だった一方で、コスメタリー事業は減収となった。地域別では日本がドラッグストアなどが苦戦し減収、アジアは中国が好調だったが免税事業が不調で微増、北米は「タルト」が制限解除で店頭の売り上げを伸ばし増収だった。
通期の連結予想は、緊急事態宣言が開けたとしても消費の回復は緩やかと判断し、予測を下方修正。売上高は2240億円(修正前は2380億円)、営業利益が160億円(同200億円)、経常利益が171億円(同205億円)、純利益が121億円(同142億円)を見込む。
Image by: コーセー
小林一俊・代表取締役社長
ADVERTISING
RELATED ARTICLE
関連記事
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境