決算会見の様子
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三陽商会が、2022年2月期上期(3〜8月)累計期間の連結決算で売上高164億3600万円(前年同期比7.2%増)、営業損益20億3300万円の赤字(前年同期は57億1200万円の赤字)を計上した。緊急事態宣言延長の影響から売上高と売上総利益は計画未達となったが、前年実績からは大幅な改善が見られた。また、調達原価率の削減やプロパー販売の強化などの施策が奏功し、営業損益と四半期純利益は計画値から上振れとなった。
チャネル別ではEC以外で前年実績を上回った。前年はECが在庫消化のための“セールのプラットフォーム”となっていた背景もあり売上は減少したが、リアル店舗との連動でプロパー販売を徹底したことにより、粗利額が5億円改善された。好調だったのは郊外立地でコロナの影響をダイレクトに受けなかったアウトレットで、今期は4店舗を新規出店した。百貨店チャネルは必要に応じて売り場からの追加撤退を検討するが、「百貨店が我々の主要チャネルという位置付けは変わらない」(大江伸治社長)とし、収益の基盤を強化する方針。アウトレットと直営店に関しては物件次第で積極的に出店を進める考えを示した。
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ブランド別では「ポール・スチュアート(Paul Stuart)」「マッキントッシュ ロンドン(MACKINTOSH LONDON)」「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL/BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」が収益の中心だが、上期は各ブランドで大差なく推移した。「上期は“防衛戦”を強いられた。この状況下でブランドのポテンシャルを引き出すことは難しい。攻めに転じた時に、ブランドのポテンシャルをいかに引き出せるかが勝負だと思っている」(大江社長)。不採算事業の「ラブレス(LOVELESS)」はすでに15店舗から8店舗に減らし、販管費削減などが進捗しているという。今期中にさらに2店舗を閉店し、6店舗体制に変更してECを強化する計画。来期までに損益分岐点をクリアすることを目指す。「キャスト:(CAST:)」についても15店舗から9店舗に絞り込んでおり、今期中のブレークイーブン達成を実現させる。
コロナ禍の現況を勘案し、通期の見通しを期初予想から売上高で25億円、売上総利益で12億円引き下げ、売上高は415億円、売上総利益は203億円に下方修正した。この修正値は前年実績をベンチマークとしたもので、売上高は前年比約10%増、売上総利益は約40%増を計画している。販管費は上期で10億円削減できたことを受け、期初計画の214億円から212億円に修正した。営業利益、経常利益、当期純利益は期初予想のまま据え置き、引き続き黒字化を目指す。
9月末に緊急事態宣言が解除され、経済活動の回復が期待されているが、大江社長は下期について「コロナ収束の見通しは予測がつかない」と前置きしつつ、「去年と違いがあるとしたら、ワクチン接種が進んでいる。業績の下振れの懸念もあるが、昨年から販管費を追加削減するなどフレキシブルに対応してきた。どっちに振れても対応できるように備えをしておきたい」と話した。
なお、新中期経営計画についてはコロナ禍が想定よりも長期化したことを受け、公表を来年4月に後ろ倒しすると発表。現段階では、主力のアッパーミドルでマーケットリーダー的な存在を目指すとともに、ディフュージョン展開を通じたミドル市場への参入を検討していることを明かした。
決算会見の様子
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