コロナ禍で高まるフレグランスニーズに「ジョー マローン ロンドン」や「ティファニー」などが人気 OMO戦略を進めるそごう・西武の化粧品売り場を調査
(左)ライブコマースの様子、(右)小山育美(そごう・西武 リーシング本部商品計画部 MD担当マーチャンダイザー
(左)ライブコマースの様子、(右)小山育美(そごう・西武 リーシング本部商品計画部 MD担当マーチャンダイザー
コロナ禍で高まるフレグランスニーズに「ジョー マローン ロンドン」や「ティファニー」などが人気 OMO戦略を進めるそごう・西武の化粧品売り場を調査
(左)ライブコマースの様子、(右)小山育美(そごう・西武 リーシング本部商品計画部 MD担当マーチャンダイザー
コロナ禍となり約1年半、消費者のニーズも大きく変化している。化粧品で言えば、マスク生活による肌荒れからスキンケアへのニーズの拡大や、おうち時間を充実させるアイテムの需要が高まっている。そごう・西武の化粧品売り場も同様で、「日常的なマスク着用により、これまで脇役だったアイテムやおうち時間の充実を高めるバスケア製品やディフューザーなどの香り系アイテムの需要が拡大した」と青木泰輔リーシング本部リーシング一部コスメ担当。加えて、来店を控えるためのまとめ買いや、ニューノーマルアイテムとしてのミストやフェイスパウダーのプラス1品購入などが活性化し、2021年1~6月の売上(計10店舗)は、前年同期比10%増、客数6%増、客単価4%増と回復基調となった。ただ、外出自粛、マスク生活によるメイクアイテムはアイをのぞいての苦戦、またリアル店舗の入場制限、タッチアップ制限など“窮屈”な状態は続いていて、「2019年比では回復しておらず、厳しい状況だ」(青木コスメ担当)という。その中で早急に進めたOMO戦略はニーズを素早くキャッチし売上に貢献している。
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コロナ禍の2020年8月にコスメ情報サイト「キレイデパート」を開設した。「秋の美コス採集」や「美容部員の溺愛コスメ」といったアイテムフォーカスから、「最近よく耳にする『サステナビリティ』って?」といったSDGsを化粧品から発信するコンテンツなど、流動的なメニューも含め約5~8コンテンツをマンスリーで展開。また毎週金曜日にはライブを実施する。小山育美リーシング本部商品計画部MD担当マーチャンダイザーは、「ライブ中はお客様からのコメントを受け付け、演者や美容部員が回答している。約30分間のライブ中にはコメントが数百件入り、全てに答えられないにしても『答えてもらって嬉しい』『いつも接客してくれている方だ』などと言ってもらえている」と、一方通行ではないやり取りが好評に繋がっているという。またメイクやスキンケア、フレグランスなど、様々なカテゴリーにまつわるテクニック紹介をまとめた「HOW TO動画」や、美容部員紹介記事なども盛り込み、「美容部員さんのモチベーションアップにも繋がっている」(小山マーチャンダイザー)。そのほかオンラインカウンセリングや電話注文による配送サービスなども実施し、新規顧客接点を拡大する。
こういった中、同期間で好調だったブランドは、「パルファン・クリスチャン・ディオール」が同50%増となり、「華やかなブランドながら、堅実な色展開の『サンク クルール クチュール』のアイメイク製品や、マスク生活によって要望が強まった『ルージュ ディオール バーム』のリップアイテムなどが牽引した」(小山マーチャンダイザー)という。また、家中需要を満たす「イングリッシュペアー&フリージア」が人気の「ジョー マローン ロンドン(Jo Malone London)」が同80%増、マスク着用による肌荒れ防止や保湿に最適なミスト「フィックスメイクアップ」が好評でギフトニーズも高かった「クラランス(CLARINS)」が同50%増だった。
香りアイテムは全般に好調で、ジョー マローン ロンドンのほか、多くの百貨店でニーズが高まっている「ディプティック(diptyque)」、カップルでシェアして使用するなど男性、女性ともに使用しやすい香りが人気を集めた「ティファニー(Tiffany & Co.)」などが2ケタ成長となった。“おうち時間の充実”といった外的要因もありながら、「フレグランスの効果的な付け方やTPOに合わせたまとい方、おうち時間の充実をより楽しんでもらえるためのプラスワンなどのHOW TO動画を制作しキレイデパートに掲載した」(小山マーチャンダイザー)とし、ニーズをさらに引き寄せた。動画を見た顧客の来店のほか、店頭での美容部員の接客ツールとしてHOW TO動画を見せるなど、タッチアップが制限されている中で有効的な商品紹介ツールとしても活用した。
今後もOMO戦略を推し進める。雑誌社タイアップによるコスメカタログ制作に加え、デジタル連動したウェブカタログを制作。雑誌とのコラボライブや、特招会に合わせたデザイナーコラボのギミック企画で話題を創出する。年末商戦のホリデーコスメに関しては、気になるコフレの中身を動画コンテンツで紹介する。加えてインフルエンサーとのコラボ企画などを計画中だ。新規導入ブランドは、「ライフスタイル系やサステナブル視点も取り入れているかがポイントとなる」(青木コスメ担当)という。
「オンライン、オフラインにこだわらず、よりシームレスな購入手段を提供できることが重要だ。下期には弊社アプリのリニューアルによるキャッシュレスでの購入方法の拡充や、デジタル上でのサービスを強化する。UI、UXを改善リニューアルし、より利便性の高いサイトを目指したい。一方でリアル店舗は、わざわざ来店いただく意味を考え、接客体験に価値を加えていきたい。リアルの店頭ならではの極上接客やVIP顧客に向けた施策を含め、顧客満足を追求する」(小山マーチャンダイザー)と見据えた。
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