ECでの衣服の購入が増加するなかで、ユーザーのサイズ選択をアシストするサービスの開発が進んでいる。サイズが合わないことによる返品交換はユーザーにとっても手間であるし、売り手にとっても販売機会の損失、流通負荷の増加や廃棄リスクにも繋がる。
そんな状況のなか、簡単な操作でAIを駆使してサイズ提案をするのが、株式会社メイキップが提供するレコメンドエンジン「unisize」だ。同種のサービスのなかでも、国内最大シェアを有している。今回は、サービスの概要や開発の経緯について、「unisize」を手がける株式会社メイキップ広報の山崎慎一さんにお話を伺った。
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1分程度の簡単なアンケートでサイズがわかる
「unisize」は、ECサイトで洋服やバッグ、靴を買うときに、より身体に合ったサイズを推奨するレコメンドエンジン。国内外の洋服ブランドの膨大な洋服サイズデータを有し、特許取得の独自のアルゴリズムで、入力されたユーザーのお気に入りブランド、サイズ、身体情報、特徴を元に最適なサイズをレコメンドしてくれる。ユーザーは手持ちのアイテムから、身体に合うものや身体の特徴など、1分ほどで済む簡単なアンケートに答えるだけで、メジャーで測ることなく、自分に合ったおすすめのサイズを確認することができるという。また独自の機能として、AIを用いてスマートフォン端末で撮影した正面と側面の全身写真から、腕の長さや肩幅などの体型を採寸できるというものがある。また、過去に買った洋服と比較する購入履歴比較機能なども搭載しているという。このように簡便性の高さが大きな特徴であり、「誰でも、どんな時でも簡単に利用できること」が機能開発のモットーとなっているという。特に身体サイズの計測は、メジャーを用意する手間や、どこを測れば良いといった専門的な知識も必要となるため、不便に感じることも多い。「unisize」はログインしなければ使えないような機能制限もなく、少ない入力項目で構成されているため、ユーザーが気軽に試すことができる。そのような工夫のおかげで、「unisize」を導入している企業の中には、利用率が50%を超える実績も出ており、累計利用数は1,000万IDを突破、同種サービスでも認知度・国内導入サイト数シェアで2年連続No.1を獲得しているとのことだ。
多様なサービスとのデータ連携
「unisize」のアルゴリズムは、主には身長、体重などの体型データと洋服サイズといったアイテムデータを用いてサイズフィッティングを行っている。また、Makipが提供する他サービスとのデータ連携の要望はあり、随時対応を行っているという。例えば、ささげ自動化ソリューションとして、AIや画像解析技術でささげ業務(撮影・採寸・原稿作成)の効率化をサポートする「SASAGE.AI」で取得できた情報と連携する試みが行われている。従来、洋服のカテゴリーを中心にサービス展開してきた「unisize」だが、現在は新たに服飾雑貨カテゴリーに範囲を広げている。まずはバッグから対応しており、バッグの大きさから内容量を自動的に計算、ノートパソコンやペットボトルなどバッグに入る具体的なアイテム例を表示することで、内容量や使用シーンが一目でわかるようにレコメンドできる。また、バッグの形状から内容物がはみ出てしまうアイテムは表示されないよう、独自のアルゴリズムが組み込まれている。身体と比較することもできるので、持った際のサイズ感も確認可能だ。
サイズの悩みのない社会づくりへ
このような「unisize」のサービス展開の背景には、Makip代表である柄本真吾氏が前職で複数の新規ビジネスを立ち上げていくなかで、「不可能なことをITの力を使って可能にしたい」というビジョンがある。柄本氏自身、学生時代にラグビーをやっていたこともから太ももが太く、パンツ選びに苦労しており、洋服がすぐ手に入る環境ではなかったという経験から、それをビジネスにできたら素敵だと考えていたそうだ。立ち上げ当初から、「オシャレはサイズからなのにサイズがわかるサービスがない。ということはECでオシャレはできない」と話し、アンケート方式でサイズを測るというアプローチ方法にたどり着いた。スマホ文化に合ったアプローチとして、手軽さでもレコメンドの精度を高くすることを目標に、「unisize」のサービスを進めたという。今後は、蓄積された膨大なデータを活用して、アパレル企業のDX支援を行うべくサービスを拡張していくとのこと。たとえば、ECサイトに表示される店舗スタッフのコーディネート画像を、ユーザー自身の体型に近いスタッフに絞り込み表示するような商品ページのパーソナライズ機能を提供している。また、「unisize」に蓄積された体型データや購入データを活用し、EC運用時の課題発見につなげていく分析ツール(unisizeDX)の提供を新たに行っていく予定だ。
最後に、山崎さんはこのように展望を語ってくれた。「『unisize』が世の中にある膨大なサイズデータの集積地となることで、誰でもサイズデータを用いて便利に物が買えるような環境作りを目指しています。『unisize』を通して、いつでも、どこでも、誰れでも、サイズに悩まない社会づくりに貢献していければと考えています。」このようなサービスがさらに広まることで、ECでの洋服の購入だけでなく、ファッションをめぐる様々な体験がより便利なものへとなっていくかもしれない。今後の展開にも注目だ。
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