転職活動においてもっとも重要であると言える面接。以前は企業のオフィスまで出向いて対面で面接するのがスタンダードでしたが、今はオンライン面接も織り交ぜる企業、オンライン面接が主流の企業が増え、安全かつ合理的に進めるのが一般的です。そこで今回は、面接官に好印象を与えるオンライン面接のコツについて、OK例、失敗例をふんだんに盛り込んでご紹介します。
編:みなさんこんにちは。今回は、ウィズコロナ・アフターコロナにおけるスタンダードとなる「オンライン面接」について、たくさんの事例をもとに話を聞いていきたいと思います。まずは簡単にみなさんの自己紹介をお願いいたします。
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梅津:営業の梅津です。大企業から中小企業、ベンチャーまで幅広い企業を担当し、採用担当者向けイベント企画なども行っています。
小林:営業の小林です。アパレル企業からインポートブランド、新鋭のベンチャー企業まで、アパレル・ファッションに関わる幅広い企業を担当し、さまざまな組織課題を「ヒト」軸でご提案しています。
山﨑:キャリアアドバイザーの山﨑です。幅広くさまざまな職種の方のご支援実績があり、直近では主にデザイナー、パタンナー、MD、生産管理などの川上職の方々を中心に転職活動のサポートをしています。
山村:キャリアアドバイザーの山村です。キャリアアドバイザー・営業どちらも経験し、現在は幅広く全国、特に福岡エリアのご支援に注力しています。
オンライン面接を軸に、選考中1度は対面面接を含めるのが主流。
一方で外資・ウェブ系・D2C企業や地方エリアなど、オンライン面接のみで完結する企業も増加。
編:コロナ禍をきっかけに、転職活動における「面接」のあり方も変化しました。現在、対面面接とオンライン面接の割合はどの程度でしょうか?
梅津:企業によっても異なりますが、大手企業はオンライン面接が主流です。中小企業は対面4割、オンライン6割程度。以前は7~8割がオンライン面接でしたが、21年3月ごろから徐々に対面面接が増えてきています。
小林:外資・ラグジュアリー企業や、ウェブサービス系企業やD2C企業などはオンライン面接のみで完結するケースも多く見られます。業種問わず総合的に見ると、1次面接は7~8割がオンライン面接。最終面接は対面、というケースが多いです。
山村:本社や支社の近くにお住いの方は対面面接の機会もありますが、地方エリアの場合はオンライン面接がほとんど。面接官の出張ベースでしか面接できなかった以前と比べると、すごく可能性が広がったと思います。
編:思ったよりもオンライン面接が定着していて驚きました。
小林:新しい価値観に変化している企業が増えているのを感じます。特に先ほど挙げたような業種の企業はいち早くオンライン面接を取り入れ、ノウハウが蓄積されているため、オンライン面接のみでも採用成功に繋がっている印象です。
編:逆に対面面接にこだわる企業も多いですか?
小林:すべての選考を対面で行う企業もまだまだあります。「会わないと判断できない」という価値観のほか、ITリテラシーが影響している場合もあります。日常的にリモートワークを導入していない企業もアパレル・ファッション業界ではまだまだ多いですしね。
編:面接の形式によって、リモートワークを推進している企業かどうかのひとつの指標になりそうですね。
小林:絶対ではないですが、ある程度、企業スタンスの傾向は見えると思います。
梅津:応募者に配慮し、対面とオンラインどちらが良いか希望を聞いて決めるケースも増えてきています。
編:その場合、応募者はどちらを選ぶことが多いのでしょうか?
梅津:企業に合わせることが多いです。たとえば企業から「対面面接の予定ですが、オンライン面接も可能ですよ」と連絡があった場合、対面で面接するという具合です。もちろん、どちらを選んでも選考影響はありませんので、ご自身が一番ベストを尽くせる形式をリクエストすると良いでしょう。
編:面接形式によって応募者の反応に違いはありますか?たとえば「このご時世で対面面接って大丈夫でしょうか?」「意欲を見せるためには対面面接の方が良いのでしょうか?」などと考える方がいらっしゃるのかな?と思いました。
山﨑:7~8割の方は、どちらでも大丈夫という反応です。オンライン面接を希望される方の例としては、「現職が忙しくて移動時間が取れないので…」「ご高齢のご家族と同居されており、ご自身もフルリモートなので…」「お子様がまだ小さくて保育園の時間と合わないので…」などがあります。逆に、「私は直接お会いしないとキャラクターが伝わりにくいので…」「実物を見ていただきたいので…」と対面面接を希望される方もいらっしゃいます。
オンライン面接をスムーズに進行すること自体がビジネススキルとして選考に影響する。
編:オンライン面接が当たり前になっている一方で、うまくオンライン面接ができなかった…という声も聞かれます。過去には「オンライン面接(WEB面接)通過率アップ3つのポイント!」や「オンライン面接(WEB面接)お悩みQ&A」などもご紹介していますが、改めてオンライン面接のポイントを伺えますか?
小林:基本ですが、画面が明るいこと、声や表情がはっきり分かることは大前提です。オンラインだとよく声がかぶってしまうことがありますよね。そうならないためにも、間合いを保ったコミュニケーションや、対面以上にハキハキとした話し方を心がけると良いでしょう。
梅津:ZoomやGoogle Meetなどのオンラインミーティングツールを使いこなせているか、という点も重要です。面接時のマナーという意味合いもありますが、どちらかというとビジネススキルとしてチェックされることが多いです。
小林:オンライン面接でポートフォリオデータを画面共有できるかどうか、などは良い例ですね。企業からの宿題で作成するケースもありますが、自らポートフォリオを用意し、「補足説明として、資料を画面共有させていただいても良いでしょうか?」とスムーズにプレゼンテーションされた方は、段取りも含めて非常に評価が高かったです。
編:面接での段取りが良いと、普段の仕事もテキパキこなすんだろうな、と一緒に働くイメージが湧きやすくなりますよね。
小林:そうなんです!
山村:オンラインで人と話す際、画面を見ることが多いと思うのですが、面接においてはそれでは少し伏し目がちになってしまいます。ずっとカメラ目線である必要はありませんが、カメラの向こうにどう見えているかを意識して目線を調整されると良いでしょう。
山﨑:オンライン面接ではマスクをしなくても良い、というメリットがあります。一見、対面面接のほうが人となりがよく伝わるように感じるのですが、マスクを着用しているため表情が読み取りにくく、実はオンライン面接の方が感情を伝えやすいんです。そのメリットを活かし、笑顔など、会話の中での感情を表情に出すことを意識されると良いと思います。
「面接官にどのように見えているか」を意識することが重要。
編:では逆に、今度はオンライン面接が上手くいかなかった事例についてお伺いします。
梅津:ツールへの慣れは大事ですが、慣れからくる油断もあります。仕事でオンラインミーティングを多用しているので問題ないです、と仰っていた方が、事前練習をせず面接に臨んだところ、操作がうまくいかず、面接官の心証を悪くしてしまったことがありました。普段使っているとしても、面接は特殊な空気感があります。必ず面接を想定した操作の練習をしておきましょう。
小林:接続不良はできるだけ避けたいですが、不可抗力で起こることもあります。そこでの対応を面接官は見ています。特にウェブ・IT系の企業や職種の場合、スムーズな接続や対応ができない方は企業や仕事にマッチしない、とそれだけでお見送りになってしまうケースもあるほどです。それらの職種に限らず、オンラインコミュニケーション力が選考に影響するケースは増えています。
梅津:実際にあった例で、共有はどのボタン?背景設定ってどうするんでしたっけ?と面接官に聞いてしまう方、共有の仕方が分からず、ポートフォリオの紙をカメラに近付けて見せる方など、いずれも面接官にネガティブな印象を与えてしまいました。ツールの操作方法を理解し、ポートフォリオや資料はオンライン上でプレゼンテーションできるようにしましょう。
編:確かに先ほどの良い例とは逆で、普段の仕事もこんな感じなのかな…と不安になってしまいます。相手にストレスを与えるコミュニケーションになってしまわないことが重要なんですね。
梅津:その通りです。そこでもう一つ例を挙げます。ご自宅にパソコンやタブレットがない方は、画面の小さなスマートフォンで面接を受けていただくことになりますが、ちょうど良い置き場がなかったから、とスマートフォンを手に持って面接に臨んだ方がいらっしゃいました。当然画面がブレてしまいますし、映りが下からになってしまうため、顔映りも良くありません。
小林:台に立てかけて臨んだら途中でずれてしまった例もあるので、しっかり固定されていることを確認してください。スマートフォン用のスタンドや三脚などが100円ショップなど安価で売っていますので、うまく活用するのも手です。
編:私もスマートフォン用のスタンド持っていますが、角度調整もできるので安心ですね。
山村:固定したあとは、インカメラなどでご自身がどのように映っているかを必ず確認しておきましょう。
小林:画面映りという点でひとつ。オンライン面接の場合、画面や付箋などで「カンペ」を用意する方がいらっしゃいますが、面接官いわく、明らかにカンペを読んでいる人は見て分かるそうです。目線が泳いでいる、カンペを用意している回答とそうでない回答とで反応がまったく異なる、など、面接官に違和感を与えるケースが多いので、カンペに頼ることは避けるのが賢明です。
編:うまくやっているつもりでも相手にバレてしまっていること、いろいろありそうです。対面面接と同じスタンスで堂々と臨むことが大切ですね。
キータッチ音、ご自宅の生活音にも要注意。
相手の発言が聞こえなかった場合は曖昧にせず、丁寧に聞き返す。
編:画面映り以外での事例はありますか?
梅津:面接中、パソコンでメモを取る際にキータッチ音が響き、ノイズになってしまった例があります。メモは紙で取る、静音キーボードを使うなど、「音」への配慮は重要です。静音キーボードを使う場合にも、本当にカメラの向こうに音が伝わらないか事前に試しておくと良いでしょう。
山村:音で言うと、ご家族や同居されている方がいらっしゃる場合、ご自宅の生活音がマイクにキャッチされることもあります。ご家族の声だけでなく、扉の開け閉めや水道から水が出る音なども意外と響きます。事前に伝え、協力を得ることが大切です。
山﨑:宅配のチャイム音が入ってしまったことに加え、ご本人もソワソワして集中力に欠けてしまった、ということもありました。宅配の時間指定など、最低限の配慮も必要ですね。
山村:小さく舌打ちをしてしまい、面接官に聞こえてしまった、なんて例もあります。当然結果はお見送りでした。
編:舌打ちは対面・オンラインに関わらず良くないですね。対面面接ではまずないことだと思いますが、オンラインのほうが直接会わないぶん、油断してしまうのでしょうか。
山村:それはあるかもしれません。オンライン面接でつい余計なことを話しすぎてしまった、なんて話も聞きますから。
編:ご自宅でも適度な緊張感を持って臨む、というのもポイントになりそうですね。
梅津:大事なところで音声が途切れてしまうなど、ディスコミュニケーションが発生しやすいのもオンライン面接の特徴です。
山﨑:聞き取れなかったが、気を遣ってしまって聞き直せなかった、という話もよくあります。
編:どれだけ準備を重ねても、こういう「ちょっとしたトラブル」を完全にゼロにすることはできません。こういう場合のうまい切り返し方はありますか?
梅津:「ここからここまで聞こえませんでした。お手数ですがもう一度お願いできますでしょうか。」と正直に聞き直しましょう。また、うなずきや相づちも重要です。無表情のままだと、相手に「ちゃんと伝わっているのかな?」と不安にさせてしまうので、話を邪魔しない程度に反応すると良いでしょう。
山﨑:面接官が複数名の場合、色んな人がそれぞれのタイミングで話をするため、誰から質問を受けたのか分かりにくいことがあります。しかし対面と違ってオンラインはカメラひとつのみ。質問者に顔を向ける必要はありませんので、たとえ誰からの質問か分からなかったとしても、慌てず落ち着いてカメラに向かって丁寧に回答していけば問題ありません。
ご自身だけでなく、背景などカメラに映るすべての要素にまで気を配る。
編:今度は「背景」について伺います。たとえば背景画像の設定や、背景ぼかし設定などの加工はどこまで許容されているのでしょうか?
小林:基本的には、ご自宅の白い壁やカーテンなど、背景に何もない状態で臨むのがベストです。多少ものを動かしてでも、そういう場所を一時的に作ることをおすすめします。
梅津:どうしても適切な背景を準備できない場合、生活感のあるごちゃごちゃした背景よりは、ツール上で設定したほうが良い場合もあります。ただし、利用したことのある方は分かると思いますが、画質が落ちてしまうため、リアルの場で背景を準備いただくことが最優先です。
編:特にアパレル・ファッション業界の場合、ブランドの世界観を体現できるかどうか、ということが重視される職種も多いことをふまえると、画質は荒れないほうが良いですよね。
梅津:そうですね。ご自宅のラックやクローゼットが丸見えの方、設定している背景画像がリゾート写真など面接にそぐわないものであるなど、意外と背景に無頓着な方が多いように思います。対面・オンラインに関わらず、面接は「公の場」です。面接官に失礼のないように臨みましょう。
山村:バストアップのみを映しているつもりが、思った以上に広角に映っており、面接向けではないボトムスや、片付けていなかった部屋の一部を見られてしまった、ということもあります。何度もお伝えしますが、「相手にどう映っているか」の確認はとても重要です。
準備をしっかり行うことで、「面接官に好印象を与える映り」は作れる!
編:今回、たくさんの事例をいただきましたが、総じて「準備をしっかりする」ことの大切さを改めて感じました。オンライン面接の心構えについて、最後にメッセージをお願いします。
梅津:普段のオンラインミーティングで何気なく「ごめんごめん」で済ませられることが、面接では致命的になり得ることがたくさんあります。クリーデンスでは良い例、そうでない例とたくさんのノウハウを持っていますので、細かい点までアドバイスさせていただきます。
山村:クリーデンスでは、ご希望に応じてオンライン面接の対策も行っています。接続状況の確認や、映りの確認などによって、オンライン面接での失敗を防ぐことができますので、ぜひご活用ください。
小林:「スムーズにオンライン面接の対応ができるかどうか」が、コロナ禍において変化に柔軟に対応できているかどうかの基準のひとつになっています。実際にツールを操作しながら練習してみる、画面を映しながらご自身の表情を確認してみる、ということを行ってみてください。
梅津:ご家族やご友人と練習するのも良いですし、お一人でも通話できるので、ツールの録画機能を使って後から見返すこともできます。
山﨑:ここまでたくさんの話をしてきましたが、必要以上に身構える必要はありません。面接に対する心構え自体は対面面接もオンライン面接も同じ。人柄や経験、スキルも変わりません。しっかり準備をしたうえで、100%悔いなく面接官に伝えていただきたいと思います。自分らしさを忘れずに臨んでください。
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