ゲオホールディングス子会社のゲオクリアが、オフプライスストア「ラックラック(Luck Rack)」の都内初店舗となる東急プラザ表参道原宿店の内部を公開した。これまでは郊外の施設に出店することが多かったが、同社社長の川辺雅之氏は「オフプライスの認知はまだ低い」とし、情報の発信地である原宿に新店舗を出店することでオフプライス業態の認知向上を目指すとともに、市場の活性化につなげる考えだ。
オフプライスは、さまざまなメーカーや小売店のキャリー品や余剰品を仕入れ、1つの店舗に集約してメーカー希望小売価格よりも低価格で販売する業態を指す。モール内で各ブランドやメーカーが店舗を構えて自社の余剰品などを販売するアウトレットや、市場に出ている商品を大量に仕入れて販売するディスカウントとは異なる業態で、近年はワールドやオンワードホールディングス、ビームスなどの大手アパレルも参入し、国内でも注目を集めている。
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ゲオクリアは2019年4月からオフプライス事業の展開をスタートし、立ち上げから3年で店舗数は13店舗に拡大。取引先は250社、1000ブランド以上に増えている。自社ブランドを持たないため、すべて仕入れ商品で構成しているのがラックラックの特徴。新店舗では約4000点を揃え、都心の生活者にアプローチするためにビッグメゾンブランドやハイブランド、デザイナーズブランドの商品を充実させた。
価格例は「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」のアウターが2万9900円(メーカー希望小売価格22万1000円、87%オフ)、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」のパンツが9900円(同6万円、84%オフ)、「モンクレール(MONCLER)」のプロジェクト「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」とドッグウェアウェアブランド「ポルド ドッグ クチュール(Poldo Dog Couture)」のコラボによるドッグベストが1万9900円(同5万1000円、64%オフ)など。オープン時の最大の値引率は「アカネ ウツノミヤ(AKANE UTSUNOMIYA)」のノースリーブのトップスで、希望価格4万2000円に対し93%オフの2990円(いずれも税込)で販売する。
93%オフで販売する「アカネ ウツノミヤ」のトップス
Image by: FASHIONSNAP
メンズとウィメンズのアパレルや小物類のほかにコスメも取り揃え、「クラランス(CLARINS)」や「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」「コスメデコルテ(DECORTÉ)」「スリー(THREE)」といったデパートコスメに加えて、「ヒンス(hince)」「クリオ(CLIO)」「ジョンセンムル(JUNG SAEM MOOL)」「スリーシーイー(3CE)」などの韓国コスメも用意する。オープン日は7月22日。
定価を値引き販売することはブランド価値の毀損にもつながりかねないが、豊富なラインナップを取り揃えることができた理由とは何か。ゲオクリアのオフプライス事業では直接メーカーから仕入れた商品が多く、取り扱いブランドの実績から取引先が増え、メーカー側もオフプライスに対する理解が進んでいることが背景にあるという。
また、店舗における商品のディスプレイにも配慮している。「ブランド側も価値を守りたいという思いがあり、我々もオフプライスストアを通して楽しみを提供したい。価格だけで客を引き寄せ、たたき売りするようなスタイルではなく、ブランドがわかるように陳列するようにしている」(川辺社長)。新店舗ではラックラック初となるSDGsに特化した店作りも推進し、Tシャツをアップサイクルした什器や衣料品回収ボックスの設置、エコバッグの販売、モニターやレシートでのCO2削減量の訴求などに取り組む。
川辺社長は衣料品の余剰在庫問題は今後も継続するとし、オププライスの流通額は1兆円を超える規模に成長すると予想する。「参入する企業も増えてくると思うし、取引先のバッティングも出てくるだろう。ただ、競合が増えないと市場が広がらない。オフプライスが認知されれば、我々の店舗の集客が増え、業績が伸びると考えている」。将来的にはゲオグループにおいてレンタル、リユースに次ぐ第3の収益の柱にしたい考えだ。出店オファーは多数届いているといい、2024年までに店舗数を50店舗に拡大することを目指す。
■ラックラック 東急プラザ表参道原宿店
住所:東京都渋谷区神宮前4-30-3 東急プラザ表参道原宿4階
オープン日:2021年7月22日(木)
営業時間:11:00~21:00(※施設の営業時間に準ずる。詳細は公式サイトで案内)
売り場面積:58坪(約191平方メートル)
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