2021年4月3日(土)に実施した「482回定点観測」の考察レポートです。
3回目の緊急事態宣言延長直前の東京のストリートを振り返っておこう。
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本稿を書いているのは5月17日(月)。3回目の緊急事態宣言が5月末まで延長されたものの、劇場や競技場、パチンコ店はOKなのに映画館はNGなど、その線引きの基準が曖昧で、説明がなされないことから、百貨店や商業施設の一部では、それぞれが「生活必需品」の範疇を判断し、営業を再開中。曖昧な状態が続いている。今年41年目を迎える「定点観測」も、昨年の最初の緊急事態宣言時には「渋谷パルコ」の営業に準じる、という基準で、4月、5月は休止し、6月より検温や消毒、ディスタンス等に注意しながら再開していたのだが、今回はこの曖昧な状態での渋谷パルコの一部営業再開には準じず、残念ながら休止とした。
そこで、今となっては信じられないほど平和な4月3日(土)に実施した、483回目の「定点観測」を振り返ってみたい。取り上げたテーマは以下の通り。・男女オフホワイト/白・リメイクデニム、パッチワークデニム・(男性)ネックレス
直接渋谷、原宿、新宿地点の3月のストリートファッションのローデータをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。*2021年4月の定点観測・トップページ:https://www.web-across.com/observe/p7l756000005kep4.html * * *
カウントアイテム:男性/女性オフホワイト/白不安定な時代の気分を一掃する、「ニュー・ニューノーマル」の台頭。
実際当日は、思わず空を見上げてしまうほど気持ちのいい天気に。新年度スタートということで、「新東京人」も増加。1年前は中止になった入学式や入社式は大半がフィジカルに開催され、東京の街は「日常」が戻ってきたかのように賑わっていました。スタッフ一同、下北沢、池袋、新宿、青山、表参道・原宿、恵比寿、渋谷とプレサーベイを行った結果、相変わらずベージュ系が多いね、Z世代の女子はミニスカートで脚を出している、オーバーサイズのGジャンも人気、、などいろいろ候補があがったなか、幅広い年齢層に男女ともに白っぽいアイテムを着用している人が多い、という点に注目。12月にズームアップアイテムとして取り上げた「オフホワイト/冬の白」→2月の「白ブーツ」→そして、3月の「男女白スニーカー」につづくカラートレンド、「オフホワイト/白」のトップスまたはボトムスを着用している人に注目することにしました。「今日は暗い色のシューズをはきたかったので、ブルーデニムではなく白にしました」と言うのは、渋谷地点でインタビューさせてもらった自営業(マーケティング)の男性(23)。ホワイトの<リーバイス501>を群馬の古着店で購入。春は白を着がち、と話す彼は、求めているメンズ雑誌がなく、高校3年生から雑誌『装苑』を読んでいるのだそう。https://www.web-across.com/observe/p7l756000005kwba.html「去年の春にこのコートがバズっているのを見て欲しかったけど売り切れで、去年の秋お店で見つけることができたので購入しました」と、<ユニクロ>のコーチジャケット・コートのようなアウターを着ていた保育士の女性(25)。超定番のトレンチコートも今年はオフホワイト調に色が白っぽくなっている上、スポーティなフード付きのアウターやブルゾンのディテールを盛り込んだ薄手のナイロンまたはナイロン混紡素材のライトなアウターがヒットしている。「同じ色のトレンチと迷った」そうで、スッキリとしていて、春も秋も着られるのがいい、と話してくれた。https://www.web-across.com/observe/p7l756000005kx1k.html他にも、「気分転換したかった」や「クリーンな気分〜」、「(他のアイテムと)合わせやすいから」など、12月の「定点観測」の時に聞かれた回答とも類似しており、不安定な時代の気分を払拭するような、無彩色の白・グレー・黒など季節やシーンに左右されない「ニュートラルカラー」に代わる「ニューニュートラルカラー」というフェーズともいえそうだ。 *渋谷、原宿、新宿各地点の「男女オフホワイト/白」は、こちらからどうぞ。https://www.web-across.com/observe/p7l756000005kfb7.html
*なお、「定点観測」では、過去41年分の全アイテム一覧をこちらからご覧になれます。https://www.web-across.com/observe/cnsa9a000000wpq4.html* * *
ズームアップアイテム①:リメイクデニム/パッチワークデニムSDGsやサスティナビリティというよりも、愛着のあるアイテムをずっと着たい、個性的なスタイルを楽しみたいというふつうの気持ちが後押ししたブーム。
1つめのズームアップアイテムはこちら。対象は男女。
「このデニムは昨日自分でリメイクしたものです」と言うのは、「fun fun lou low fun」という屋号で古着をリメイクしたものやアクセサリーなどをオンライン販売している女性(33)歳。愛用していたデニムだそうで、気分を変隊と思ってデザインアレンジしたのだそうだ。「サスティナブルまではいかないけど、捨てるんじゃなくていまっぽく作り直してもう1回着てあげたいな、と言う気持ちが大きいですね」とナイスなコメントをしてくれました。https://www.web-across.com/observe/p7l756000005ku6q.html
やはり自作という社会学を専攻する大学生(22)。下北沢の「NOILL(ノイル)」というショップで、このようにブルージーンズがドッキングしたデザインのリメイクデニムを買ったんですけど、「ひょっとして自分でもできるかな?、と思って作ってみました」とのこと。「少し前まではドレスっぽい格好で、ワイドなスラックスとかを履いていたんすけど飽きてしまって。でもふつうのデニムは嫌だったので、こういうデザインにしました。ちょっとおかしいというか、唯一無二の人になりたかったていう感じです」と話してくれた。https://www.web-across.com/observe/p7l756000005kwig.html自作、DIYという人の他に、穴が開いたボロデニムや色の異なるパーツをパッチワークしたようなリメイクデニム、ブルゾンを古着店で購入したという人も少なくなかった。上記インタビューでもあるように、SDGsやサスティナブルファッション(サステナファッション)ということを標榜するグループもいる一方、ストリートでは、1点1点どこか異なり、身体との馴染み感のいい、個性が演出できるアイテムとして、ふつうに浸透していた点に注目したい。
*各地点の「リメイクデニム/パッチワークデニム」はこちらからどうぞ。https://www.web-across.com/observe/p7l756000005kff8.html* * *
ズームアップ・アイテム②:テーラードジャケットMZ世代の「ファッションアディクト男子」たちの+αアイテム。
2つ目のズームアップアイテムはこちら。対象は男性がメインです。
「定点観測」で散見された流行現象を、「男性のアクセサリーが増えている」という記事として発表したのは2020年10月31日のこと。特にリングやピアスをふだんからする男性が増えていたなか、ヴィンテージのアクセサリー類を扱うショップがオンライン・オフラインで増えたり、セレクトショップなどでもセールスに力を入れるなど小売の環境の変化もあり流行が加速しています。そして今春、コレクションなどでの提案を背景に、80s後半〜90年前後のトレンドのリバイバルでゴージャス感を演出するアクセントとして注目されているゴールドやシルバーのチェーンをはじめ、新しいところではパールのモード服への提案など、いろんなカルチャーをミックスした提案がラグジュアリーブランドからも提案されており、モード好きな男性を中心に着用シーンが目立っているので注目することにしました。
「お金ないし、作っちゃえ!」とパールのネックレスも自作してしまったと話してくれたのは、上記「リメイクデニム」でも紹介した大学生。昔と違って、あえてのパールのネックレスの着こなしは、このところ増えている「ファッションアディクト男子」ならでは。ファッションの参考にしているのは、yo Takashima(@ryo__takashima)と金山大成(@kanayamataisei)、RENYA(@renya0811)などのYOUTUBERやインスタグラマーというのはZ世代のデフォルト。将来の夢も、親世代の新人類のようになかなかユニーク。https://www.web-across.com/observe/p7l756000005kwig.html
「このネックレスは井上大和くんが買っていたので欲しくなりました」と言うのは、高校3年生の男性(17)。シルバーやパールなどのモード感あるものに加え、ビーズやトイっぽいパーツを繋げたものも案外多い。いま秋冬はそういうクラフト感ある、ヒッピーっぽいテイストがトレンドになりそう。https://www.web-across.com/observe/p7l756000005kws0.html
基本的にはオフホワイト/白でベーシックな装いにアクセサリーでワンポイント。ポストコロナ(またはウィズ、、、)は、これまでの装いに「+α」するスタイルへと変化しているようだ。
*各地点の「(男性)ネックレス」はこちらからどうぞ。https://www.web-across.com/observe/p7l756000005ejh7.html
[文責:高野公三子(本誌編集長)]
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