「新型コロナの影響だけではない」三越伊勢丹HD2年連続の最終赤字 細谷新社長が新戦略発表
5月7日、緊急事態宣言期間中に一部フロアを除き休業していた伊勢丹新宿店
Image by: FASHIONSNAP
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「新型コロナの影響だけではない」三越伊勢丹HD2年連続の最終赤字 細谷新社長が新戦略発表
5月7日、緊急事態宣言期間中に一部フロアを除き休業していた伊勢丹新宿店
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三越伊勢丹ホールディングスが、2021年3月期に営業損失209億7600万円、当期純損失410億7800万円を計上し、2年連続の赤字決算に沈んだ。営業損失のほとんどが百貨店業の売上・利益減による影響で、今年4月に代表取締役社長に就任したばかりの細谷敏幸氏は「新型コロナウイルスの影響だけではなく、百貨店のビジネスモデル自体が市場に受け入れられていない」と分析。2022年3月期からは「"高感度上質"戦略」などを掲げた新たな中長期計画に取り組み、百貨店事業の再構築を推進する。
前中期計画では、伊勢丹新宿店と三越日本橋店の両基幹店のリモデルを完成させた。2019年度は振るわなかったが、2020年度は三越日本橋本店に誘致したビックカメラが堅調に推移した。リモートショッピングサービスや体型タイプ診断「マッチパレット」を導入したオンラインビジネスは一部を除き好調で、オンライン売上は315億円、デジタルID会員数は166万人といずれも計画値を大幅に超えた。
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今回発表した事業計画は2031年3月期にかけて中長期的に取り組むものとしている。コロナ禍はロイヤリティの高い顧客による売上の戻りが堅調だったといい、外部環境においても年収1000万円超の人口が増加傾向にあることから、新中長期計画では高感度かつ上質なマーケットの席巻を狙う。中期的に営業利益を2018年度水準の292億円へ回復させ、その後は過去最高益となる500億円達成を目標に据える。
具体的には、国内外百貨店店舗を母店とした中小型店の設置推進、オンラインとオフラインのシームレス化、外商セールスおよびバイヤーと連携したMD提案やサービスの提供などを計画する。伊勢丹新宿店と三越日本橋本店は「憧れと共感」の象徴となる店作りを行う。将来的にはホテル、レジデンス、オフィスを含む複合開発に発展させ、まちづくりで新たな価値創出を目指すという。
また、マスからパーソナルマーケティングにシフトし、すべての個客とつながる仕組みとしてグループ各種サービスのデジタルIDを統合するとともに、デジタルID会員であれば現金や他社クレジットの支払いでもポイントを付与するサービスを今月から首都圏に導入する。新規顧客の取り込みを図りながら、ミレニアル世代とインバウンドを中心に、個人外商にも力を入れる。このほか、百貨店業を中核としたグループシナジーを創出し、BtoBビジネスの構築を実現させたい考えだ。
2022年3月期の通期業績予想は売上増による利益増を見込み、従来基準で算定した総額売上高は9650億円(前期比118.3%)、収益認識基準を採用した売上高は4470億円(同54.3%)、売上総利益は4470億円(前期比113.4%)とし、営業利益30億円、当期純利益10億円の黒字転換を目指す。
なお、4月25日に発出され、5月末まで延長となった緊急事態宣言により売上高は290億円減少する見通しで、業績予想に織り込んでいる。緊急事態宣言が出されなかった場合、営業利益は70億円の着地で計画できていたという。今月12日から一部の営業フロアを再開させているが、「お客様、従業員の安全確保」という方針から主力の衣料品は営業再開の対象から外している。
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