NOIN 渡部賢代表取締役CEO
Image by: FASHIONSNAP
コロナが追い風となり、化粧品ECを運営するNOINが業績を伸ばしている。昨年3月以降のユーザー数が好調に推移し、今年2月のGMV(総流通総額)は前年同月比で9.6倍と過去最高を達成。ノインの成長を支える秘訣とは?そして化粧品ECの重要性が高まる中で次の一手とは?創業者で代表取締役CEOの渡部賢氏に話を聞いた。
◆ボリュームゾーンはZ世代 SNSでの密なコミュニケーションが鍵
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ノインのコアユーザーは10代後半〜20代前半で、全体の7割をZ世代が占める。競合に挙げられるアットコスメが20代〜40代を中心としているのと比較しても若年層が多いのが特徴だ。この背景にはオウンドメディアとして2017年に立ち上げたインスタグラムアカウント「NOIN.tv」が影響していると渡部氏は語る。
「Z世代にとってSNSでの情報収集はコミュニケーションの一部。そこでNOIN.tvでは、ユーザーコミュニケーションを充実させることで、ECサイトのロイヤリティ向上に繋げる仕組みを構築した。SNSコンテンツを起点に顧客と接点を持ち、そこから商品選びなどのコミュニケーションを生み、ノインの良さを体感してもらう。ECサイトをその延長線上に据えたことで、コミュニケーションから購入までの自然な導線を確立した」。
NOIN.tvのコンテンツでは、「失敗しない眉毛の描き方」や「まつ毛のカープキープ術」など、社内の美容部員経験者や編集部が企画した「リアルにためになる」情報をほぼ毎日発信。コメントにも細く対応し、一日100人ほどから送られるDMでは商品選びの相談に親身になって対応する手厚さがポイントだ。
「若年層にとってより自然なコミュニケーションになるよう、返信の定型文は定めていない。口調はカジュアルだが、美容に精通するスタッフが個人に合わせて回答することで信頼を得ることができた」。
アカウントの現在の月間アクティブユーザーは約600万人。週2回配信しているインスタライブでは成分や処方などマニアックな質問が飛び交い、コスメ好きが集まるメディアとして機能している。化粧品ECは目的買いが多く、複数買いで客単価を上げるのが難しいと言われているが、ノインではSNSを介したコミュニケーションがリピーターを生んでいるようだ。
◆手本は「セフォラ」 1000件より価値ある1件の口コミ投稿を目指す
SNSを介してユーザーと繋がるノインが次に目指すのは、コスメ好きが集まるコミュニティの形成。手本はアメリカの化粧品専門店セフォラ(Sephora)だという。
「セフォラには『アイシャドウマニア』や『ラメフリーク』のようなユーザー参加型のコミュニティチャンネルがあり、ユーザーを交えて情報交換が行われている。セフォラにコスメが好きな人が集まり、信頼性が高い情報が飛び交う」と感度の高い情報が濃密に行き交う点を渡部氏は評価する。
渡部氏が感度の高いユーザーの獲得およびコミュニティの形成を目指す背景には、化粧品ECサイトにおける現状のアルゴリズムが関わっている。
「他社を含めた化粧品ECの現在のアルゴリズムでは、レコメンド欄に表示される商品が『売れている=口コミが多い』ものに偏る。多人数によるおすすめも一つの購買指標ではあるが、コスメと出会う楽しさを創出するには限界がある」。
そのため、ノインでは多数の商品を扱うECプラットフォームだからこそ、「ユーザーがまだ見ぬ商品と出会う」手助けをし、豊かな購買体験を提供することが企業価値の向上に繋がるというのを信条に掲げている。
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