美容師やヘアメイク、美容部員、ネイリスト、エステティシャンなど、幅広いジャンルのある美容業界。華やかな印象が強いため、トレンドに敏感な方なら、一度は憧れる職業のひとつと言えるのではないでしょうか。今回はその中から、「化粧品業界」に注目。美容に関心のある方が多い日本は美容大国で、多くの化粧品メーカーが存在します。明治時代には、現在の資生堂、桃谷順天館などが創業し、戦前にはマンダムやポーラなども登場しました。そんな日本の化粧文化から、化粧品業界の種類と流通モデル、どんな職種があるのか、コロナ禍での現状やキャリアパスについても考察します。
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日本の化粧文化について
日本における化粧文化はとても古く、古墳時代から赤色の顔料を顔に塗る風習があったようですが、日本で初めて鉛白粉が作られたのは692年。その後、お歯黒や眉を抜いて細い弓形の眉を墨で描く「引眉」など、独自の化粧が生まれます。明治時代には鉛の毒性問題をきっかけに無鉛白粉が使われるようになり、アイシャドーが流行したそうです。現在のように洋風化していったのは大正時代からで、色白が美人の第一条件だったことから白一色だった白粉が多色白粉となり、紅花から作られた練り口紅から、顔料や染料を配合したスティック状の口紅へと変化します。このように海外の影響を受けた化粧品をはじめ、化粧水、乳液などは、一般の人にも徐々に広がるようになりました。
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化粧品業界の種類と流通モデル
化粧品業界とは、化粧品の開発、製造、販売などを手掛ける産業のことですが、その種類はスキンケア系、メイクアップ系、ヘアケア系、ボディケア系、フレグランス系と様々です。すべてを手掛ける総合系のメーカーも多いですよね。それらの化粧品メーカーは、その流通モデルから大きく4つに分類されます。それぞれの特徴を解説します。
制度品メーカー メーカーが直接、または系列の販売会社などを通して契約した小売店に商品を販売するシステムです。この場合の小売価格などはメーカーの管理で、美容部員などはメーカーから派遣され、顧客に対して対面販売を行います。メーカー例:資生堂、カネボウ、コーセー、アルビオン、マックスファクター など
一般品メーカー 化粧品メーカーが問屋に製品を販売流通し、それを小売業者が仕入れて販売する形態のことです。特定の流通に対して販売するわけではないので「開放流通」とも呼ばれます。価格設定はそれぞれの業者の任意となっています。メーカー例:エフティ資生堂、カネボウホームプロダクツ販売、コーセーコスメポート など
無店舗販売(訪問・通販)メーカー 文字通り、店舗を持たない化粧品メーカーです。現在ではシェアが下がってきていますが、「訪問」は販売員が直接消費者に販売するもの。「通販」は化粧品の流通としては最も新しく、インターネットの普及によってさらなる成長が期待されています。メーカー例:「訪問」ポーラ化粧品本舗、日本メナード化粧品、ノエビア など 「通販」ファンケル、ディーエイチシー、オルビス など
業務用品メーカー 美容院やエステティックサロンで使用される業務用化粧品を専門としていることが特徴で、流通の形態は「一般メーカー」とほぼ同じです。メーカー例:ウエラジャパン、ミルボン、コタ ほか
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どんな職種がある?
化粧品業界のスタンダードなビジネスモデルは、大きく「研究・開発」「生産・製造」「商品企画」「営業・宣伝・販売促進」に分けられ、それぞれに専門の知識を持つ人材が必要とされます。具体的にどんな職種があるのか、その一例を紹介します。
研究・開発 基礎研究や製品開発、安全性研究などを手掛けます。成分の厳選・分析や安全性、使用感などはもちろん、美白、アンチエイジング、オーガニックなど、多様化するニーズに応える研究・開発が求められます。
生産・製造 化粧品を製造するための原料・素材の仕入れ先や量をコントロールするなどの生産業務を行う職種です。製造部門では製造および包装に関することを担当します。
商品企画 トレンドやニーズなどを踏まえたマーケティング、ブランドの価値を高めるためのブランディング、新商品の企画・パッケージデザインなどを手掛けます。
営業・販売促進 ニーズやブランド戦略を踏まえた上で、化粧品を取り扱っている化粧品専門店や百貨店、ドラッグストアなどに、自社製品の取り扱い交渉などを行います。
広告・宣伝 CM、広告、SNSやグラフィックデザインなど、幅広くクリエイティブワークに携わるのが広告・宣伝の仕事です。ブランディングを意識しながら商品のプロモーションを行います。
美容職 店頭でお客様に対して最適な美容を提案します。 美容機器での肌測定やスキンケア、メイクアップの提案など、そのアプローチは様々です。美容部員とも言われ、顧客と直接対話をして商品の説明をすることから、宣伝・販売促進の要素も兼ねていると言えるでしょう。
コロナ禍で生まれた人気職業の新たなニーズ
そもそも美容業界は不況知らずと言われており、華やかな印象もあるため人気の職業。取り扱う商品の特性上、女性の割合が多くなっています。その入り口は狭いと言えるでしょう。さらに、新型コロナウイルス感染拡大を受け、訪日観光客の激減や、お客様に直接商品を紹介するタッチアップの自粛、不要不急の外出を控えるライフスタイル、マスク着用によるメイクの変化など、化粧品業界は大きな変換点を迎えています。化粧崩れしないメイクや、マスクによる肌荒れから高まるスキンケアへの関心など、ウィズコロナの時代において支持される商品開発や、ライブコマース(ライブ配信とECを組み合わせた新しい販売形態)への取り組みなどが求められているようです。
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転職を考える際の主なキャリアパス
では、化粧品メーカーでのキャリアパスにはどんなものが考えられるでしょうか。まず一般的なのは、同じブランドで働く=“縦”にキャリアを積む形です。また、同じブランドで美容部員から宣伝などの職種に移動してキャリアを積む方法も考えられます。次にあげられるのは、ブランドチェンジでのキャリアアップ。様々なメーカーの特色を知ることで違う知識を得られるかもしれません。そして最後は、化粧品に関わる別の仕事に就くという選択肢です。美容部員の方なら、個人サロンやブライダルメイクなど異業種で活躍することもできるでしょう。今後、化粧品業界がどのように拡大・転換していくのかを想像することも大切と言えそうです。
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