仮想空間からの逸脱によって生まれた作品群
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(2021/03/24)
2021年4月11日(日)まで、キラー通り近くのギャラリーEUKARYOTE(ユーカリオ)にて石川和人と品川はるなの2人展「IMPROVISATION MAR. 2021」が開催されている。
石川和人は1983年生まれの写真家。撮影した写真を大量のインクで出力しイメージを重ね合わせることで被写体の輪郭を曖昧に浮かび上がらせたシリーズ「Humanity」など、情報やテクノロジーが発展した現代におけるアイデンティティとは何かを作品を通して追求している。2015年にはロックバンドRADWIMPS・野田洋次郎によるエッセイ本『ラリルレ論』の表紙に起用されたことでも注目を集めた。
対する品川はるなは1995年生まれのアーティスト。本来ならキャンバスに定着させることで作品が完成するはずの絵具をあえて引き剥がすという独特の技法により、視覚媒体が溢れる現代でのイリュージョンや絵画の構成要素について問いかけている。
表現手法や制作テーマが異なる2人の共通点は、物事の裏側を可視化させようと試みていること。本展で石川はカメラをテクノロジーの目として捉え、デジタル化の速度、デジタルメモリー化される記憶、均一化される個性を写真行為に落とし込み裏側的な世界を表面化。品川は物質と速度にアプローチするようにメディアの質量をその場に具現化している。
デジタル化を拒絶するのではなく、飛び込むことで見える仮想空間からの逸脱によって生まれた作品群。それぞれの新作はもちろん、2人によるコラボレーション作品も必見だ。
※敬称略
■概要石川和人、品川はるな「IMPROVISATION MAR. 2021」開催期間:2021年3月19日(金)〜4月11日(日)開催場所:EUKARYOTE(ユーカリオ)住所:東京都渋谷区神宮前3-41-3開廊時間:12:00~19:00休廊日:月曜
>>EDITOR’S VOICE本展の会場「EUKARYOTE(ユーカリオ)」は2017年まで神宮前エリアにあった「セゾンアートギャラリー」のメンバーが中心となり2018年にオープンした。ギャラリー名は「真核生物」を意味するラテン語で、確かな核のある表現を求める姿勢を表しているという。
Text:Natsuno Aizawa
INFORMATION
住所東京都渋谷区神宮前3-41-3
営業時間12:00~19:00
定休日月曜
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