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Clubhouseから紐解く、後発サービスがヒットするための5つのポイント

2021.02.09 Tue. - 18:59 JST

Clubhouseから紐解く、後発サービスがヒットするための5つのポイント

2021.02.09 Tue. - 18:59 JST

サンフランシスコ発デザイン会社の公式ブログ
btrax

2週間ほど前から日本では音声SNSサービス、Clubhouseの人気が急激に高まってきている。この現象に関して、アメリカ側の視点から書かれた記事「Demystify the Clubhouse Craze in Japan」にも記載されている、ある一つの点に関して考えたい。

それは、サービスの形態自体は特に斬新ではないということ。音声を利用したサービスはPodcastをはじめ、以前より多く存在していたし、それにSNS要素を追加させたタイプもStand.fmやDabelなどの先発サービスがリリースされていた。

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それなのに、かなり後発のClubhouseがなぜそんなにも爆発的な話題を集めているのか?おそらく、その謎を解くことがサービスデザインにおける大きなヒントになると考えられる。

後発でもヒットしたプロダクト例

この謎を解くために、まずは今までに他の商品やサービスで後発なのにヒットした例や、先発なのに失敗した例を見てみることにする。というのも成功しているサービスの多くが結構後発である。逆に真っ先に動いた企業は、タイミングが早すぎたり、市場の準備ができる前に資金が尽きてしまうことも多い。

■ Gmail

リリース日: 2004年4月
先発サービス: Hotmail, AOL, Yahoo Mail

現在ではEメールの代名詞になっているGmailも、実はかなり後発のサービス。ネットの普及が進み、Webメールサービスが提供されていたのが90年代中盤。HotmailやAOL, そしてYahoo Mailなのが代表的なサービスになっていった。

しかし、Googleによる、よりクリーンで使いやすいメールとして”Email that doesn’t suck (イケてるメールサービス)”をキャッチコピーとしたGmailの人気が一気に高まり、後発ながらも、現在最も多くのユーザーを獲得しているメールサービスとなった。

hotmail

Gmailの前に人気の高かったHotmail。スパムがめっちゃ多かった

■ Zoom

リリース日: 2012年9月
先発サービス: Skype, Google Meet, WhatsApp

リモートワークが進んだことで、最もユーザーを増加させたサービスの一つがZoomだろう。それまでもSkypeやGoogle Meetなど、ビデオコールのサービスが多く存在しており、完全にレッドオーシャンだと思われた市場に彗星のごとく登場した。

それも、それまでの多くのサービスが無料だったのに対して、Zoomは無料プランに制限をかけ、多くのユーザーが有料プランを利用している。それにより、売り上げもうなぎ登りになり、上場も果たした。

zoom

Zoom以前にも無料のビデオコールのサービスが存在していた

■ Slack

リリース日: 2013年7月
先発サービス: HipChat, Yammer, Chatwork

ビジネスチャットツールとして、現在では堂々たる地位にあるSlackも、実はそのカテゴリーにおいては、結構な後発のサービス。

Slackが出る前にも、HipChatやYammer, そして日本発のChatworkなど、複数のビジネスチャットツールが存在していた。しかし、Slackはそれらを大外からことごとくぶち抜いてしまった。

hipchat yammar

Slackよりも前にリリースされていたHipChat(左)とYammar(右)

■ Facebook

リリース日: 2004年2月
先発サービス: Friendster, MySpace

Facebookが元祖SNSサービスだと思っている人も少なくないだろう。しかし実は、Facebookの前にもFriendsterやMySpaceといった類似のサービスが存在してた。

日本にもmixiがあったが、現在では「マイミク申請していいですか?」と聞いて理解してくれる人は少ないか、笑いをこらえるのに必死になる人もいるだろう。

friendster myspace

Friendster(左)とMySpace(右)はFacebookの数年前にリリースされていた

■ Google

リリース日: 1997年1月
先発サービス: Friendster, MySpace

ネットが普及し始めて最も初期のサービスが検索エンジン。その中でGoogle Seachは最も後にリリースされたサービスになる。

Googleが出てくる前までは、Yahoo, Excite, Lycos, AltaVista, Infoseekなど、複数の検索エンジンが乱立しており、毎月のように利用者ランキングが入れ替わる検索エンジン戦国時代だった。そんな中で天下布武を成し遂げたのが、後発のGoogleだった。

■ iPhone

リリース日: 1997年1月
先発サービス: Palm, Blackberry, ザウルス, ガラケー

世界初のスマホはiPhone出ることは間違いない。そういった意味では先発のように思うかもしれないが、実はその前にもいくつか類似のデバイスは存在していた。

Palmやザウルスに代表されるPDAやBlackberryだ。ネットに繋がる携帯という意味では、日本のガラケーが十年以上も前にすでに存在していた。

PDA Blackberry

スマホの前身であるPDAやBlackberry

■ Tesla

リリース日: 2010年5月 (Model S)
先発サービス: GM EV1, シボレー Volt

自動車会社として世界一の時価総額を達成したTeslaは、もちろん自動車会社としてはめちゃくちゃ後発。むしろ21世紀にできた数少ない自動車メーカーだろう。

そして、EV車両としても、すでにGMやシボレーがTeslaよりも前にリリースしていた。しかし、それらがことごとく大失敗をしたEV焼け野原の中から、真打としてTeslaがリリースした初の量産モデルのModel Sが大成功した。

Tesla

アメリカ初の量産EVであるGMのEV1は派手に失敗した

■ Instacart

リリース日: 2013年6月
先発サービス: Webvan

パンデミックによる外出自粛の際に最もありがたいサービスの一つが、生鮮食品のデリバリーサービスだろう。その代表的なのがインスタカート。

2013年にリリースされたこのサービスは、実はその10年ほど前に同じようなコンセプトのスタートアップが存在した。Webvanは、現在のインスタカートやAmazonフレッシュと全く同じサービスとしてスタートしたが、90年代のドットコムバブルの終焉とともに空中分解した。

参考: 世界を変えられなかった12のサービス ~第一次ドットコム時代のアイディア~

後発でも勝てるサービスになるための5つのポイント

では、上記のようなサービスが、後発なのになぜ市場を獲得することができたのだろうか?おそらくそこにはいくつかの重要なポイントがある。それらをサービスデザイン的な観点から考察してみる。

1. 「何をやるか」よりも「どうやるか」

まず、今回のClubhouseのヒットを目の当たりにして、真っ先に感じたのが「何をやるかよりもどうやるか」の重要性。よく、まだ誰もやってないような革新的なサービスを作ろうとしてしまいがちだが、もしかしたら誰も必要としていないサービスになる可能性もある。

それよりも、すでに似たようなサービスが存在していたとしても、その「やり方」を工夫することで、例え後発だったとしても勝機は残されている。ゼロサムになりがちなSNSサービスの世界でも、Facebookはやり方を工夫したことで、先発のサービスを凌駕することができたのが良い例。

参考: サービスデザインで考慮すべき3種類の心理的ハードルとは

2. 似たようなサービスでも、ユーザー体験大きな差別化要因となる

では、どのようなやり方をすれば良いのだろうか? 実は、ユーザー体験が鍵を握っている。機能的にはほとんど変わらないようなサービスでも、使いやすいものとそうでないものがある。それを左右するのは、UXのクオリティー。特にデジタル系のサービスにおいては、どのようにUXデザインを行うかによって、その価値が決定づけられる。

体験が良ければ、後発であってもユーザーを獲得することは不可能ではない。Gmailが良い例だろう。それまでのHotmailのスパムや広告だらけで使いにくかった点に着目し、使いやすさの改善を追求した結果、世界一のメールサービスに成長した。

参考: Googleも採用するめっちゃ使えるUXデザイン手法

3. すでに存在しているからといって諦めない

スタートアップのピッチイベントなどでは、審査員からよく「そのサービスすでに存在してるよね?」といった質問がされる。実際、自分もした事が何度かある。でも、すでに存在している = 試す価値がない、ということでは無い。

これは、Zoomの成功がわかりやすい。それまでも多くの無料ビデオツールが存在していたが、より映像・音声のクオリティーを高め、安定させ、ターゲットをビジネス利用に絞り込んだことで、企業ユーザーを多く獲得し、大きな利益を生み出すことに成功した。

参考: 今さら聞けないスタートアップピッチの基本

4. ヒットさせるポイントはコアユーザーを喚起できるかどうか

同じサービスでもユーザーが熱狂しているケースと、見向きもされていないケースがある。その違いは何なのだろうか?ヒットするサービスの場合は、ターゲットになるユーザーをしっかりと定め、彼らを上手に喚起していると思われる。

例えば、Slackは初期のターゲットユーザーをエンジニアに絞り、画面内に直接コードを打ち込めるなど、エンジニアが最も使いやすいと感じる体験を優先して実装していった。そこから徐々に一般ユーザーにも広がっていった。そこには、UCDの概念をしっかりと踏まえたサービスデザインがされている。

参考: お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い

5. 市場とのタイミングが合うかどうかもかなり重要

Bill GrossによるTED Talk「The single biggest reason why start-ups succeed」でも語られているとおり、スタートアップの成功を左右する一番の要因がタイミング。言い換えると、市場ニーズに提供されるサービスが合っているか。早すぎても遅すぎてもチャンスを逃す結果となる。

この良い例が、Webvanの失敗だろう。90年代後半のネットユーザーはまだまだマニアックな利用方法をしていたし、スマホも存在していなかった。そんな時代に、ネットでの生鮮食品のデリバリーサービスは、明らかに早すぎた。でも、アイディア自体が間違ってたわけではない、時代に合っていなかっただけなのだ。

参考: ヒットサービスに重要なのは “革新的アイディア” ではない!?

まとめ: 本気でやりたいなら類似サービスが存在していても諦めるな

今から150年以上前、サンフランシスコの近郊で金が発見された。それを狙って世界中から一攫千金を目指して多くの人たちがやってきた。金脈に当たる人もいれば、外れてとぼとぼと帰って行く人もいた。

何が運命を分けたのだろうか? 実は諦めた人が掘った穴を違う人数メートル掘ったところで金が出てきたという話も少なくない。

さまざまなサービスが存在する今の時代、どこにも存在していないサービスを考えるのは至難の技だろう。

シリコンバレーなどでは、後発のサービスをリリースする際には、既存のサービスの「10倍」価値のあるサービスである必要がある、とされる。しかし、何をもって10倍とされるかがいまいちピンとこない。その要素分解が上記の5つのポイントとなる。

実は、American Marketing Associationによる調査によると、先発のサービスの失敗率は47%で、後発の場合はそれが8%にも下がる。これは、必ずしも最初に動いたもん勝ちじゃないし、すでにあるからといって諦める必要もないということでもある。

もし現在考えている、もしくは作っているサービスに「今さら感」があったとしても、本気でやりたいなら諦めるのはまだ早いかもしれない。

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