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上海でのポップアップを成功させた「PR01. TOKYO」が見据える中国マーケットへの展望とは

株式会社ワンオー 木村俊之
株式会社ワンオー 木村俊之

上海でのポップアップを成功させた「PR01. TOKYO」が見据える中国マーケットへの展望とは

株式会社ワンオー 木村俊之
中国、日本を中心としたアジア専門のファッションニュースサイト
WFN -Asia-

WFN:Interview

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株式会社ワンオーが運営するPR01.TOKYOが昨年末、上海の有名セレクトショップ「Whyhow」に8つの日本ブランドを送り込みPOP UP SHOPを開催した。中国現地の複数の大手ファッションメディアにもその様子が取り上げられ、盛況のうちに幕を閉じた。

今回は同イベントを企画し、各都市のファッションウィークへも参加、多数のブランドのディストリビューションを担う木村 俊之氏に、現在のPR01.TOKYOのスタンスや今後の展望についてインタビューを敢行した。

木村 俊之 氏
2006年、アッシュ・ペー・フランス株式会社入社。Wut berlinにてヨーロッパーブランドのディストリビューションを行う。 2010年、社内のインポート卸部門統括セールスマネージャーとして、大手セレクトショップ、百貨店をはじめ、全国のショップとの取引窓口を担当。
その後、株式会社ワンオー PR01.TRADESHOW/SHOWROOMのマネージャーとして世界各国へのディストリビューションやプロモーション業務を担当している。
»株式会社ワンオー

PR01.TOKYOのこれまでの各国での取り組みを含め、昨年末に開催した上海 WhyhowでのPOP UP SHOP開催に至った経緯をお聞かせいただけますか?

PR01.SHOWROOMという名称でニューヨークからスタートさせ、その後パリでも展示会を開催、2018A/Wシーズンより、上海ファッションウィーク期中に開催される大型合同展示会に参加してきました。

パリでは支社も作り、売り上げは順調に伸びてきていたが、今回のコロナウイルスの影響も相まって欧米諸国は非常に厳しい状況が続いています。特にマルチレーベル系のショップはかなりの打撃を受けており、今後B to Bでのビジネスモデルはいつ元に戻るか、例え経済が回復したとしてもその形はコロナ前とは大きく変わったものになるであろうと考えています。

そこで、コロナ前から考えていたものではありましたが、このタイミングで当初計画していたスピードをより早める形で、中国マーケットへ本格的に参入していこうと決断に至りました。

PR01.SHOWROOMとしてこれまでにソウルや台北といった地域にも積極的に展開を行っていたと思うのですが、これまでにどのような手ごたえを感じていますか?

台湾、韓国にはすでに現地支社を作ったり、プレスルームを作ったりと既に基礎は出来ていました。現地のパートナーやコミュニティを使ってアタッシュドプレスをメインにB to Bも徐々に成長してきています。

とはいえ、国土の面積の問題や人口も多い国ではないので、to Bに限らず、現地のセレクトショップでシューズブランドのPOP UP SHOPを企画したりとエンドユーザーを意識した施策も行っています。

これまでにこうしたアジアでの展開を行ってきましたが、中国という国のマーケットについて他国との相違点や、特殊に感じる部分はありますか?

やはり国土の大きさからくる価値観の違いや、あらゆる分野でのスピード感といったところは世界的に見てもかなり特殊だなと感じています。

ファッションウィークをはじめ、ファッション自体の中心地は上海であることに間違いないと思いますが、その価値観やトレンドが地方都市では通用しない。すべてを網羅しようということではありませんが、地方都市にも複数のアカウントが存在する為、バイイングされるアイテムも異なってくる。

そうなると傾向や対策含め、日本国内のブランドへのフィードバックも難しくなってくるのですが…..ここはトライ&エラーを繰り返してデータを蓄積していく他ないのではないかと考えています。

逆に上海というエリアについては、すごくニューヨークに近い雰囲気を感じています。多種多様な人種、生活様式、個々のファッションのスタイル、あらゆる分野でのトレンドの移り変わるスピード…..これらからみても良い意味で他者を気にしない、個性が活かせる地域であると感じています。

上海というエリアでは特に昨年末に行った現地セレクトショップでのPOP UP SHOP含め、to Cへの訴求も引き続き図っていこうと考えています。

傾向や対策といったワードも出てきましたが、その中でも特に気を使っている、日本をはじめとした諸外国との取引とは違う独特なものも感じていますか?

そうですね、その中でも特にコントラストを感じるのはオーダーデッドの感覚の違いについてですね。

オーダーデッドを過ぎて、今回はこのショップからはオーダーが無かったな…..と思っていても、その数週間後にすごい量のオーダーが届くことがありました。当初は対応に困ったと同時に驚きを感じていたのですが、こういった部分でも”郷に入っては郷に従え”ではないですが、あらゆる局面での対応力であったり迎合性は必要なのではないかと感じています。

中国という国は元々が“モノを作る”国として経済発展してきた経緯があるので、中国国内ブランドはオーダー締めから納品までを凄くクイックに行うことができる。そうした生産背景を持つブランドとも競合していかないといけないので、この部分に関しては現在サポートしているブランドさんたちと個々に対応していかなければならない課題の一つであると痛感しています。

”PR01.” というと個人的にはこれまでの活動含め、to Bへの卸やディストリビューション、アタッシュドプレスといった分野を担っているイメージでしたが、先ほどからお話をお伺いしているとto Cへの意識が強く感じられます。これはコロナウイルスが蔓延するより前から意識されていたものなのでしょうか?

代表の松井(株式会社ワンオー 代表取締役 松井 智則)からはかなり前からその意識は強く持つようにと伝えられていました。

うちの母体はそもそもプレスルームなのでブランドからお預かりしたものを各メディアに貸し出したりといったことをメインに行ってきましたが、SNSの隆盛があり個々でも情報が発信できる時代に移り変わってきた。

もちろんこれまでに培ってきた知識やノウハウもあるので個人単位では発信できないようなアタッシュドプレスといったところにはこれまで通り自信はあるのですが、やはり時代に沿ってビジネスモデルを変化させていかないといけない。これはプレス業務だけではなくディストリビューションの分野でもここ数年、特に意識し続けているところですね。

世界各国にある卸先のアカウントと積極的にコミュニケーションを取り、バイヤーの意見だけでなく、そのお店に来る顧客の反応や現地の声といったところまで今まで以上に目を配る。

ただモノを売るだけではない、複合的な意味での “to C” を心掛けています。

今までは海外での取り組みや展望をお聞きしてきたのですが、逆に日本国内についてはどのようにお考えですか?

国内は「EQUALAND  -TRUST AND INTIMATE-」というプロジェクトを引き続き推進させていきたいと考えています。

MIYASHITA PARKにお店を構えているのですが、ラグジュアリーブランドの残反などを使用して、新たなプロダクトを生むといった活動をしています。

この取り組みは現在、店舗と自社ECのみで販売をし卸には対応していません。このプロジェクトでも”D to C”を強く意識したブランディング、販売方法を今後も模索していく形になると思います。

EQUALAND  -TRUST AND INTIMATE-
同名を冠したオリジナルブランドEQUALAND -TRUST AND INTIMATE- を1/27に本格的に始動させると共に、現代のアパレル業界が抱える「在庫の大量廃棄」と「環境問題」を解決すべく、サスティナブルな素材・生産背景・トレーサビリティ+《素材、生産、販売、PR、WEB構築》までを担う“一億人総デザイナー”を目指すサスティナブルなD2C プラットフォームプロジェクト。

それでは最後に今後のPR01.TOKYOとしての目標やプランについてお聞かせください。

やはりまずは中国での認知度拡大や、販路の開拓に尽きると思います。

昨年末から公式のWeibo(微博)アカウントを開設したり、taobao(淘宝)をオープンさせました。こちらはまだまだトライ&エラーの繰り返しが必要になってくると感じていますが、こうしたオンラインでの発信はもちろんのこと、引き続き定期的に中国国内での展示会だけでなく、オフラインのイベントも開催していきたいと考えております。

“こういった”時代ということや、現地バイヤーの商慣習といった側面からも 「手に取らなくても伝わるプロダクトアウト」が今後の日本ブランドや我々の目指すべきポイントなのかなと感じています。

それは価格としての魅力であったり、LOOKの撮影方法であったり、オーダーシート等の資料づくりであったり…..。日本で展開しているものを、そのまま持ち込むのではなくよりアジャストしていく柔軟性を持ち合わせることが必要不可欠なのではないかと考えています。

インタビュー・編集:石本 遥路

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