今までも当たり前に使っていたソーシャルメディアだが、2020年は、グッと必須のコミュニケーションツールになったのではないだろうか。
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そこで今回は2020年に追加された各SNSの新機能をおさらいし、ソーシャルメディアがどのような流れになってきているのか、今後どのようなポイントを掴んでおくべきかを紹介する。
まずは2020年時点での、それぞれの機能の相違や、2020年のソーシャルメディア周りのハイライトを掴んでいただきたい。アメリカでリリースされたものや、アメリカの情勢をまとめたものだが、非常に大きな動きがあったので、異なるケースでも参考にできる場面があれば幸いだ。
上記の図は、主要ソーシャルメディアの主な機能の有無を比較した表である。基本的に全てのソーシャルメディアで、写真や動画コンテンツの投稿、共有がされるため、加工機能や、3D・360度画像といったようなメディアのタイプも充実してきており、どこも他社に負けないようしのぎを削っている。
後に2020年のアップデートとしても取り上げるが、Twitterがフリートという機能(ここではストーリーに分類)がリリースされた時は、Twitterのインスタグラム化とも言われていた。
また、インスタグラムのReel機能も、TikTokそのものによく似ているため、インスタグラムがまた他社の機能を取り入れたという声が上がった(元々、24時間で消える投稿機能は、スナップチャットのウリであったが、2016年にインスタグラムがストーリーをリリースした過去あり)。
さらに上記に加え、LinkedInまでもが、ストーリーの類の機能を出した。2020年は既視感のある機能が増え、このプラットフォームでこの機能は使うのか?と言いつつも試してみるような年だったのではないだろうか。
何を隠そう、2020年はパンデミックが全世界を襲った。これはインターネット上でも、情報という観点で人々を苦しませた。
「XXすると感染するらしい!」「XXが売り切れているらしい!」「XXすれば大丈夫らしい」といった信憑性が疑わしい情報に踊らされ、コロナ禍初期は本当に混沌としていた。
こういったインフォデミック(正しい情報と不確かな情報が混じり合い、人々の不安や恐怖をあおる形で増幅・拡散され、信頼すべき情報が見つけにくくなるある種の混乱状態)に対し、ソーシャルメディアをはじめとする多くのインターネット企業が素早く対策をとっていたのも2020年のハイライトだろう。
>>Withコロナの体験デザイン。世界の企業がとったアクションとは?
例)Facebookの大統領選挙情報センター
(画像転載元)
上のような、公式の一次情報を整理した情報センターを設けたり、コロナに関する情報を含むコンテンツは注意喚起をしたりと、ソーシャルメディア上で、ユーザーへの声かけが盛んに行われた。
そして迎えた11月のアメリカ大統領選挙。コロナ禍での開催となり、全てが異例続きで、ソーシャルメディア上でも議論が巻き起こっていた。こういった政治に関連するコンテンツは、印象操作や誤情報による決断を招きかねないため、SNS各社、ユーザー共にかなりセンシティブであった(大統領の投稿が検閲にかかった場面も)。
一方で、SNSを通して投票を呼びかける動きや、大統領選挙にかける想いがシェアされ、投票率は120年ぶり66%に達するとまで予測されるほどとなった。
パンデミックで街がロックダウンする中、黒人への差別行動を反対する動き、Black Lives Matterが一気に広まった。2020年、ここまでの広がりのきっかけとなったは、2020年5月末に、ミネソタ州でおきた、白人警官の不適切な拘束によるジョージ・フロイド氏の死亡事件だ。
この事件自体が、ソーシャルメディアで拡散され、差別被害や、差別を理解し、防ぐためのアクションを起こすための情報が#BlackLivesMatterで発信されていった。
これに対して、各ソーシャルメディアも、BLM関連のコンテンツを集めたページの設置やBLM関連の団体への寄付をするなどのアクションを取っていた。
残念ながら、この問題はまだまだ根深く残っており、ソーシャルメディア側もバッシングを受けては改善していっている。例えば、Twitterでは、投稿内容に含まれる写真が自動で切り取りされる機能があるが、これに人種バイアスがかかっていることが明らかになった。
これに対してTwitter側は、切り取り機能の自動化レベルを下げたり、ゆくゆくは投稿者が切り取られ方を選べるようにするなどの対応をしていくことを発表した。
また、インスタグラムでも同様な問題が発見された。プラスサイズモデルの黒人女性が、自分の写真を投稿すると、(同じくらいの露出度の白人女性モデル写真は引っかからないのに)ヌード規定に引っかかり、投稿が削除されるということがあった。インスタグラムは、この誤りを認識し、対処していく方針だ。
その他、各SNS別の主なアップデートをいくつかリストアップする。
- スモールビジネス向け機能が拡充(Facebook Shopsでは、Facebookで商品カタログを作ったり、Facebook上で買い物ができるように。ライブコマース機能もあり)
- Facebook Groupsの充実(コロナの影響もありグループの月間アクティブユーザーが1年で400万人増加。グループメンバー向けのスポンサー探し、広告表示などの設定が増えたり、グループ内のトピックをハッシュタグ化し、ページのトップにタグをつけることも可能になったりしている)
- Reelのリリース(30秒程度の動画投稿機能で、アプリ内でも音楽の挿入、動画編集・加工ができるため、まさにほぼTikok)
- インスタグラムガイド機能追加(過去の投稿などをキュレートして、まとめて紹介しやすくなった機能)
- プロダクトタグが投稿だけでなく、広告やReelにも商品情報がつけられるように
- ライブの機能拡張(配信時間は4時間まで可能に, バッジ機能(投げ銭)も追加)
(画像転載元:Instagramのガイド機能)
- フリート機能のリリース(24時間で投稿が消えるハイライト機能)
- 自分の投稿に対して、誰がリプライできるかの設定が可能に
- 音声ツイート機能テストリリース
他
- LinkedInも24時間で消えるハイライト機能、ストーリーズをリリース
- スナップチャットはSpotlightという、動画コンテストを開始(受賞者には総額100万ドルが授与される)
- 新機能ではないが、TikTokは2021年に10億ユーザー(MAU)を達成する見込み
ここでは特に真新しいものの誕生を予測するわけではないが、以下はこれからの拡大に注目をしたい項目である。
ソーシャルメディアのショッピング機能充実の流れは、2020年のアップデートからもわかるだろう。オンラインショッピング自体が、パンデミックで急速に拡大していることも事実だ。実際に、アメリカ最大の商戦期と言われるブラックフライデーのEコマース売上は、24億ドルになってとShopifyが発表している(グローバル)。これは2019年の売上より75%も増加した数字となる。
パンデミックで被害を受けたスモールビジネスには、Facebook/Instagram Shopのように、ソーシャルメディア上でのビジネスサポートツールが優先的に提供された。また、店舗接客の代替として、ライブ動画で商品を紹介するライブコマースは、オーディエンスも広がり、うまくやればエンゲージメントも高くなる。また、Pinterestなどが一部取り入れているように、アプリ内で、商品のAR試着ができる機能もある。
意図せずEコマースの急速拡大となっているが、今後のソーシャルコマースは、ただの「お店の代わり」ではなく、ソーシャルメディアやインターネット空間のお買い物体験をよりリッチなものにしていくだろう。
また、こういったツールは、スモールビジネスだけでなく、クリエイターなどの個人に向けたものでもある。ソーシャルメディアプラットフォームとしては、ビックブランドよりも、スモールビジネス、ローカルビジネス、個人のクリエイターとその周りのファンといったコミュニティを支えて、自分たちのサービスも良くしていこうという姿勢が見られる。
>>ブランド拡大に欠かせないソーシャルコマースとは。特徴と海外トレンド紹介
②これからのUCGはリミックス型が好まれる
UGC(ユーザージェネレイテッドコンテンツ)は、ブランド側が依頼しなくても、ファンがオーガニックに商品の写真を撮って投稿してくれているコンテンツのこと。インスタグラムでは、「インスタ映え」によって挙げられるコンテンツがまさにそれである。
UGCは、消費者のリアルな声や口コミが可視化される上に、使っている様子が魅力的に見える。さらには拡散力もあるので、非常に好ましいマーケティング手法とされることが多い。
これは、ユーザーが写真映えするものを撮り、投稿する、というものだったが、昨今のユーザーによるコンテンツは、よりフォーマットが決まったリミックス型が広がりを見せている。
例えば、老舗飲料メーカーのMartinelli’sのリンゴ型のペットボトルのリンゴジュースがTikTokでバズった。これは、リンゴ型のペットボトルをかじると、本物のリンゴをかじったような音がする、という「フォーマット」を多くの人が試しては投稿していたのだ。
ドッキリなのかを試したいという欲求から拡散された経緯もあるが、既存のテンプレートに乗っかって、自分のオリジナルコンテンツを投稿するというのは、TikTokやReelではよく見る。
ソーシャルメディアツール自体の編集機能も充実してきたため、編集パターン(テンプレート)自体がバスることがあり、それを真似てさらにUGCが投稿される。
リンゴジュースの例はブランドが意図的に仕掛けたものではないが、もはや誰発信かはあまり関係ない。それよりも、こうした流れを掴み、逆に乗っかったりすることもブランドとして今後必要になってくるスキルと考えられる。
また、ユーザーにそっくり真似してもらうような正解のUGCを見せるより、ファンが乗っかりやすいようにファシリテートをしていくのがポイントになりそうである。
ユーザーがオリジナリティを発揮する余地を残しつつ、自分も同じような写真・動画を撮りたいと思うようなコンテンツの配信が鍵となる。言うなれば、大喜利のお題をそれとなく提供する感じだ。
これは今になって大事になっていることではないが、ブランドの倫理観は今まで以上に重要な項目になっていると感じる。なぜなら、コロナという苦しい状況の中、ブランドがどのような判断をするかが注目されるシーンが多くなり、その決断にブランドとしての価値観が現れやすくなったからだ。
2020年アメリカは特に、コロナ、人種差別問題、大統領選挙などインパクトの大きいニュースも多かったのはみなさん周知の通りだ。その最中、投稿頻度・投稿内容はどうするか、情報の整合性は確かかなど、マーケターとしていつも以上に注意深く見る必要があった。
もちろん、投稿内容によっては炎上となってしまうケースもあったため、オーディエンスもブランドもより敏感になってきている。
どれほどソーシャルメディアの機能が充実しても、ブランドの倫理観がずれていると、それはマイナス効果を招きかねない。もしかすると、ソーシャルメディアマーケティングの自動化や運用の最適化ばかりを追求すると、このような落とし穴にハマることになるかもしれない。
このように、ブランドのコアが細部にも出てくるため、ブランドの倫理観は、ソーシャルメディアではDNAとなるようなものと考えることができる。2021年はぜひ、ソーシャルメディア上のコミュニケーションも意識した倫理観のブラッシュアップをしてみてはいかがだろうか。
btraxはこういったアメリカのトレンドやブランドのあり方を取り入れて、お客様のブランド、プロダクト、サービスの創出、成長をサポートしています。我々のサービスに興味ある方はぜひお問い合わせを。
参考
- Top Facebook Updates You Can’t Miss
- People Are Mesmerized By This Apple Juice Bottle That Sounds Like An Apple When You Bite Into It, And Now I’m Curious As Heck
- The Top Twitter Updates You Need to Know: January 2021
- Black plus-size model sparks viral campaign after Instagram deleted her topless photo: ‘There are literally thousands of images of white, thin women revealing more of their bodies’
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