■ネット通販最大手のアマゾンは6日、重くてかさばる日用品や非生鮮食品などを宅配する「プライム・パントリー(Prime Pantry)」サービスを終了したことを発表した。
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6年から開始したサービスは、ホールフーズ・マーケットの買収にアマゾン・フレッシュやプライム・ナウのネットスーパー展開の拡大で役目を終えたと判断された。
アマゾンプライム会員のみ利用できたアマゾン・パントリーは、スナック菓子など加工食品やトイレットペーパーなど日用品など「自宅で毎日消費される(もしくは使う)ようなもの」を1つのダンボールに詰めて届けてもらえるサービス。
プライム・パントリーではユーザーが専用サイトにアクセスし、コカ・コーラなどの飲料水やタイドなどの洗濯用洗剤、トイレットペーパーにキッチンペーパー、ポテトチップスやシリアルといった商品を選択すると、同社がそれらの商品を段ボールボックスに詰め、「多品種少量」を効率よく購入するための仕組みでもあったのだ。
プライム・パントリーが2014年4月にローンチした時の配達費用は1箱一律5.99ドルだった。2018年にはプライム会員向けに月額5ドルのサブスクリプションに変更。
様々な商品をまとめて大型の段ボールボックスに入れてくれるプライム・パントリーは箱の大きさなどで制限が儲けられており、重量は45ポンド(約20.4kg)まで、あるいは容量4立方フィート(113リットル)までとなっていた。
ボックスに注文品がどれくらい詰め込んでいるのかが分かるように、適宜パーセンテージで表示されるようになっていたのもプライム・パントリーの特徴だった。なるべく100%に近づくように注文することで、お得になっていた。
アマゾンは3年前、137億ドルという破格の金額でのホールフーズの買収。ホールフーズは徐々に店舗数を増やしながら、宅配サービスやカーブサイド・ピックアップなどのネットスーパーをローンチし対象地域を拡大していった。
同時にアマゾンはプライムナウやアマゾン・フレッシュの対象地域も拡大し、利用者は時短で生鮮品から冷凍品を含む多くの食品を注文できるようになっていった。
最近ではホールフーズとは別に食品スーパー「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)」をオープンし、スーパーのリアル店舗展開にネットスーパーの拡大も充実するようになっているのだ。
一方、外出禁止令が発動された昨年3月には注文が殺到したことでプライム・パントリーを休止せざる得ない状況にも追い込まれている。
プライム会員の利用者がパントリーより時短で宅配されるネットスーパーの利用を増やしているのもアマゾンがパントリーから撤退する要因となっていた。
アマゾンのネットスーパーの進化・拡充が一つのサービスの役目を終わらせたことになったのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。英語の「pantry(パントリー)」には、「食料庫」や「食料保存室」という意味があります。プライムパントリーで購入するということは、アマゾンにパントリーを持つことを意味していたのです。ただし注文できる商品が限られるなどの条件がありました。代表的なのは1つのダンボール箱に注文品を満たすようにして注文する必要があるということ。で、ボックスの容量を満たす注文ができるようにわざわざパーセンテージ表記されていたのです。アマゾンにとってコスト高にならないよう「ひと箱にまとめて注文させる」という苦肉の策です。つまりネットスーパー網が拡充される前段階のサービスだったのです。食品スーパーで売られている生鮮品から日用品までスマホからサっと注文して1時間以内に届くようになった現在、パントリーは酷くまどろこしさを感じます。今となってはダンボールが小さくて必要な量を買えなかったり、逆にパーセンテージを満たすために不要なモノを買ってしまうというデメリットもあります。
サッと注文を終わらせたいのになかなかできないのは、レイザーラモンRGさんのお笑いネタ「〇〇あるある、早く言いたい~♪」みたいなものです(笑)。
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