今年のお買い物を振り返る「2020年ベストバイ」。1人目は本企画の常連、繊研新聞社 編集委員の小笠原拓郎さん。コロナの影響でパリコレなどの海外出張が難しくなり、新しい生活様式が定着した今年、小笠原さんのファッション観に変化は?20年以上にわたり国内外のコレクションを取材し続けている小笠原さんが選ぶ2020年に買って良かったモノ8点。
2020年ベストバイ ラインナップ
1:ディレクター交代してから初購入「JIL SANDER フリンジニット」
2:意外と入る牛乳パック型「JIL SANDER レザーショルダーバッグ」
3:またミニバッグ「JIL SANDER フリンジレザーバッグ」
4:またまたミニバッグ「PRADA メッシュ ショルダーバッグ」
5:タランティーノ映画を彷彿「DRIES VAN NOTEN レオパードジャケット」
6:パンツ選びはバランス「DRIES VAN NOTEN スラックス」
7:The Clashの捻り巻きが手本「TOGA VIRILIS スカーフ」
8:これぞガリアーノ「Maison Margiela ツイードアウター」
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1. JIL SANDER フリンジニット
FASHIONSNAP.COM(以下、F):まず1点目ですが、こちらは「ジル サンダー(JIL SANDER)」の2020年春夏メンズコレクションのニットですね。
小笠原拓郎(以下、小笠原):そうです。ラフ・シモンズ(Raf Simons)時代のジル サンダーは良く買っていたんですが、最近は全然買っていなくて。ルーシー・メイヤー(Lucie Meier)&ルーク・メイヤー(Luke Meier)夫妻になってから初めて買ったアイテムがこれです。
F:なぜ購入に至ったんですか?
小笠原:自分が持っていないデザインでいいなと思ったからですね。このストリングスですけど、購入時は引きずってしまうほど長くて、自分で切ったんですよ。ルーク自身も自分の好きな長さで切って着てくれと話していたので。ランウェイだといいですが、流石に街中で引きずれないですからね。どこで切ろうかなと妻と相談しながら、短すぎるとパンチがないし、長すぎると汚れるし......で結局この膝下の長さになりました。金額が金額だけに、ハサミを入れる瞬間はちょっと緊張しましたね(笑)。
F:確かに、ジル サンダーのニットといえば10万円は超えますからね(笑)。春夏物のニットは、着る時期が限られてしまい中々購入に踏み切れないところがあります。
小笠原:日本の気候だとそうなんですよね。ヨーロッパだと乾燥しているから全然着られると思うんですが。コロナの影響で今回6月のヨーロッパの出張がなかったことで、特に着る機会が少なかったように思います。
F:このニットはどんな服と合わせていますか?
小笠原:グレーのショーツに合わせていましたね。でも本当に数回しか着用できなかったので、来年またちゃんと着たいなと思っています。
F:ジル サンダー人気は継続していますが、小笠原さんはブランドとしてどう評価を?
小笠原:良いコレクションを発表していると思いますよ。シーズンによってはもうひと展開欲しいなと思ったりすることもありますけど、ちゃんとジル サンダーの質感というかクオリティを守りながら彼らなりに今の時代に合わせて提案しているなと。
F:小笠原さんが記事でよく使っている言葉でもある「新しい美しさ」というポイントは追求できていると思いますか?
小笠原:彼らの場合は過去のジル サンダーへのリスペクトというか、ジルさん本人がやっていたモノ作りを背景にして、彼らなりの解釈でやっていますよね。そういう意味で全く新しい美しいものを作っているかっていうと当てはまらないとは思います。ただハイクオリティの現代服を作っているということは言えるでしょうね。
F:ブランドのジル サンダーとは違いますが、11月に「ユニクロ(UNIQLO)」とファッションデザイナー ジル・サンダー(Jil Sander)さんが協業した「+J(プラスジェイ)」が話題を集めました。
小笠原:ダブルネームの希少性みたいなところはあるかもしれないですね。この秋すごく多くないですか?このところ記者が書いてくる記事を見ると、こことここが組んで限定アイテムを出すというネタがとても多い印象です。ビジネスの手法としてはわかるんですが、あまりにも多いと冷めた目で見てしまうところは正直ありますね。
F:ちなみに、小笠原さんはユニクロを着ますか?
小笠原:買ったことはないです。ヒートテックはギフティングでもらったので着たことありますけど、私の立場上、ユニクロを買ってはいけないような気がして。
F:徹底していますね。ユニクロはクオリティが上がっているのもあって、業界人もよく買っています。
小笠原:わかりますよ。プロダクトとして完成度は高いとは思うんですが、そういうものは若い頃に散々通ってきたので、今更身に付けたいとはあまり思わないんですよ。
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