7.川内理香子 ペインティング
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山本:今年は人生で初めてペインティングを購入しました。アートを見ること自体は長らくライフワークではあるんですが。
F:山本さんはアートにも詳しいですが、買うことはあまりなかったんですね。なぜでしょう?
山本:自分の中でのアートの愉しみは、アーティストの世界の見方を少しでも理解することであり、それは展覧会をしっかりと観ることで一定は満たされます。購入するとなると、特にペインティングはそうだと思いますが、アーティスト自身のある意味では血肉の一部を手元に置く感覚に重さを感じていたというか。余程のシンクロニシティがないと、自分のプライベートな空間には置けないものではないかと。でも、今年の夏に日本橋三越で開かれた川内理香子さんの展覧会で彼女の作品に衝撃を受けて。ドローイングは見たことがあって気になっていましたが、ペインティングを目の当たりにしたときに、購入せざるを得なかったのです。
F:描かれているのはワニですかね。作品のポイントを教えてください。
山本:一見すると可愛らしい印象ですが、厚くペイントされたキャンパスの奥が、ある意味では冷徹なくらい美しいグラデーションに彩られている。表面ではわからない裏側の部分というか、彼女の頭の中ってどうなっているんだろうと興味が湧いて、惹きつけられるものがあるんですよね。あとここに刻まれている英字"KIND ANGER EASY TO BE HURT"が、「傷ついて怒りやすいから優しくしてね」といった意味で、この家にも通じるような感じがしてぴったりだなと。
F:なるほど。絵の前に小さなワニの置物を飾っているのも可愛いです。
今井麗 ペインティング
山本:今年買ったペインティングはもう一点。壁に飾っている、今井麗さんの作品です。彼女には聴覚障害があるんですが、絵の中の静寂性にグッと来るものがあるんですよね。
F:描かれているのはハンバーガーのランプでしょうか。この家にいくつか置いてあるアンティークのハンバーガーグッズともシンクロしています。どういった出会いだったのでしょう。
山本:自身の所属するLAのギャラリーのインスタに「アンダーカバー」のハンバーガーランプが写っているのに「かわいい」って彼女がコメントしていたのを見かけて。ちょうど同じものを持っていたんですが、サマリーポケットに預けっぱなしなのを思い出したんです。あ、これは彼女にギフトしようと。そうしたら、彼女の「ギャザリング」というシリーズのキャラクターに加えたいとすごく喜んでくださって。これも何かのご縁だし、ハンバーガーランプが出てくる絵がほしいですとお願いして購入したものなんです。
F:ということは、山本さんが持っていたランプが絵になって戻ってきたんですね!この作品の魅力は?
山本:まるでおもちゃたちに命が吹き込まれたトイストーリーの世界観のような、今にも動き出しそうな描写。それがピタリと止まっていることで、静寂さが際立っているところですね。ちなみに麗さんのパートナーは西村有さんというアーティストで、2人とも僕と同い年です。彼の個展を見に行ったことがありますが、有さんの作品もまた素敵なんですよ。自分と同世代のアーティストたちが活躍してることがすごく嬉しいし、素晴らしい才能と出会えて自分も頑張らねばと刺激をもらっています。
F:山本さんは美術館やギャラリーの展覧会などによく足を運んでいますよね。年間でどのくらい行かれるんですか?
山本:例年であれば100ヶ所程度かな。今年はコロナの影響があったのでなかなか難しかったんですが、それでも50ヶ所くらいは行ったかと思います。
F:これからは「見る」から「買う」になりそう?
山本:もちろん所有してこそ感じられることがあるのも少しは分かりますが、容易に買うことはないですね。出会った作品とのシンクロニシティの強さや、その空間で感じたことや気持ちの証として手元に置いているところがあるので。展覧会に行って見る方が、僕は好きです。
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