2018年10月から始まったFashionTechNews、今年で2年を迎えました。今年はコロナ禍が様々な分野に大きな影響を及ぼした1年でしたが、それはファッション業界も同様でした。そんな2020年のファッションテックのムーブメントを、FashionTechNews編集部が今年配信した記事から振り返ります。
2020年、注目記事ランキングは?
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1位 海外で大人気のコスメ専用冷蔵庫が日本上陸!コスメをより丁寧に楽しめる必需品
海外で大人気のコスメ専用冷蔵庫が日本上陸!コスメをより丁寧に楽しめる必需品「PINKTOP」
2020年、最もアクセス数の多かったのがコスメ専用冷蔵庫の話題。新型コロナウイルス感染症の影響もあってか、オンライン会議でも人目に触れる「顔」のメイクや美容は関心の高いトピックだったようです。
コスメや美容に関する話題は根強い人気があり、「ビューティーテック」と総称出来そうなほど多岐にわたっています。今年は特に、コロナ禍で店舗で直接試すことができない状況下で、ARでバーチャル試着できるネイルやアイブローに特化したAIシュミレーター、さらには自撮りするだけのメイクカウンセリングまでバラエティに富んだバーチャルサービスが登場しました。
さらに、データマーケティングを活用たメイク業界のEC化の研究開発の話題など、ビューティーテックの分野ではファッション業界全体で価値ある知見と技術が蓄積されています。来年も引き続き、ビューティーテックの動向もチェックしていきたいと思います!
2位 【特集】今こそ考えたい、ファッションのこと、ファッションとテクノロジーのこと
【特集】今こそ考えたい、ファッションのこと、ファッションとテクノロジーのこと
今年、世界中の不安や関心を集めるトピックだったのは、やはり新型コロナウイルス感染症にまつわるものでした。ファッション業界も例外ではなく、商業施設の閉鎖や外出着への需要の減少といった状況を生き抜く力が試され、また「ファッション」の価値やあり方を考えさせられる1年になったかと思います。
FashionTechNewsでは、特集という形で業界潮流やコラムを発信し、新型コロナウイルス感染症とファッションテックについて考えてきました。「ファッションが楽しかったのはなぜか?」を再考した佐藤亜都さんのコラムをはじめ、Synfluxによるこれからを生き抜くファッション・システムについて事例とともに論じたコラム、そしてバーチャル化とファッションについて軍地彩弓さんにインタビューも掲載しました。そのほかにも様々な事例の紹介や、コラムを多岐にわたる領域の方々から執筆いただき、コロナ禍の状況を記録として残しています。
コロナ禍における不安はまだまだ拭きれないのが現状ですが、ファッション業界におけるデジタル化を劇的に推し進めたという現実も一方ではあります。FashionTechNewsでは、今後も「ファッション」というものを考え続け、ファッションテックの可能性を皆様と考えていきたいと思っています。
3位 ソールテクノロジーの常識を変える、NIKE厚底ランニングシューズの歴史
ソールテクノロジーの常識を変える、NIKE厚底ランニングシューズの歴史
3位は、ランナーの走りを快適にするテックである厚底ランニングシューズの話題でした。スニーカーはコスメに続き関心の高いトピックで、「スニーカーテック」と呼びたいほど様々なプロダクト、サービスが登場し、大きな潮流を作っています。
スポーツとの関連では、Jacquard by Googleの機能を備えたインソールadidas GMRが注目のプロダクトです。これは現実空間でのスポーツとゲームの世界を接続するもので、eスポーツへの間口も広げるような試みでした。他にもランニング習慣を支えるスマートシューズORPHE TRACKがASICSと提携するなど、高機能スニーカーの一般化が進んでいきそうです。
他にもスニーカーヘッズのためのゲームアプリが登場するなど、スニーカーとテクノロジーの親和性の高さが感じられました。
その他にも、注目のトピック
マーケティング特化型のサービス
女子高生による女子高生のためのレンタルサービス、Z世代「Nadie」の挑戦(前編)
その他にも、女子高生起業家によるレンタルサービスが上位に。2020年の予測でもファッションシェアの盛り上がりを予想していましたが、それ以上にこのサービスは、女子高生の好みをマーケティング情報として企業に情報提供をするというシステムを構築していたのが画期的でした。
データソリューションを活用する「HARAJU Cross JMC_est」から実店舗の新しい価値を考える
実店舗においてもデータを活用・分析することに特化した実験的な店舗が登場。店舗はデータをとるためのマーケティング特化型にしていくことが今後鍵となるかもしれません。
中国のECサービス
中国のフリマアプリ2大巨頭「Idle fish」と「Zhuan Zhuan」の違いとは?
中国のフリマアプリの記事もたくさん読まれていました。C2Cビジネスにおいて信用問題の解決が非常に重要になってきており、鑑定サービスや安心感が成功の秘訣なようです。
あのブランドはなぜ消えた?「O2O(ECと実店舗の融合)」戦略が中国アパレル市場の勝敗を分ける
さらに、前項でも少し触れたように、ECと実店舗を融合するOMO戦略に力を入れている企業が当たり前になってきているという中国。今後の事例も見逃せません。
DX化の加速
ファッション業界はDX化に対応できるのか?バーチャルアパレルの可能性とは?
デジタル化、いわゆるDX化は、今年注目されたワードのひとつ。ファッション業界においても生産の現場から小売り、さらに消費者体験までDX化が急速に進んだ印象です。
【特集】リモートでファッション展示会が開催できる「REMOTEN」:ビデオ通話での商談も可能(前編)
他にもリモートでのファッション展示会など、様々な工夫も見られました。
バーチャル空間の活用
NOOK STREET MARKET:「あつまれ どうぶつの森」のもたらす共感コミュニティ
また、自宅でゲームを楽しむ人が多かったのも印象的です。あつ森ではユーザーが服をデザインしたり、有名ブランドが参入して、バーチャル空間でファッションを楽しむことが出来るようになりましたね。着せ替えアプリ『ポケコロ』ではKEITA MARUYAMAとのコラボレーションが話題でした。
名建築でファッションを:Matterportで可能になる新しいファッションプレゼンテーション(前編)
別の視点としては、実空間を3Dでスキャンしファッションプレゼンテーションを行うという試みもありました。リアルな名建築の空間とファッションを融合させたこの試みは、現在多くのファッションブランドの展示会等ともコラボレーションしており、さらなる活用が期待されます。
2020年を振り返って
目に見えない不安に包まれていた2020年、最も重要だと感じたことは「変化に対する柔軟な受け入れ姿勢」だったと思います。
ファッションテックという言葉が浸透し始めたことを実感した2019年に比べ、今年はそれが当たり前のものとなり始め、さらにファッション業界はそれを急激に推進することが求められる状況が続きました。
そんな中で根本的な「ファッション」とは何か?という問題にも直面した1年だったと思います。ファッションテックは生産者と消費者の双方に役立つ技術として、私たちを助けてくれるツールです。今後もファッションテックという思想と実践について、FashionTechNewsは様々な情報や企画をお届けしていきます。
2020年、FashionTechNewsをご愛読頂き、ありがとうございました。2021年は1月4日より配信します。
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