自粛ムードが漂い派手なイベントが少ないまま過ぎ去ろうとしていた2020年。その最後に、儚さ故に一生記憶に刻まれる最高の作品を見た。名付けて「氷と炎の建築」。作ったのは石上純也。来年から本格スタートするHokuto Art Programでのことだ。燃え続ける巨大な氷の前でCharaさんが、音を拾って音楽を奏で、高村月さんが舞った。
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Hokuto Art Program vol.0 etched there was a beautiful moment even in the year 2020 into my mind. The "architecture of ice and fire flame" by Junya Ishigami; although it stood there only for a few hours, it would be in my mind for as long as it it lasts.
バチバチと燃え盛る炎の中。時折り一際大きな音を建てて真ん中から崩れ落ちる建築。実はこれは偶然ではなく、ちゃんと何度も検証を重ね、空気の通る穴の大きさを調整し崩壊をデザインした結果と聞き、石上純也の凄さを再認識した。今年、いや、ここ数年でも、もっとも衝撃的な体験。着火からすべてが朽ち果てるまでじっと見守っていたかった…
Hokuto Art Programは、ギュスターブ・エッフェルや安藤忠雄、谷口吉郎・吉生親子、藤森照信、杉本博司+新素材研究所らの建築に、ジョルジュ・ルオー、東山魁夷や梅原龍三郎、岸田劉生、バーナード・リーチ、中川一政、また白樺派、梅原龍三郎、そして杉本らの作品が並ぶ清春芸術村を中心会場にしたアートイベント。今回はその準備イベントにアート界隈の限られた人々が招待された。
他の会場として、山林に突如現れる異形の北川原温建築、中村キース・ヘリング美術館(製薬会社にいた中村和夫が集めたキース・ヘリング作品300点が展示されている)、水に反射する能楽堂に東京ドーム2つ分の広さを持つ身曾岐神社(みそぎじんじや)なども参画。ちなみに身曾岐神社能楽堂に描かれた「老松」は文化勲章受章者の故守屋多々志(ただし)画伯が描いた、空から降りてきた根のない老松だそうだ。今回はこれら3会場を感染症対策を施した2台のチャーターバスで巡る形での開催になった。
普段は白樺派の展示がメインの清春白樺美術館には脇田玲のデジタル作品が並び、安藤忠雄が「自然光だけの美術館を作りたい」と作った「光の美術館」は、建物そのものが真鍋大度(ライゾマティクスリサーチ)による"Critical line"という音と光の作品になっていた。時折、発せられる強い音と光は、ソフトウェアや人間のオペレーションでは作り出せないものを目指し、分散培養細胞の神経活動データを元にしたという。
いずれも、いつまでも見ていたくなる作品。しかし、イベントは一晩限り。でも、いつでもいくらでもみられる作品が溢れた現代。一夜で消える儚い作品の方が、鮮烈な閃光を記憶に刻むと学んだ。
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