10月24日の日経新聞にブルックスブラザーズ、バーニーズニューヨーク、フォーエバー21など、経営破綻をした著名アパレルを次々に買収して、成長しているオーセンティックブランズグループ(ABG)の創業者のインタビュー記事が掲載されており、興味深く読ませていただきました。
記事に掲載されていた、同社がこれまで買収したブランドを挙げると
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プリンス(2012)、ジューシークチュール(2013)、ジョーンズニューヨーク(2015)エアロポステール(2016)ノーティカ、ナインウエスト(2018)バーニーズニューヨーク(2019)、フォーエバー21、ラッキーブランド、ブルックスブラザーズ(2020)など
サイトを見ると、同社が現在抱えるブランドは計50ブランドあるようで、上記以外に日本でもおなじみなのは、AIR WALK、VISON、VOLCOMあたりでしょうか。
傘下企業の年商は1兆円を超える、米国最大級の投資ファンド、ブラックロックらに支えられたファッションビジネス専門の投資ファンドです。
https://www.authenticbrandsgroup.com/
創業者でCEOのジェイミー・ソルター氏はカナダ出身で、マーケティング畑に強く、スノーボードブランドのRIDEの創業者の一人、その後、スポーツ系ブランドのベンチャー向け投資会社に携わり、2010年ABG社の創業に至った人物(Wikipediaより)
同社は、国際的な知名度を持ったブランドで、ブランド力のなさ、商品力の弱さでもない、負債などの財務上の問題で破綻したブランドを買収し、再生することを生業として、
主に、不採算店を閉め、リブランディング(若返りなど)を行い、更に、知名度を利用したライセンススキーム(ブランド使用権のライセンス収入)を行う、など、これまで構築して来た「ブランドの価値」を最大限に活かすことを得意としているようです。
アメリカはとかくチャンスとあれば、ビジネス拡大し、更に、経営者が代われば、気がつけば企業肥大、オーバーストア、なんて話がたくさんありますね。
特に小売業は万国共通で、採算や人材育成のスピードを度返しした、ダボハゼ的な過剰出店が自滅的経営破綻にいたるのが破綻の最大の要因です。
昨今も、アマゾンエフェクトによるショッピングのオンラインシフトやコロナショックはあくまでも、弾き金であって、多くの米国小売チェーンの経営破綻の本当の理由は・・・販売効率の悪い店の過剰出店投資と資金ショートだと思っています。
そうなってしまったら、仕方ないので、まずは資金繰りに切りをつけて、リストラして、身軽にし、リブランディングできれば良し、できない場合はライセンスブランドとして生き残る。
もっとも、ライセンスしか選択肢がなくなったブランドは、最もお金になる量販系にライセンスされることが多いと思いますが・・・
これから世界的に拡大の余地があるアパレル市場は、人口動態からしても、低価格マーケットですから・・・破綻した、かの著名ブランドの知名度も最終的には量販系マーケットでの需要に活かされることになるというわけですね。
経済が右肩上がりの成長期はブランドの立ち上げラッシュ、
一方、マーケットも成熟期に入れば、破綻のままでは、もったいない、各ブランドのライフサイクルの最後にライセンスという出口を用意する必要が出てくるということですね。
一旦役目を終えたブランドも知名度さえあれば、ライセンスブランドとして再利用というエコシステムがあってもよい。
ABG社の記事を読んでいて、これからの時代、そんなブランド再生のありかたをビジネスにする企業の必要性も感じたものでした。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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