楽天とオンラインを介したファッションビジネスの親和性 -doublet 2021SS-
doublet 2021SS COLLECTION
Image by: Ⓒdoublet
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楽天とオンラインを介したファッションビジネスの親和性 -doublet 2021SS-
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新型コロナウイルス感染症の影響で、2021年春夏シーズンもオンラインを活用したビジネスが重要になっている。
10月12日に開幕したファッションイベント「楽天ファッション・ウィーク東京」も、参加ブランドの3割弱がリアルでのファッションショーを実施するが、無観客や来場者を大幅に制限してショーを行う予定だ。残りの7割強はオンラインでの映像配信やインスタレーションの様子を発信するなど、今季もデザイナーの模索が続く。また、ファッション・ウィークの影響力を高めながら、且つ話題性を提供する意味で、楽天が実施する新規プロジェクト「バイアール(by R)」に注目したい。同プロジェクトは、国内デザイナーにおける活躍の場を広げ、日本発のデザイナーズブランドを世界に発信することを目的としている。企画・実行を楽天が支援するほか、運営するファッション通販サイト「楽天ファッション」で、ショーを配信する。今回はパリでショーを実施している「ダブレット(doublet)」「ファセッタズム(FACETASM)」のファッションショー開催を支援。12日夜には「ダブレット」のショーを配信し、ファッション関係者に限らず、多くの一般消費者も視聴した。
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オンラインを介したファッションビジネスは、楽天との親和性が極めて高い。通販サイト「楽天ファッション」のブランドショップは1200を超え、ファッション通販の最大手である「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」に迫る勢いで拡大している。ショーと通販サイト、一般消費者を巻き込んだ「by R」でゾゾタウンとの違いを明確に示し、ビジネス機会の創出、売上拡大を狙う。
ここ数年で人気が急上昇し、高い消化率を達成している「ダブレット」は、自前で取引先アカウントを管理し、パリコレでも評価を高めている東京では数少ないブランドだ。外部セールスを使って売り場開拓することもなく、井野将之デザイナーの目の届く範囲で国内外の取引先を広げている。また、桐生や尾州、播州など国内産地でオリジナル素材を製作し、国内で縫製しているブランドでもある。取引量が増えれば、産地にも恩恵が広がる。楽天との協業でビジネスが拡大することも考えられるが、ダブレットのビジネスがEC強化を含めた第2フェーズに入るのか、その点も注視したい。
ユニークでポジティブな発表スタイルが特徴の「ダブレット」だが、欧州では「芸術性」「哲学」という解釈でブランドが語られることもある。一般消費者にはユニークで高感度なストリート派生のブランド、欧州バイヤーには"芸術性が高い"という別の評価があることも面白い。井野デザイナーには強烈なオリジナリティーが存在し、その着想源は意外にも一般消費者に近い所にある。消費社会の限りない欲望や人間の多様性を「ダブレット」のショーを観て感じたこともあり、発想は現代アートの世界に近いのではないか。展示会の空間表現やSNSの映像、主要取引先である欧州、アジアのコンセプトショップ「ドーバーストリートマーケット(DOVER STREET MARKET)」の売り場を見ても、従来の東京デザイナーとは異なる印象で、国内メンズブランドで主流だった“アウトロー”なイメージもない。以前のインタビューで「僕はたいしたことはできませんよ」と語っていたが、楽天は期待しているに違いない。
【市川重人の東コレポスト】
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