■ネット通販最大手のアマゾンが開発した食品スーパー「アマゾン・フレッシュ」がロサンゼルス郊外のロングビーチ地区にもオープンすることがわかった。
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早ければ今年12月から宅配やカーブサイド・ピックアップのネットスーパーにスーパーマーケットとしても営業を開始する。
アマゾン・フレッシュの出店先(6235 E Spring St, Long Beach, CA 90808)はワシントン州から進出してきたヘイゲン・フード&ファーマシーだったところ。
ヘイゲンはカリフォルニア州に進出前、ワシントン州とオレゴン州に18店舗を展開するローカルスーパーだった。
セーフウェイとアルバートソンズが2014年に合併したことで、当局から一部店舗を手放すよう指示され、ヘイゲンが買収に名乗りを上げたのだ。
買収から店舗改装をすすめヘイゲンは2015年3月、5州で160店舗を展開する食品スーパーになったのだ。
一方、高価格が原因で客離れが深刻化、改装完了から1ヶ月もしないうちにパートタイマーのレイオフや正従業員の労働時間の短縮を始めた。
同年8月には2度目のリストラを行った後、27店舗の閉鎖を発表。翌月には連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を申請し倒産した。
ヘイゲンはカリフォルニア州の68店を含め5州に展開する100店舗以上を即座に閉鎖し、スマート&ファイナルやアルバートソンズ、ゲルソンズ等に店舗売却した。
ヘイゲンのスピード盛衰はスーパーマーケットの歴史に残るほどのイベントになったのだ。
アマゾン・フレッシュは5年前から手つかずになっていたヘイゲンの跡地(ヘイゲンの前はアルバートソンズ、さらにその前はラッキー)に出店するのだ。
なぜ5年間も放置されていたかというとスーパーマーケットの激戦区だからだ。
アマゾン・フレッシュ・ロングビーチ店は道を挟んだとなりにロサンゼルスの老舗スーパーのステーターブラザースがある。1936年創業のステーターブラザースは南カリフォルニアに170店以上を展開する典型的なローカルスーパーであり、古くからロイヤリティの高い顧客をもっている。
また道を挟んだ斜め前には激安スーパーのグローサリー・アウトレットもある。
1946年創業のグローサリー・アウトレットのビジネスモデルはナショナルブランドの賞味期限が近づいてきた商品やパッケージ変更を行なった商品、過剰生産だった商品などのクローズアウト品をサプライヤーから超低価格で買取り、消費者に40~70%オフの価格で販売するというもの。食品スーパーのオフプライサーでバーゲンハンターをターゲットにした業態でもある。
アマゾン・フレッシュから車で2~3分の距離にはボンズのパビリオンがあり、5分程度の距離にもクローガー系列で老舗スーパーのラルフスがある。
車で7分圏内にはボンズやスプラウツ・ファーマーズ・マーケット、トレーダージョーズ、レイジー・エーカーズ、ウォルマートもある。
2年前に365でオープンしたホールフーズもある。さらに足を伸ばすと富裕層をターゲットにした食品スーパーのゲルソンズもあり、リモデルして1年前に新装オープンしたホールフーズもあるのだ。
ロングビーチでは古い一軒家が占める住宅地に、古くから馴染みの深いスーパーや激安スーパーがあるのだ。先月17日にオープンしたアマゾン・フレッシュ1号店とは客層が異なる。
アマゾン・フレッシュ・ウッドランドヒルズ店の周辺はアパートメントやコンドミニアムが占めている。1号店の隣には建設中となっているラグジュアリー・アパートメントもある。若い客層によりスーパーマーケット先にそれほどこだわりをもっていない。
つまりアマゾン・フレッシュ・ロングビーチ店はあえてリスクを冒して出店する場所でもあるのだ。見方を変えればネットスーパーに力点を置いたアマゾン・フレッシュのストレステストにもなる。
5年間空洞になっていた場所にアマゾンの食品スーパーが入ることでさらなるスーパー激戦区となるのだ。
トップ画像:アマゾン・フレッシュ・ウッドランドヒルズ店。1号店の隣には建設中となっているラグジュアリー・アパートメントも見える。若い客層によりスーパーマーケット先にそれほどこだわりをもっていない。明らかになったアマゾン・フレッシュ・ロングビーチ店の周辺は古い一軒家が占める住宅地に古くから馴染みの深いスーパーや激安スーパーがあるのだ。
ワシントン州から進出してきたヘイゲン・フード&ファーマシーのロングビーチ店。ヘイゲンの前はアルバートソンズがあった。さらにその前はラッキーだった。ヘイゲンはスピード出店しスピード破綻し、スピード撤退したスーパーマーケットの黒歴史となっている。この後、この場所は5年間も手つかずとなる。
アマゾン・フレッシュ・ロングビーチ店(6235 E Spring St, Long Beach, CA 90808)の出店先は5年間、空洞だった。なぜ5年間も放置されていたかというとスーパーマーケット激戦区だからだ。アマゾン・フレッシュ・ロングビーチ店の隣にロサンゼルスの老舗スーパーのステーターブラザースがあり、激安スーパーのグローサリー・アウトレットもある。2~3分の距離にはボンズのパビリオンもある。スーパーとして強みとなる武器がなければおいそれと出店できないのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。日本の食品スーパーマーケット関係者にとって、アマゾン・フレッシュは訪れてみたいナンバーワンの視察先だと思います。コロナ明けには間違いなくアマゾン・フレッシュは視察先のメッカとなります。ただ1号店のウッドランドヒルズ店はロサンゼルス空港から遠いのが難点です。ロサンゼルス・ダウンタウンからも若干距離があります。エントリー記事にあるように最近、出店が明らかになったアマゾン・フレッシュ・ロングビーチ店はロサンゼルス国際空港やLAダウンタウン、ディズニーランドからも車で30分弱の距離。しかもアマゾン・フレッシュから10分圏内となる近隣には視察すべき食品スーパーが目白押しです。視察先としてはアクセスが抜群なんですね。流通ビジネスマンに関わらず一般の人もアマゾンの食品スーパーやハイテクのダッシュカートに興味があるはずですから観光地になります。しかもアマゾンは店内撮影に極めて寛大なので日本からの観光客、メディア関係者にも喜ばれます。
アマゾン・フレッシュ・ロングビーチ店は旅行社のパンフレットに掲載されるだけでなく、日本からの修学旅行ツアー日程(ディスニーランドに行った後とか)にも組み込まれますね。
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