■ネット通販最大手のアマゾンは29日、手のひらをかざした生体認証(バイオメトリクス認証)で決済できるデバイスを発表した。
ADVERTISING
コンタクトフリーでストレスフリーな人の手のひらとクレジットカードを紐付けた決済デバイスを同社のリアル店舗に展開するだけでなく、小売以外の事業者にも販売もしくはリース等での展開をしていく。
アマゾンが開発した手のひら認証の「アマゾン・ワン(Amazon One)」は、手のひらをかざすことで決済を終えるというもの。
使い方はアマゾン・ワンにクレジットカードを挿入し、スキャナーとなる丸い部分に手のひらを非接触でかざす。
アマゾン・ワンのコンピュータービジョンがが手の形や手相等を読み込み、クレジットカードと紐付ける。
この後はクレジットカードが不要でアマゾン・ワンに手のひらをかざすだけで、クレジットカード払いが可能となるのだ。アマゾン・アカウントは必要ない。
アマゾン・ワンはスマートフォンの電話番号が必要になることでレシートはショートメッセージに送信されるようだ。
アマゾン・ワンは複数のセキュリティコントロールを行っており、また手相等のイメージを保存せず、暗号化してクラウド上で処理しているため、プライバシーにも配慮しているという。生体認証自体の削除も可能となっている。
アマゾンではシアトル市内にある、レジなしコンビニエンスストア「アマゾンゴー(Amazon Go)」1号店とアマゾンのメインキャンパスがあるサウス・レイク・ユニオンにあるアマゾンゴー3号店にもアマゾン・ワンを導入する。
キャッシャーフリーとも呼ばれるアマゾンゴーはスマートフォンにダウンロードした専用アプリのQRコードで入店する。
チェックインするとゲートが開いて入店できるのだ。あとは購入したい商品を手に取り店を出ていくだけの「ジャスト・ウォーク・アウト(Just Walk Out)」だ。
入店と同時に天井に設置されたカメラやセンサーによって利用者の行動が追跡される。棚にも重量センサーが装備され、商品を手に取る行動もトラッキングするようにもなっている。
店から持ち出した商品は利用者のアマゾン・アカウントにあるクレジットカードに自動的に課金される。カメラやセンサーで得たデータから商品の動きを把握し、人工知能(AI)のディープラーニングを駆使して正確に決済する。
なお今月初めに2号店もオープンしたアマゾンゴー・グローサリーも通常のアマゾン・ゴー・アプリでの入店となる。
アマゾンワンを利用することによってアマゾンゴーではスマートフォンを取り出す必要もない。手のひらをかざすとゲートがオープンするのだ。
アマゾン・ワンはアマゾンゴーのジャストウォークアウト技術に順次拡大する予定だ。いまのところアマゾンはホールフーズ・マーケットへの拡大を言及していない。
一方で、アマゾン・ワンはリアル店舗を展開している小売企業へのライセンス提供からスタジアムやオフィスビルなどへの展開も考えている。
アマゾンは今年3月、アマゾンゴーのレジなし技術について北米の空港で350ヶ所以上のレストランやコンビニエンスストアを展開するホスピタリティグループOTGと契約したことを明らかにしている。
広く浸透している生体認証はアメリカにはまだない。アマゾンゴーから徐々にアマゾン・ワンを一般化させていくのだろう。
トップ画像:アマゾンゴーに導入された「手のひら」生体認証の「アマゾン・ワン(Amazon One)」。スマートフォンを取り出してアプリを起動せずとも手のひらをかざすことで入店、決済まで可能だ。
アマゾン・ワンのデバイス。使い方はアマゾン・ワンにクレジットカードを挿入し、スキャナーとなる丸い部分に手のひらを非接触でかざす。アマゾン・ワンのコンピュータービジョンがが手の形や手相等を読み込み、クレジットカードと紐付ける。この後はクレジットカードが不要でアマゾン・ワンに手のひらをかざすだけで、クレジットカード払いが可能となる。
アマゾン・ワンのPRアニメ動画。アマゾン・ワンでコーヒーの購入やお店での支払いも手のひらででき、会社にはいるときにも社員証やセキュリティーカードが不要で手のひらをID認証して入ることができる。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。生体認証は一見、便利そうに見えるのですがどうしてもプライバシーの問題があるため受け入れられていません。広く浸透していないのです。バイオメトリクス認証は技術的な問題というより感情的なハードルが高いのですね。最前線となる生体認証デバイスはプライバシー問題を技術的にクリアし絶対に漏洩等の問題が起こらないとしても、それらを管理する企業やマネジメント側にヌケがあるのではと勘ぐってしまうのです。アマゾン・ワンを導入したアマゾンゴーでは買い物点数が少なく、購入額も少ないから使ってみたいとは思います。よほど頻繁に買い物するのでなければ、アップルペイやウォルマートペイ等でいいのではと思います。ただしこれは後藤が昭和生まれであることに起因しているかもしれません。リスク管理に甘い企業をニュース等で見てきているからです。平成や令和生まれは生体認証による支払いに抵抗感が徐々になくなると思います。
で、日本の5年~10年後の未来では「さ~て、来週のサザエさんは?カツオです。今日、アマゾンゴーでタマの肉球を生体認証してきました(笑)。さて次回は『波平、ゲートに怒鳴る』『マスオ、カスハラで捕まる』『いささか先生、アマゾンと和解』の3本です」とのエンディングです。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
イケアが四国エリアに初出店 香川県にポップアップストアをオープン