■チェックアウトフリー技術を開発するスタートアップのグラバンゴー(Grabango)は1日、ペンシルバニア州ピッツバーグ郊外のコンビニエンスストアにアマゾンゴーのジャストウォークアウト(JWO:Just Walk Out)より進化したITを導入したことを発表した。
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グラバンゴーと提携しレジなしIT技術を既存の店に導入したのは、ペンシルベニア州など5州に食品スーパー等470店以上を展開するジャイアント・イーグル。
ジャイアント・イーグルの傘下でピッツバーグ郊外のオハラ・タウンシップ地区にあるコンビニエンスストア「ゲットゴー・カフェ&マーケット(GetGo Cafe + Market)」(1081 Freeport Rd, Pittsburgh, PA 15238)にアマゾンゴー・キラーともいえるチェックアウトフリー技術が導入されたのだ。
キャッシャーフリーのアマゾンゴーはスマートフォンにダウンロードした専用アプリのQRコードで入店する。チェックインするとゲートが開いて入店できるのだ。あとは購入したい商品を手に取り店を出ていくだけのJWOとなっている。
入店と同時に天井に設置されたカメラやセンサーによって利用者の行動が追跡される。棚にも重量センサーが装備され、商品を手に取る行動もトラッキングするようにもなっている。店から持ち出した商品は利用者のアマゾン・アカウントにあるクレジットカードに自動的に課金される。
カメラやセンサーで得たデータから商品の動きを把握し、人工知能(AI)のディープラーニングを駆使して正確に決済する。
3,000平方フィート(約80坪)のゲットゴー・カフェ&マーケットに導入されたチェックアウトフリー技術は、アマゾンゴーにある改札口のようなゲートはない。
利用者はグラバンゴーのアプリをダウンロードし、ジャイアント・イーグルのロイヤリティカード「ジャイアント・イーグル・アドバンテージ・カード(Giant Eagle Advantage Card)」やクレジットカード等の情報を入力しておく。
あとはお店にそのまま入って購入したい商品をピックアップするだけだ。アマゾンゴーのようにゲートでQRコードをスキャンしてチェックインをする必要がない。
一方、グラバンゴーでは店を出る直前にレジ近くにあるスキャナーでアプリのQRコードをスキャンする。そのまま店をでるとレシートが送られてくる仕組みとなっている。
グラバンゴーによると、ゲットゴー・カフェ&マーケットのチェックアウトフリー技術でもカメラやセンサーを店内に設置し、顔認証は使わずコンピュータービジョンやディープラーニングで利用者の動きをトラッキングしている。
グラバンゴーでは売り場の天井にカメラやセンサーなどを設置するのだが、店を閉店する必要なくチェックアウトフリー技術を導入できるとしているのだ。またトラッキング精度は99%に上っているという。
ジャイアント・イーグルでは来年の初めまでにグラバンゴーのチェックアウトフリー技術を10万平方フィート(2,800坪)の食品スーパーにも導入するのだ。その後は400ヶ所以上の全店にも拡大するとしている。
アマゾンゴーは空港のショップに導入されている事例もあるものの、ブラバンゴーのようなアマゾンゴーキラー技術は今後、コンビニ等の競合店に拡大していくことが予想されているのだ。
トップ画像:ピッツバーグ郊外オハラ・タウンシップ地区にあるコンビニエンスストア「ゲットゴー・カフェ&マーケット(GetGo Cafe + Market)」に導入されたチェックアウトフリー技術は、アマゾンゴーのようにゲートでQRコードをスキャンしてチェックインをする必要がない。グラバンゴーでは商品をピックしてお店を出る直前にレジ近くにあるスキャナーでアプリのQRコードをスキャンする仕組みだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。アマゾンゴーより、いかにコストを抑えるかがチェックアウトフリーITのポイントになります。グラバンゴーの技術では、天井に取り付けられるカメラやセンサーの数が飛躍的に少なくなっているのでしょう。「大掛かりな工事を必要としない」ということですから什器に付けられる重量センサーなどはどうなるのかも気になります。驚くのはグラバンゴー技術導入の2号店目は約3,000坪の食品スーパーに導入するということ。仮にそれが可能であってもアマゾンゴーのような技術を買い上げ点数の多いスーパーマーケットの買い物に導入するのはいかがなものかと思います。なぜならばアマゾンゴー・グローサリーでも指摘しましたが、何をいくらで購入し、総額はいくらになったのか等、買い物途中のリアルタイムでわからないことです。もやもやが残るということ。さらに食品スーパーでは生鮮品も扱い、量り売りもあります。リンゴなどの果物では品種の違いをどう見分けるのかも課題です。
グラバンゴーに刺激を受けたスタートアップも大手チェーンと組み、超低コストのアマゾンゴー・キラー技術が生まれそうです。
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