感傷に浸ることなく、自身のクリエイションを全うした「タエ アシダ」

TAE ASHIDA 2019-20年秋冬コレクション
Image by: TAE ASHIDA
2019.03.23 Sat. - 19:43 JST

TAE ASHIDA 2019-20年秋冬コレクション
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感傷に浸ることなく、自身のクリエイションを全うした「タエ アシダ」

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2019.03.23 Sat. - 19:43 JST

今季の「アマゾン ファッション ウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」で最も気になっていたのは、芦田多恵「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」デザイナーの発表スタンスだった。昨年10月に父親の芦田淳氏が88歳で死去し、現在は、日本におけるプレタポルテ先駆者の看板ブランド「ジュン アシダ」のクリエイションも担っている。芦田淳氏は1966年から約10年間、皇太子妃だった美智子さまの専任デザイナーを務めた経験もあり、コンサバティブで品の良いデザインを得意としていた。こうした自身の責任感が増すことで、20日に作品を発表する「タエ アシダ」にも何らかの変化があるのではと、勝手に推測していた。


結果から先に言うと、表立った変化は感じられず、シャープな異素材レイヤードで完成度の高いアイテムを打ち出した。クラシックな幾何学柄を採用したロングドレスをはじめ、シースルーのブラウス、チェスターコートとガウンを融合させたようなアウターで、程よい緊張感を与えるコレクションが並ぶ。高貴なパープルをカジュアルに表現するルックなど、遊び心を取り入れたメンズウェアも特徴だ。デニムパンツやパーカ、ショート丈のダウンジャケットを織り交ぜ、若年層を開拓するような商品もある。メンズウェアは実験的に見えるが、ファブリックの多様性やラグジュアリーなスタイリングを展開し、東京では競合するブランドが少ない印象を受けた。プレタで培った高等テクニックをメンズに落とし込んでいる。これには素直に驚いた。

ショー前には「芦田淳氏へのオマージュ」といった妄想を抱いていたが、それは杞憂に終わった。潔く自らのクリエイションをアップデートし、ブランドを次のステージへ導こうとしている。「ミス アシダ」時代を含め、1991年から東京コレクションを継続している安定感のあるブランドだが、今季は新たな一面を見ることができた。ただ、ショー会場となった東京・六本木のグランドハイアット東京は、芦田淳氏も使用していた場所でもある。私を含め、感傷的になった来場者もいたようだ。
【市川重人の東コレポスト】
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