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モードノオト2019.03.20

NEGLECT ADULT PATiENTS 2019-20年秋冬コレクション

2019.03.21 Thu. - 12:14 JST

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ファッションジャーナリスト
麥田俊一

 薄暗い隘路は千鳥足には堪える。それでもかろうじて少しく明るい通りに辿り着いた。道幅が広いと云っても、饐えた臭いが見た眼にも判る裏通りである。通りの反対側で、二人の少年が、廃業した雀荘のシャッターにもたれて辺りを睥睨している。こちらの様子を窺っていることは、その陰険な物腰に滲み出ていた。何をジロジロ見てる、と恫喝してやりたい衝動に駆られたが、それは自分からまたぞろ面倒をひとつ背負い込むような愚かなことだった。それでも尚、私はそうしたいと強く思った。しかし、実際には、その場を離れて二人から遠ざかった。次の曲がり角まで歩いたところで振り返り、肩越しに奴らを見た。二人ともまだシャッターにもたれたままで、少しも動いた気配がない。端より、私のことなど気にとめてなかったのかも知れない。重たい身体を引き摺りながら、私は最寄りの駅に向かった。

 「大人になりきれずに大人になってしまった後悔」を主題に据えたブランドに思いを寄せて呑んでいたら、うっかり、自分でもそれを地で行くところだった。「後悔」などとは疾うの昔に縁を切った今の私には「諦観」しか残っていない。だから、ヤンキーと絡み合う難を避けることが出来たのだ。先程見た「ネグレクトアダルトペイシャンツ」のショーを反芻していた。底が浅い仕掛け(演出)が緩慢に続くショーに、中途で興味が薄れてきた。だが、意外に虚実皮膜の間を衝こうとする作り手、渡辺淳之介の狙いを思い返すと(判官贔屓ではないけれど)稚拙ではあるものの、その心意気に少しく絆されたのである。

 今回のショーは、新作を身に付けたモデルが気怠そうに歩く姿を横から撮影した動画(事前に撮影した作り物)を舞台の背景に設えた巨大なモニターに映し出し、実際の舞台では、服をトルソーに着せ、それをモデルが手で押して登場すると云う趣向だった。舞台上の本物のモデルは、黒一色の所謂黒子的な役割を担っている。この場合、画面上(電子スクリーン)の服が偽物で、トルソーに着せた服が本物だとするのが定石だろうが、その逆を真とする、私のような臍曲がりも少なくないと思う。これは、メビウスの輪の持つ、裏を辿って行けば表になり、表を辿って行けば裏になる、と云った種類の誰にでも分かる、それなりの仕掛けの妙なのだ。仕掛けと称されるものには、遊びの要素は必要不可欠なものであるにしても、全篇、この遊びで間延びさせてしまった観が滲み出てしまったから、この程度の趣向を仕掛けと呼ぶほどのこともあるまい。

 『白鳥の湖』のバレエ音楽が会場に流れるや、剥き出しの巨大なトルソーが画面に大写しされ、恰もトルソーのピルエット(旋回)が演じられたのも束の間、客席に向かいお辞儀するスーツ姿の渡辺がゆっくりと回転する動画に擦り変わり終幕。本物の渡辺は、ピンクの下着だけの素っ裸で舞台裏より転げそうに飛び出してきてエピローグにオチを付けた。これも彼流儀の仕掛けの一つだろうし、これがやりたかったのだろうと邪推したくもなるような「下げ」だった。渡辺は、ただ告白したいだけかも知れない。或は、ただマゾヒストもどきに、話をまたぞろ言挙(ことあ)げして、我が身に突き立てた切っ先を自分の手で捩り回してみたいだけかも知れない。まぁ、愛すべきキャラクターの持ち主と云っておこう。嫌いではない。前回エンディングにて主役級の役割を演じたカップ麺のソース焼きソバは、今回はナポリタン(ウインナソーセージ付き)に取って代わられた。決まり切ったパターンを踏襲すると云うマンネリをも味方に付けてしまったようである。

 肝心の服については蛇足的になるが、体育ジャージー、オンブレチェックのネルシャツ、ミリタリーやスブニールジャケットなどのカジュアルな日常着が題材。異なる色柄を接ぎ合せたり、前後の仕様を逆にしたり、仕込んだジッパーで服の形を変えたり、服のパーツを着脱可能にしてみたり...こちらも、それなりの仕掛けを当て込んではみたものの、勿論、眼を疑う程の驚きはない。たとえば、発想の展開に事欠くのであれば、女の子がピノキの顔の上に跨って一言「さぁ、早く嘘を付きなさい」的なドスの効いた際どいギャグの一つや二つを織り交ぜてくれてもと勝手に思うのだが、これこそゲスな付けたり。
(文責 麥田俊一)

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