

■靴チェーンでかつて全米ナンバーワンだったペイレス・シューソースが全米にある店舗2,500ヶ所を閉鎖する。閉鎖される店舗数においてチェーンストア1社では史上最大級となるとみられているのだ。
アマゾンエフェクトによる大量閉鎖はこれだけにとどまらない。先週も大手チェーンストアによる店舗スクラップが次々に発表された。
ランジェリー大手のビクトリアズ・シークレットは今年、北米に展開する53店舗を閉鎖する。ビクトリアズ・シークレットはアメリカンイーグルのエアリー(Aerie)やサードラブ(ThirdLove)の競合に押され低迷が続いており、11月~1月期の既存店ベース(リアル店舗のみ)は7%の減少となった。
ビクトリアズ・シークレットは昨年30店舗を閉鎖。年間で平均15店舗をスクラップしていることからも53店舗の閉鎖が異例であることがわかる。
全米に860店を構えるデパートメントストアのJCペニーもアマゾンなどネット通販の攻勢にさらされさらなる店舗の縮小に追い込まれている。JCペニーは今年、本体のデパートメントストア18店舗にホーム&ファニチャーストアの9店舗をスクラップするのだ。
JCペニーの11月~1月期決算では店舗閉鎖により売上が10%減となった。純利益も約70%の減少。既存店ベースは6%減となっており、今のところ店舗圧縮しか打ち手がない状態なのだ。
業績不振が続くGAPも主力チェーンを向こう2年間で230店閉鎖する。230店舗のうち130店舗前後は年内に閉鎖するのだ。
また同社は好調な「オールドネイビー」を上場会社としてスピンオフ(独立)させ、GAPとその他の傘下ブランドの「アスレタ(ATHLETA)」や「バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)」などを擁する新たな上場会社を設立すると発表した。オールドネイビーの中心顧客やその戦略が他のブランドとかい離したことが理由だ。
一方で業績が良くても大量に店舗閉鎖するチェーンストアもある。スポーツ用品販売のフットロッカーの11月~1月期の既存店ベースは予想の2倍となる9.7%の増加だった。店舗改善への取り組みが成果を上げているのだが、同社は今年165店舗を閉鎖する。
調査会社のコアリサーチによると昨年はトータルで5,524店の店舗閉鎖の発表があった。今年は1月~2月だけで4,309店舗の閉鎖発表があり、昨年のペースを上回った大量閉鎖発表となっている。
アマゾンエフェクトによるモールの空洞化が問題となっているが、バッドクリスマスで大量閉鎖の発表が続くことが予想され、モール関係者は今年も頭を抱えることになる。
トップ画像:子供服チェーンのジンボリーは1月、2度目の破産法を申請した。再建のメドが立たないことで傘下の店舗を含め800店以上をスクラップする。調査会社のコアリサーチによると今年は1月~2月だけでジンボリーやペイレス・ショーソースなど4,309店舗の閉鎖発表となっている。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。史上最大級の大量閉鎖となったペイレス・シューソースですが、ニュースサイトによっては閉鎖店舗数が2,100店もしくは2,300店とばらつきがありました。先月18日の同社の発表では北米の約2,500店の閉鎖となっていました。カリフォルニア州だけでも260店舗のスクラップとなります。大量閉鎖を行うチェーンストアにはそれぞれの理由があります。が、基本はアマゾンエフェクトにより消費者の買い物の仕方が変化していることが挙げられます。表面となる売り場では知覚できない変化である「地殻変動」です。当ブログでは嫌というほど繰り返して書いていますが、オムニチャネル化が進んでいることで「お店(売り場)にお客が来て買い物をする」という、そもそもの前提が崩れていることによりアメリカではチェーンストア理論が陳腐化しています。その結果、現象としてチェーンストア・メルトダウンとなる大量閉店が起きているのです。
アメリカほどではないにしても、5年~10年遅れている日本でも同様な現象は起きます。いつも言っているように情報をアップデートしない情弱のままでは、史上最大級の大量閉鎖は避けられません。
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