

■フロリダ州オーランドにあるユニバーサル・オーランド・リゾートは30日、園内にあるテーマパーク内レストランでモバイルオーダー&ペイを始めたことを発表した。モバイルオーダー&ペイは事前注文・事前決済。ユニバーサル・オーランド・リゾートの公式アプリから料理を注文し、アプリ内に登録したクレジットカードやデビットカードから支払う仕組みとなっている。
スマートフォン・アプリ経由でメニュー注文することでレジ待ち行列を緩和する。また注文の聞き取りミスや勘違いによるヒューマンエラーを回避できるうえ、店内オペレーションの合理化も図れるメリットがある。
外食チェーン最大手のマクドナルドやコーヒーチェーン大手のスターバックス、2,000店以上を展開するチキン・サンドウィッチチェーンのチックフィレなど多くの外食チェーンが全店でモバイルオーダーを展開している。
フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのレストランでも昨年夏から導入し、カリフォルニアにあるディズニーランドリゾートのレストランもモバイルオーダーを今年から拡大した。最近では同園内のアドベンチャーランドにあるトロピカル・ジューススタンドのチキ・ジュースバーでもモバイルオーダーを開始しているのだ。
ユニバーサル・オーランド・リゾートではハロウィンからユニバーサル・スタジオ・フロリダ内のメルズ・ドライブインとリヒターズ・バーガーで開始した。もう一つのテーマパークであるアイランズ・オブ・アドベンチャーのカフェ4、キャプテン・アメリカ・ダイナー、バーガーディグスでも事前注文・事前決済を始めたのだ。
使い方はユニバーサル・オーランド・リゾート公式アプリを起動後、メインメニューにある「食べ物・飲み物の注文(Order Food and Drinks)」からレストランを選択する。メニューから注文したい料理を選んでカートに入れ、事前に登録しておいたクレジットカードでチェックアウトを行う。
レストランではアプリ画面に「注文を準備してください(Prepare My Order)」のボタンが表示されるので、ボタンをタップする。この時点でクレジットカードに料金がチャージされて調理が始まることになる。注文品の用意ができると通知がくるので「モバイル・エクスプレス・ピックアップ(Mobile Express Pick Up)」の表示が出ているエリアで料理を受け取るのだ。モバイルオーダーではレジに並ぶ必要がないため、食事しているテーブルからデザートなどの追加注文も可能だ。
モバイルオーダー&ペイを導入する外食チェーンは後を絶たないどころかファストフード店では標準サービスになりつつある。外食チェーン最大手のマクドナルドからスターバックス、ダンキンドーナツ、3大宅配ピザチェーン(ドミノピザ、ピザハット、パパジョンズ)、2,300店以上を展開するチキン・サンドウィッチチェーンのチックフィレ、約2,000店のベーカリーカフェを展開しているパネラブレッドなど大手外食チェーンが全店でモバイルオーダーを展開している。
国内に3,400店を展開するソニック・ドライブインをモバイルオーダーを始めており、全世界30ヶ国で1,100店を展開しているザ・コーヒービーン&ティーリーフは、モバイルオーダーを南カリフォルニアとアリゾナの直営店で開始した。
日本ではマクドナルドが一部の店舗でモバイルオーダー&ペイのテストを開始しており、スターバックスも来年にテストを始めるとの発表だ。なおアメリカでは5年前(2014年12月)、スターバックスがオレゴン州ポートランドの一部店舗でモバイルオーダー&ペイのテストを開始した。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。痴漢や窃盗などで逮捕者が出た「渋谷ハロウィン」。この話題で驚いたのは、渋谷にあるラーメン屋の券売機が酔っ払いに壊されたニュースです。破損した券売機が300万円もすることに後藤は驚きました。本体が300万円なら、券売機の電気代やチケット(紙)代、メンテナンス費用も入れた年間のランニングコストを考えればもの凄い割高でしょう。リースやレンタルなどの選択肢もありますが、月々の費用はバカにできません。モバイルオーダーでは、客に壊されたり盗まれたり、紙が切れたり、メンテもする必要はありません。券売機のように故障することもありませんし、スマホが故障しても店側の負担はありません。一方でモバイルオーダーでは顧客情報など券売機ができなかったことができます。誰が・いつ・何を注文したかがわかります。客の来店頻度から細かい嗜好も把握できるのです。券売機よりメリットなのは、モバイルオーダーによる注文では客単価が増加することです。
⇒ラーメン屋を考えると例えば「替え玉」。ラーメンを食べながら替え玉を追加したくなったら(食材を触る人がお金を扱わないお店なら)券売機で買わなければなりません。これは面倒です。モバイルオーダーで替え玉注文ができればチャーシューを食べながらスマホ出し、アプリから「替え玉注文ASAP」をタップです。席を離れる必要もありません。忙しいスタッフや親父さんに向かって大声で注文する必要もありません。簡単に替え玉が注文できるので客単価が上昇するのです。替え玉以外の「ASAP(至急)」注文にチャーシューやたまご、キムチ、高菜等のトッピングも追加できるようにしたら、さらに売上増です。アイスクリームなどのデザートも用意しておけば、客単価が30%以上の増加です。券売機にできない注文にはスープの濃淡に油やにんにくの量、麺の太さ、麺の硬さ、チャーシューの種類等のカスタマイズがあります。モバイルオーダーなら一度カスタマイズ注文すれば、履歴からカスタマイズ注文が簡単にできるのです。

⇒日本のスターバックスで来年、モバイルオーダー&ペイのテスト開始です。アメリカから5年遅れです。アメリカでモバイルオーダーが定着しつつあるのに、日本でスタートが遅れる理由は、提供側のメリットがわかっていないからです。言い換えれば客単価の増加が広く知られるようになれば(人手不足もあり)モバイルオーダーはアメリカ以上に急成長・急拡大します。日本人は本音と建て前を使い分けます。売上増が本音ですが、モバイルオーダーの拡大には「お客様を並ばせない、待たせない」「人手不足を解消」と立派な建て前を並べることができるのです。外食からエントリー記事にあるようなテーマパークのレストラでもモバイルオーダーが常識になれば、新たな市場を生み出すことになるのです。それがカスタマイズです。提供側にとってカスタマイズが簡単な外食もあります。客側にとっては毎度いちいち細かく注文するのが面倒なので避けられていました。若い人を中心にモバイルオーダーによるカスタマイズ注文が増えるのです。
モバイルオーダーが日本のマックやスタバ、ディズニー、USJ等で定着する頃、儲け方も変わっています。
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