
HYKE 2019年春夏コレクション

HYKEの硬さと軟かさ。
ファッションウィークで歩き回っていると、いろいろ同行の友ができる。私は、率直に意見交換のできる人が好きなので、そういう人と半年ぶりに顔をあわせるとまるで旧友に遭ったように和む。どこが良かったとか、あの人はどうしてるとか、そんなたわいない話から会話は始まるのだが、今回奇しくも何人かが、HYKEがとてもビジネス的に好調だと教えてくれた。前身のgreen時代(~2009SS)には、東京コレクションを牽引しているブランドの一つと見なされていたから、服作りのベースは疑うまでもないのだけど、HYKEと名を改めて再スタート(2013秋冬〜)してからは、まずレディースファッションブランドとしては異様なほどの硬さが際立った。
ミリタリーの古着に惹かれて古着屋を始め、ブランドを立ち上げる時もミリタリーウェアの緑色にちなんでgreenにしたほどの古着愛に満ちた二人(吉原秀明+大出由紀子)が、今度は何年か経って古着として愛される服を自ら作りたい、とコンセプトを「Heritage and Evolution」に限定して、シーズンごとのテーマを設けずに、きっちり路線に沿った服作りを進めてきた。
と、言うのは簡単だが、実践は簡単ではなかったと思う。特に日本のレディースファッションの壁の存在!


10年着続けないと体になじんでくれないのでは、と思えるような硬く重量のある素材(コートやジャケット)をあえて使用して、一徹な硬派ぶりを示した時は、驚いたが、頼もしくもあった。その一貫した姿勢は、おそらく一般のファッション好きの女性以上に、マッキントッシュ、アディダス、そして今春夏からはザ・ノース・フェイスなどのブランドを刺激して、コラボレーションが実現。それによって、シェアはさらに広がったのだと思う。
壁に衝突して壊そうとするのではなく、角度を変えて、壁を無化するやり方。あるいは援護射撃が来たのかもしれないが、ともかく、HYKEが、世のトレンドに迎合することなく、我が道を行っていて、それによってファンを獲得しているなら、なんと理想的な進み方だろう。






昨日のショーを見ていて、驚いたのは、パフスリーブのロールネックの白いブラウスが出てきたとき。こんな愛らしいデザインもするのだ、と思ったのもつかの間、後ろ姿を見ると、普通のシャツブラウスのボタンやポケットが背中にあった。つまり前後逆にデザインされている(もしくは前後逆に着せたのか?)。この前後逆バージョンはそのほかにいくつも出てきて、私をおもしろがらせたのだが、考えると実におもしろい。ミリタリーの場合、機能はだいたい前面に集まっていて、背中は荷物を背負うために余計なものはついていない。いわば、空き地状態だ。それが前に来ると、とてもシンプルで新鮮な服が生まれる。前後を元に戻せば、オーソドックスなワークウェアやミリタリーアイテムに戻る。なんという発想! きっとこれからも、HYKEはなじみ深い古着から、おもしろい要素を抽出してくるに違いない。 最後に。毎回オリジナルで制作しているHYKEの音源が、今年の1月に「UYK #1」としてリリースされた。(U=上村真俊、Y=吉原秀明、K=香田悠真のユニット)早速アップルミュージックでダウンロードして聴きながらこの原稿を書いた。最新の#10も早く聴きたい。
【ファッションエディター西谷真理子の東コレポスト】
・ファッションの"おもしろさ"を求めて -vol.1
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・ファッションの"おもしろさ"を求めて -Vol.2-
・ファッションの"おもしろさ"を求めて -Vol.4-
・ファッションの"おもしろさ"を求めて -Vol.5-
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