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クレームのヒアリング、注意すべき4つのポイント

2017.10.08 Sun. - 17:00 JST

クレームのヒアリング、注意すべき4つのポイント

2017.10.08 Sun. - 17:00 JST

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前回のコラム『接客販売職の皆さん、クレームはお好きですか?【1】』では、

・クレーム客はロイヤルカスタマーの第一候補である
・クレームを言う人は不満を持つ人の4%
・「期待していたのに......」ブランドへの想いが強いお客様を味方に
・クレーム対応は初めが肝心。「落ち着いて、丁寧に、冷静に」
・お怒りのお客様へは「伝える順番を間違えずに」

というような内容をお話しました。今回は「クレーム対応のちょっとしたコツ(Hint & Tips)」をお届けします。

今回のコラム執筆者

合同会社NOBuコンサルティング|青栁 伸子さん
東京都生まれ。人事・総務・ITを専門分野とするコンサルタント。日系企業、日系ベンチャー企業での人事経験を経て、1999年にラグジュアリー・リテール業界へ転身。エルメスジャポン、ボッテガ・ヴェネタジャパン、フォリフォリジャパンの各社で人事・総務部門の責任者として、人材育成・組織開発・制度設計などにあたる。同時にビジネスパートナーとして、経営陣に対して人事的な側面からのサポートを行い、会社の業績向上にも寄与。特に接客販売職の「専門職」としての地位確立、処遇の改善、女性が無理なく永く働ける環境づくりなどに注力。2015年にコンサルタントとして独立。

クレーム対応、「お礼とお詫び」が解決の早道

お客様が何か不満をお持ち、もしくは何かにお怒りという場合、まず気を付けたいのは「あ、嫌だ、お客様お怒りだわ、時間がかかりそう」「クレームだわ、面倒くさい」などと思わないことです。その気持ちをお客様は敏感に感じ、なお一層不快な思いを募らせてしまいます。

中には全くこちら(ブランドや会社:以下「こちら」と記します)に非のないことでクレームをされる方もいらっしゃいますが、それでも以下を心がけてください。

1.その思いをこちらに「伝えてくださったこと」に感謝しましょう。

2.何かで(その原因がこちらになかったとしても)、お客様に「不快な思いをさせてしまったこと」にお詫びしましょう。

1.については、前回のコラムでもお話しましたが、クレームを伝えてくださる貴重な(たった4%の)お客様ですから、【そのこと】にお礼を申し上げましょう。2.についても、こちらにそれを言わなければ気が済まないほど「不快な思い」をさせてしまった上に、時間と労力を割いていただいていますので【そのこと】をお詫びしましょう。

ここで【】をつけて【そのこと】と書いて強調しているのには理由があります。

お客様が何にお怒りなのか、何を不快に思っていらっしゃるかはまだわかっていませんので、この段階でお礼やお詫びを申し上げられるのも【そのこと】にだけ、ということです。もう少し端的に言ってしまえば、ここでお詫びをしているのはクレームの本質(内容)に対してではないのです。

「ご不快」「お怒り」「時間と労力」に「お礼」と「お詫び」で対応すれば、この段階でお客様とこちらの力関係はフラット(どちらの勝ちでも負けでもない状態)になりませんか?冷静で丁寧な対応をして円満に(そして早期に)解決するには、まずこの"地ならし"が必要で大切なのです。

クレームのヒヤリング①:「正確に聞き取る、受け止める」

地ならしが終わったところで、お客様のお怒り・ご不快の状況と原因を伺います。可能な限りお客様の気持ちになって(共感して)、冷静に事実と感情(不満・怒り・期待)を切り分けましょう。お客様は興奮していらっしゃる事が多く、話が錯綜することがままありますので、状況を整理して「お客様がおっしゃっているのは、こういうことですね」と確認すると良いでしょう

この段階で「いやいや、それはお客様の勘違いでしょう」と思うような発言があるかもしれませんが、それを口にしてはいけません。またお客様のお話の途中で「あ、わかりました、こうすれば良いんですね」と勝手に話をまとめたり先走ったりするのもNGです。

クレームのヒヤリング②:「言い訳や反論はしない」

ヒヤリングの段階でのNGフレーズをあげておきます。拒否・拒絶・否定・非難・防御という言葉で表現できるフレーズですが、お客様をさらに怒らせてしまう原因になります。例えば

"そんなことはありません(できません)"

"先ほども申し上げたように......"   "ですからぁ......"

"(お買上いただいた時に)ご説明していますよね"

"それは不良品ではありません"    "だから、それはお客様の......"

例えお客様のおっしゃることが勘違いや誤解であっても、それを申し上げるのはこの次の段階です。ヒヤリング中に正論や理屈を言ってしまうと、クレームが大クレームに増殖します。どう考えてもお客様側に非がある、と思えても、この段階ではそれを口にしないように注意しましょう。

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クレームのヒヤリング③:「感情のコントロールを意識する」

お客様が興奮して色々とお話になるので、その攻撃的なモードに飲まれがちですが、自分の感情をきちんとコントロールして冷静さを失わないことが大事です。ただ、冷静に、と思うあまりクールになりすぎて「この人は私の話に興味がないのでは?」「話を早くきりあげたいのね!」とお客様に誤解をさせないように、傾聴(相手の気持ちに共感しながら心で聴くこと)を心がけましょう

怒りや不満と言ったネガティブな感情はとても強いものなので、受け止めるのは大変かもしれません。だからこそ最初の段階でお礼とお詫びを申し上げて、お客様の感情(テンション)を下げておくこと、特に「私は怒っているのよ(感情)」という部分と、「こういうことがあったの(事実)」という部分を切り離しておくことが大切なのです。そしてヒヤリングでは、お客様との会話のキャッチボールができるようにすることも大事なことは、おわかりいただけるでしょう。

お客様のお怒りテンションが高くてどうしようもない、と思った時には「なぜこの方はこんなに怒っていらっしゃるのだろう?」と想像してみてください。どこかに「お怒りスイッチ」があるはずですから、それを探しましょう。そのためにも、ご自分の感情はフラットに保ちましょう。

クレームのヒヤリング④:「具体的なご要望を承る」

ここまでの段階でお客様の中には「この人はちゃんと私に向き合ってくれる」「自分の話は聞いてもらえる」という気持ち芽生えていますので、少し落ち着かれていると思います。一方的にお客様が何かをおっしゃるのではなく、会話のキャッチボールができる状況だと思います。そこで、本題に入ります。

お客様がこちらに何をして欲しいのかを伺い、こちらには何ができるのかをお伝えして解決(クロージング)に向かいます。

中には「私の不満をあなたに伝えたかった。聞いてもらったからもういいわ。今後は気を付けてね」で終わられる方もいらっしゃると思います。前回ご説明した「文句」のお客様です。この場合には丁寧に、改めてお礼を申し上げてお見送り(電話の場合には会話を終了)します。

返品や交換を希望される方もいらっしゃいます。前回ご説明した「苦情」と「クレーム」のお客様です。この場合には会社の規定に沿って、多少は融通をきかせた対応をしましょう。杓子定規に「会社の規定だからできません」と即答すると、またお客さまのお気持ちに障る可能性があります。お客様のご要望には応えられないことが決定事項(変えられないこと)だとしても、「会社と(上司と)相談いたしますので、少しお時間をいただけますか?」とお返事をして、後に「会社(上司)には相談したけれど、やはり難しいそうです」という形でお断りしましょう。

お客様ご自身も「少し無理を言っているかも」と思っていらっしゃるような場合には、自分のために時間を使って、交渉までしてくれたという事実が十分な誠意として伝わります。会社(上司)と相談いたします、というフレーズは自分の責任を放棄するのではなく、「私が責任を持ってこの件を会社に伝えて交渉してまいります」というメッセージです。交渉の結果お客様のご期待に沿えない事になったとしても、この姿勢を見せていれば納得していただけるケースは多いです。また、交渉の結果、お客様のご要望は無理でも「こんな形での対応は可能です。いかがでしょうか」という代案などがご提示できると、円満解決のゴールが近くなります

クレームのまとめ①:「今後の事を伝える」

上で述べたように、お客様にこちらの対応をお約束した場合は、「いつまでに何をするか」を具体的にお知らせします。曖昧な表現(多分、おそらく、近日中に)という表現は避けましょう。確約できない場合でも「遅くとも明日の午前中には」というような表現が適切です。できれば「遅くとも明日の昼までにお返事をさせていただきますが、それでよろしいでしょうか?」とお客様に確認を取り、電話をさしあげる場合には番号と電話を差し上げて良い時間帯などを確認しておけば、お互いに安心ですね。

「会社(上司)と相談いたしますので」というようなケースでは、時間がかかる可能もありますので、その点もあらかじめお伝えしておきましょう。お客さまへの回答に2日以上かかる場合には、途中経過を一度ご連絡しておくと丁寧ですね。特に上司が出張中で連絡がスムーズに取れない、などということもありますので。お客さまを不安にさせないことも大事なクレーム対応の要素です。

クレームのまとめ②:「改めてのお礼」

お客様のクレームが、話をして解決した場合には「貴重なご意見、ご指摘をありがとうございました。真摯に受け止めて今後に生かしてまいります」と言って完結します。

何かこちら側のアクションが必要(修理・返品・交換など)な場合には、誠意をもってスピーディーに対応し、お客さまとは密に連絡を取りましょう。最終的にお客様のクレームが解決した際には、改めてご迷惑をおかけしたことのお詫びとお礼を忘れずに。

そして、『法外な要求』をされる方には毅然とした態度でNO(それはいたしかねます)と言いましょう。クレームは「等価交換」だと思います。等価交換以上の要求に応える必要はなく、こちらにできることは最大でも「お買上いただいた商品の返品・返金に応じること」+「丁寧なお詫び」ではないでしょうか

例えば「買った商品で怪我をした。治療費を払え」というようなクレームがあった場合は、店舗(店頭)で解決できることではありませんので、速やかに上司や本社に連絡をして対処方法を確認しましょう。ただ、その場合でも、ヒヤリングまでは丁寧に、冷静に。最初のヒヤリング段階で不用意な発言、(例えば「それはお客様の不注意では......」というような)をしてしまうと、話がこじれてしまいます。

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クレームは怖くない!

こんな内容のコラムを書いているということを、先日美容院で担当の美容師さんと話していたら、彼は「クレーム大好きですよ!」と言っていました。さすがです!

美容師という仕事柄、例えば初めてのお客様のカットの仕上がりがお気に召さない、というようなクレームもありそうな気がしますが、そこには彼なりのテクニックと経験値があるのでしょう。また、彼は「気に入らないならそう言ってもらった方がありがたいです。黙って来店されなくなってしまうと、自分が何を失敗したのかわからないし」と言っていました。

クレームはゼロが望ましいですが、なかなかそうはいきません。であれば、これも一つのチャレンジ・チャンスと前向きにとらえて、一つ一つ、成功も失敗も自分の「経験値」に加えていってください。

大丈夫です、クレーム対応に失敗したからと言ってあなたの評価が下がる訳ではありませんし、上司の仕事には「クレーム対応で謝ること、頭を下げること」も入っているのですから。ただ、過去の経験を申し上げれば「どうして最初にお詫びができなかったかなぁ......」と思ってしまう、お客様のお気持ちをヒートアップさせてしまったクレームが多かったことは事実です。私にクレーム対応が回ってくるようなケースでは、それまでに「失敗対応」が重なっています。たっぷり1時間お客様のお怒りを承り「あなたのところの社員はなっていない、どういう教育をしているのか」とお叱りを受け、ようやく本題に入ってクローズした時には2時間経過、ということもありました。事の原因はお客様の時計が止まったこと、前回の例でのスタッフ(A)の対応でした。

クレーム対応に失敗して評価が下がるのは、そこから何も学ばなかった場合です。上司も会社も何を学んで成長しているか、を見ています。誠意をもってお客さまと向き合い、クレーム対応を通してご自分の「人間力」を上げていってください。クレームは怖くありませんから。

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