
中盤をすぎ、ようやく少なくなってはきたものの、それでもメニーピープルな「ピッティ・イマージネ・ウオモ」会場。1月のフィレンツェとは思えないほどの温暖な気候が、スナップひろばの人だかりをあおる。残すところ、あと実質1日半だ。
〜3日目〜 T.LIPOP
2014年度「WHO IS ON NEXT? UOMO」プレタポルテ部門受賞者の「T.リポップ(T.LIPOP)」。


ジップで切り離せるウールのオールインワンや、スタジャンディテールのコート。ラペル位置を低くし、ライナーのように中に折り返したロングコートなど。既成のアイテムに独自の解釈を加えながらも、「着られる」ように仕立てていくところは、若手特有の独りよがり感もなく、「デザイナー=ビジネスマン」としてもおおいに活躍できそう。

英国出身で、まだまだ認知度も低いトム・リポップだが、クマのような大きなカラダに似合わない、洗練されたコレクションと、よく見ると優しい顔立ちは、覚えておくといいかも。

■ALBERTO PREMI DESIGN
おなじく2014年度「WHO IS ON NEXT? UOMO」より。アクセサリー部門の優勝者「ALBERTO PREMI DESIGN」が、映画館でパフォーマンス。


ピッティ協会がAltaRoma社、L'Uomo Vogue誌と共催する若手発掘イベントは、こうしてシーズンをまたいでフォローしてくれるのだ。モジモジくんさながらの愉快なパフォーマンスはさておき、ソールをアウトドアブーツのように仕立てたテクノなスニーカーを十数型披露。


クラシックなダービーブーツも手がけるとのことだが、今回はあえてスニーカーのみに特化。見せ方としては、こっちの方が印象に残っていい。イケメン犬の素質十分なルックスも手伝い、あれよあれよと言う間にBIGになってしまうかもしれないね。乞うご期待!

■MARNI
マリノ・マリーニ美術館をショー&カクテル会場にしたのが「マルニ(MARNI)」。久々のメンズランウェイということもあり、会場内は熱気ムンムンで上着を脱がざるをえない状況に。あちぃ〜。


「リ・ジェネレーション(再生)」をテーマに、いままでのものを新しく生まれ変わらせるというコレクションは、全33ルックで登場。パターンやチェック・オン・チェックを70年代テイストにのせた足もとは、スリムフィットやパンタロン調のフレアパンツ。お得意のファーアイテムとの着こなしが、さまざまな表情を見せて楽しい。


パッチワークしたカラフルファーのコートや、バイカラーになったニットキャップは、ちょっと、いうかかなり欲しいかも。どこか肩の力が抜けたスーツ。こんないでたちの男性を丸の内、とはいわないまでも、青山界隈で見かけるようになれば、日本経済はもっと面白くなるのかも?
>>MARNI 2015-16年秋冬メンズコレクション 全ルック
〜4日目〜 ALICE MADE THIS
いよいよ最終日。イベントなき本日は、数あるブース取材の中から、ほんのひとつまみをご紹介。
まずは今回が初出展となるイギリスブランド「ALICE MADE THIS」。

金糸や銀糸を編み込んだラペルピンは、マグネット仕様でピッタンコ。すでに日本にも上陸済みで、知っている人も多いかもね。それでもブランド名の由来は、デザイナーの奥さま「アリスさんが作った、コレ」だって。知ってましたぁ?
■MAXVERRE
「TOM FORD」の足もとでおなじみの「MAXVERRE」。

8畳くらいのブースには、初のスニーカーラインをはじめ、レザー、ルーム系など充実のラインナップが揃う。

エレガントさがウリのスリッポンには、なぜか「江戸四十八手」の刺しゅうも。細いラストとマッチするエロさが、採用の理由かな?

提案としては、靴にありがちなウンチクをくどくど語るより、感性で「ジバンシィ」や「グッチ」なんかとあわせてもらいたい、とのこと。そのスタンス、いいですね〜。
■Sastretia & Camiseria 91
スペインからやってきたのは、羽の魔術師「Sastretia & Camiseria 91」。

クジャク、アヒル、白鳥などから少しずつ拝借し、ボウタイやジャケットのラペルなんかに使っちゃった。


もちろん、種類選びからできるオーダーシステムもあり。ちょっと目を引くワンポイントには、もってこいのブランド。

■ts(s)
ラストは、鈴木卓司さんが手がける「ts(s)」。

いつもより柄や色味を抑えたラインナップは、大きくミリタリーとワークに分けられる。イタリア産とオリジナルの生地をミックスさせたリバーシブルのコートや、アンサンブル提案のニットなど。買い付けのバイヤーの動向で、世界の経済状況が分かるとのこと。今回調子が良かったのはアメリカ勢。相変わらずヨーロッパ勢はジリ貧ながらも、我らが日本は徐々に盛り返してきているようで。「アベノミクス」効いてきているのかな?

会場のなかや外でさまざまなイベントが開催され、楽しさいっぱいの「ピッティ・イマージネ・ウオモ」。しかしながらここの本質は、「ブースにこそアリ!」だ。メンズビジネス構築する、これらクラシコ&ファクトリー系ブランドからは、各国の経済状況まで垣間見えてくる。だからこそ、しっかりと取材できるようになれば。まだまだ修行が足りないね。さて、そうこうしているうちに列車の時刻が迫ってまいりましたがな。そろそろスタチオーネ・サンタマリアノヴェッラに向かうとしますか。1時間40分もゆられれば、そこはミラノ。明日からはいよいよモーダが始まるさかいにね。
【孤独のコレクション日記】
ロンドンメンズ1日目:ファッションは五感のおもむくままに
ロンドンメンズ2〜3日目:若手と老舗のロンドン合戦
ロンドンメンズ最終日:ベイリー、トムさま、ハカイダー?
ピッティ前編「メンズファッションビジネスを支える1100ブランドが集結」
ADVERTISING
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【村瀬昌広】の過去記事
F/STORE
新着アイテム
1 / 5