

10/17(fri)
この日のことを書く前に、昨日の「ビューティフルピープル」のことを少し。
10年近く前に購入した「ビューティフルピープル」のスウェードのこどもサイズのライダースが、小さいのに窮屈でなく着やすくて、今でも少しも古びないことに一目置いている私は、このブランドのシーズンごとのコレクションの表現はどうあれ、服作りの基本姿勢が好きだ。
今シーズンのテーマはテニスで、外苑のテニスコートの思ったより広大なスペースの2面の周りを、ほぼ全ルックスタンスミスを着用してのショーは、さぞやテニス色に染められたコレクションかと思いきや、そんなことはなく、テニスっぽいルックは一部だけという、このブランド一流の大仕掛けなはぐらかしがおもしろい。実はとてもよく計算されたバランスや分量は、やはり実物に腕を通してみないとわからない。

で、本日(17日)の話。午前は、特別参加のロンドンの人気ブランド「ハウス・オブ・ホランド」のショーがあった。ショーの解説は他の人の記事をごらんいただきたい。'60s風のサイケデリックなフラワープリントのカラフルなショーだったが、これはロンドンのクラブで見たかった。せっかくだから場所も音楽もホランドさんが考える'60sの空気を見せてほしかった。でも、正直言うと、ロンドンだったら「J.W.アンダーソン」か、「メアリー・カトランズ」か、「ピーター・ピロット」あたりを見たかった。ということをジャーナリストの友人に言ったら、これはビジネスのためのショーだから、日本で売れそうなものじゃないとだめなんですよ、というわかったような答え。

そうか。でも、最近調子のいいロンドンのクリエーションがあるボリュームで一堂に会したら、東京のファッション界(デザイナーに限らず)にとてもいい刺激になると思うけどなあ。クリエーションを盛り立てることも、JFWに期待されることではないだろうか。以前、ベルリンのクリエーターたちを数組招聘してショーを見せたことがあったけど、ああいう形で、いろいろな都市の若手クリエーターを呼んでほしい。
午後は、空き時間にヒカリエホール奥のプレスセンターでパソコンに向かい、15時からの「ネ・ネット」と15時半からの「ファクトタム」を見た。
「ネ・ネット」で列に並んでいると、藤本祐さんに遭遇。10数年前に、装苑になんども登場してくれたモデルさんだ。90年代前半には、マルジェラのパリコレにも何度か出演、知的で作らない雰囲気がとても好きだったが、今はモデルクラブのマネージャーをしている。ショー初出演の満島みなみさんの様子をチェックに来たそうで、並んでショーを見る。存在感のあるいいモデルだと思った。みなみさんが出てくるたびに、祐ちゃんは必死にiPhoneで撮影していた。みなみさんは女優 満島ひかりの妹だけど、そんな後光なしで光っている。

肝心のコレクションは、日本がテーマ。といっても、とてもユニークな"ニッポン・ポップ"。鬼やたぬきや青海波や、その他お土産的民芸品が、ファッションのモチーフに生まれ変わった。ステージには畳が敷いてあって、ランウェイを歩いてきたモデルは、端まで来ると、履物(草履など)を脱いで、畳の上を歩いて帰る。
このショーを見ていて、なぜか、同じA-net所属の「メルシーボークー」のデビューショー(2006-07年秋冬)を思い出した。枯れ葉を掃除しながらモデルたちは迷路のようなランウェイを歩き、ぶつかると深々とお辞儀して道を譲る、というものだったが、日本人の仕草が、ショーに登場したのが新鮮だったのだと思う。今回もそれを連想してしまったのだろう。
対して「ファクトタム」は、70年代ムード。直接インスピレーションを受けたのは、1969年製作のスウェーデン映画「スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー」。デザイナーの有働さんは、ロイ・アンダーソン監督が若い頃のインタビューの「世界を変えたい」という発言に出会い共感したそうだが、映画では、人それぞれの生き方を模索し、自分らしさを求めるヒッピームーブメント、社会を覆う経済不安、デモやテロなど、現代と重なることの多い70年代が描かれ、ショーの構成も、あえて、さまざまなタイプのモデルを登場させることで、多様性を表現したそうだ。

重要なモチーフはスウェーデン軍のカモフラージュ柄で、ジャカードやニット、プリントといろいろなバリエーションで登場。フィナーレは、いろいろな言葉をプリントしたTシャツスタイルでモデルが登場。それぞれが好きな言葉を選んだそうだ。

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